天皇の食も支えた、御食国の豊かな海の幸。
古代~平安時代にかけて、皇室や朝廷に海産物を中心とした食物を納めていたと伝わる御食国(みけつくに)の一つ、若狭おばま。現在の小浜市にあたり、豊富な魚介類に恵まれ続けているまちです。
そんな小浜市で「本当に美味しいお寿司を食べたいならここ!」と言われているのが「寿し島川」。2021年の改装をきっかけに、前身である「若狭 鮨富」から「島川」として新しく生まれ変わり、「鮨富」の名はテイクアウト部門に残しました。
「若狭の漁師さんは船が小さい方が多いですが、魚種は豊富ですね。毎日少しずつ違う魚に巡りあえて、半月から一ヶ月もすれば全く違うメニューをご提供できるのは小浜ならではの面白さだと思います」とは、2代目の島川陽平さん。若狭湾で獲れた天然物にこだわり、その美味しさをストレートに伝えることを心がけています。
鯖街道起点のまちで食したいのは、やっぱり鯖。
春は小鯛や春鯖、夏は貝類や車エビ、秋はガスエビやカマス、冬は蟹やアカムツ…… 若狭湾の恵みは枚挙にいとまがありません。「こんなのも福井で獲れるの!?」という魚に出合えることもあり、その驚きを求めて県外から熱心に通うファンも多いのだそう。「マグロやアカウニ、鮭、戻りガツオ、アンコウなども揚がるんですよ。出合えた方はラッキーです」と島川さんは笑います。
そんな粒ぞろいのメニューの中、根強い人気を誇っているのが鯖寿司です。目の前で高温の炭で皮目を焼いて仕上げられる鯖寿司は、口に入れた瞬間の香りが桁違い。そして炭の温度で溶け出した鯖の脂と絶妙な酢加減は、まさに“口福”。職人技の妙をご堪能ください。
地魚と職人技の競演 時々 予想外の出合い。
昼夜それぞれ2種類ずつ用意されているコースの中で、ここでしか食べられないと人気なのが「若狭グジの変わり寿司」。シャリを挟んだ若狭グジ(アマダイ)を揚げた変わり寿司は、ふんわり柔らかい身とカリっと香ばしいうろこのハーモニーが秀逸なスペシャリテ。グジのようにうろこを楽しめる魚は少ないので、足をお運びの際はぜひご賞味を。(「若狭グジの変わり寿司」が含まれないコースもありますのでご注意ください)
お寿司やお造りはもちろん、揚げ物や炭火焼きに至るまでアラカルトが充実しているのも嬉しい限り。「コースにプラスしたい」「好きなものだけを楽しみたい」など、自分のスタイルに合わせて注文しましょう。
夏季を除きますが、予約にてテイクアウトできるメニューもあります。鯖寿司や小鯛の棒寿司、季節のちらし寿司など若狭路のお土産にもぴったりな逸品揃いで、大切な方への手土産にも喜ばれること間違いなしです。
食べることは労わること。優しい食を心と体へ。
島川さんが目指しているのは、体にスッと馴染む“優しい食”。「最近、“本来食べるって体に優しいことだよね”と思うことがあり、お米や野菜などの食材や各種調味料はなるべく有機のものを使うようになりました。胃への負担が少ないので軽く食べ進められて、最初は“コースなんて食べきれるかな……”と不安そうだった人も笑顔で完食してくださることが多いですね」と嬉しそうです。
日によって味わいが異なるのは、毎日仕入れる地のものをシンプルな調理法で提供するからこそ。カウンター越しのご主人との会話も楽しみながら、至福のひと時をお過ごしください。