一秒も同じ姿をとどめないアート作品。
坂井市三国町の雄島を見下ろす丘の上にある『Brilliant Heart Museum』。扉を開けると、大きな窓に絵画のように切り取られた美しい雄島の景色が視界に飛び込んできます。壁にあいた4m×1.5mの大窓が額縁となり、そこにすっぽりとおさまった雄島を”風景画”のように鑑賞できる美術館です。
手前に伸びる赤い橋と島の緑、両脇の海の青とその時の空の色。そのコントラストの美しさに、雄島が”神の島”と呼ばれる所以をあらためて感じます。窓の向こうの景色は、朝靄に浮かんだり、真っ赤な夕日を背負ったり、時には荒れる海や冬にはちらちらと舞う雪など、訪れる時の時間帯や天気によって変化します。時折横切る鳥や赤い橋を渡っていく人の姿も”作品”の一部のように見える不思議な感覚です。
感覚がとぎすまされる空間。どう使うのも自由。
三国町出身のアートディレクター戸田正寿氏プロデュースによるこの美術館は、他に類をみない不思議な空間の中でただ雄島の美しさとともに静かな時間を過ごせる、贅沢な場所です。晴れた日には、戸田氏考案の「Seijuカット」と呼ばれる特殊なクリスタルに太陽の光が反射し、虹色の光が空間を照らします。また日が落ちると壁自体が輝度を変えて「ライトフェイス」の照明が灯ります。
5,000年前の縄文土器の欠片500個をつかった作品「5千年の顔」は、5,000年の歴史とともに生命力を感じる作品です。空間には白いテーブルと椅子が置かれ、座ってただぼーっと時間を過ごすのも、作業時間に使うもよし。社員研修や打ち合わせに使用する方もいるそうです。(※飲食の持ち込みは不可)
雄島の美しさを再認識しながら心も洗われる。
戸田さんがこの美術館をつくることになったきっかけは、数十年前のできごと。著名な画家のサム・フランシス氏が来福した際、東尋坊の奥に見えた雄島に惹かれ同行していた婚約者の方が「この島を買いたい」と言ったほどこの島に心奪われていた様子が、その後もずっと心に残っていたそうです。
「美術館は教会。我々は教会をつくっているんだ」とは、戸田さんがニューヨークで同じくアートに携わる友人にいわれた言葉だそうです。言われてみれば美術館も教会も、訪れる人は静かになり心穏やかに帰っていく場所。この美術館にいると「お寺にいるような気分になる」という方も。
実際に近くで見てもきれいな雄島ですが、ここでじっくりと眺める雄島もまた違った感動があります。入館には事前予約が必要となります。入館料はお一人様2,000円(税込)、お抹茶またはワインと一口サイズのお菓子がつきます。夏季限定で夕陽を楽しむ特別企画も。(詳細は美術館HPにあり)