動力は再生可能エネルギーのみの、完全クリーンな遊覧船。
ラムサール条約指定湿地に登録され、日本遺産の構成文化財ともなっている三方五湖。そのひとつ・久々子湖(くぐしこ)のほとりに、2023年春にオープンした「美浜町レイクセンター」。ここは遊覧船の拠点となっており、三方五湖のうち久々子湖と水月湖、その二つを結ぶ人工河川・浦見川をクルーズすることができます。
この遊覧船が注目を集めている理由は、全国初の完全クリーンな動力にあります。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのみで動いていて、それは雪や雨など、天候が悪い冬場でも変わりません。
そんなクリーンな遊覧船の一番の特長は、何と言っても静かさ。エンジン音がなく揺れることもないので、航行中でも安全に船内を歩いて移動することができます。また、燃料臭もなく船酔いの心配もなし。自然にも人にも優しい、未来に先駆けた新しい湖上モビリティなのです。
静かだからこそ、大自然をほんの間近に体感できる。
遊覧船では、同乗するガイドさんが見所をつぶさに教えてくれます。専属ガイドである山本さんのおすすめポイントは、寛文2(1662)年、治水工事の先駆者・行方久兵衛の指揮によって造られた人工河川・浦見川。
迫りくる岸壁や植生などを間近で体感できる“リアル・ジャングルクルーズ”は、この遊覧船でしか楽しめないアミューズメントです。
もうひとつ、この遊覧船でなければ楽しめないのが野鳥の観察です。三方五湖の豊かな自然を好む鳥類は多く、冬には福井県内最大の渡り鳥の飛来地となり、毎年1万羽もの鳥たちがシベリアからやってくるといいます。
「ホシハジロやマガモなどのカモ類からコハクチョウなどの大型な鳥類まで、本当にたくさんの渡り鳥がやってきます。特にレイクセンターが隣接している久々子湖は汽水域にあたるので潜水ガモも多く、見ごたえ抜群です」と山本さん。
静かな遊覧船が安全なものであることを既に学習している鳥も多く、警戒心が強い野鳥でも時に数十cmの距離で観察できることもあるというから驚きです。
「渓流の宝石」の異名を持つカワセミが見られるのは浦見川限定。渡り鳥が飛来する冬の時期には野鳥観察クルーズも不定期で開催されますので、気になる方はHPをチェックしてみてください。
きらめく湖を眺めながら、思い思いの時間を。
こちらにはカフェも併設されていて、休日や週末にはポテトやナゲット、ソフトクリームを頬張りながら遊ぶ子供たちや、コーヒー片手に話に華を咲かせる地元の人たちの姿も。
「寛ぎの場になれるのは、私たちもとても嬉しいです。遊覧船に乗らなくても大丈夫なので、お気軽にお越しください」と山本さんも嬉しそうな表情を浮かべます。
名物メニューは「鹿フランクドッグ」。美浜町内で狩猟・加工された鹿肉フランクを美浜町の老舗カフェのパンでサンドしたドッグは、力強い赤身肉の旨味とザワークラウトの酸味が絶妙にマッチ。臭みもなく軽く食べ進められるので、ぜひ一度ご賞味ください。
遊覧船の他にも、小型電池推進船(SSEC)やペダルボート、レンタサイクルなど、アクティビティも充実している『美浜町レイクセンター』。新しい美浜観光を、ここから始めてみてはいかがでしょうか。