
美味しい驚きにあふれる、イノベーティブフュージョン。
地元の食材を取り入れて、その地の伝統を受け継ぐ器に盛りつけ、どこにもない料理を提供する『cadre』。3年前、地元の銀行だった空間をリノベーションし、オープンキッチンのあるモダンなフランス料理店としてオープンしました。フレンチをベースにさまざまな素材や要素を掛け合わせた「イノベーティブフュージョン」を掲げる料理は、美味しい驚きにあふれています。
「『cadre』は、フランス語で『枠組』の意味。自分たちがひとつの枠になって、福井の食材や伝統文化の作家さんをつなぎあわせるという想いがあります」と語る濱屋シェフ。「イノベーティブフュージョン」として、和と洋の素材を絶妙に掛け合わせた独創的な料理を提供しています。
ペーストしたニンジンを葛粉で胡麻豆腐に見立てた、三国産の甘海老を使ったアミューズ。カカオのサブレに天たつの汐雲丹を乗せ、バターナッツのムースとコーヒーで香り付けをしたタルト。若狭ぐじをポジェし、黒龍酒造の吟醸酒の酒粕を用いたソースを添えた魚料理…。香りのある和の食材を巧みに取り入れたフランス料理は、福井の新鮮な野菜や魚と相性抜群です。

考え抜かれたフレンチを、レストランウエディングにも。
「福井は生産者さんとの距離が近く、その時どういう状況のものがあるかリアルにわかるのがいい。フレンチはコースでひとつなので、どういう流れでもっていくか工夫が要るのですが、その日の素材への理解を深めて料理に取り入れることができます」と濱屋シェフは熱く語ります。
その日ならではのコース料理に合わせるワインは、基本的にソムリエがペアリングしてグラスワインで提供。「一品一品考え抜かれた料理は、頭で考えるだけは想像できない」と、シェフソムリエの関水さんはペアリングの大切さを語ります。時にはメニューの説明だけでなく、お客さまとフランクな会話を交わすこともあるという関水さん。「料理も空間もサービスも全部含めて良かったなと記憶に残るよう、自然体で楽しい時間を過ごしていただけたら」とほほ笑みます。
また、『cadre』では1日1組限定のレストランウエディングも行っています。姉妹店である銀座のモダンフレンチ『Air(エール)』のシェフが考えた料理をベースに、福井の新鮮な野菜を使った野菜パフェをはじめ、濱屋シェフならではの華やかなメニューがパーティを盛り上げます。

旅の目的地として、訪れる人に福井の魅力を発信する。
『cadre』の料理には、メニュー名がありません。お品書き代わりにテーブルに置かれているのは、福井県の地図にその日用いた食材や伝統工芸品の産地が記された一枚のペーパー。「敬愛する福井のパートナー」として、裏には仕入れ先や作家名が紹介されています。
実は、濱屋シェフや関水さんをはじめ、店のスタッフは全員県外出身者。「正直、最初は福井というと田舎のイメージがありましたが、蓋を開けたら打ち刃物や越前焼、越前漆器もあり、ひとつひとつの食材のエネルギーがものすごく強い。食卓を美味しく彩るものが揃っていて、それを発信したいという思いは一番強いと自負しています」と、関水さんは力を込めます。
福井の魅力を味わえる場所として、休日になると県外からも多くの人が訪れる『cadre』。北陸新幹線延伸開業を控え、今後は、嶺南エリアの食材も増やす予定です。「福井を体感したいなら、一度うちに足を運んでほしい。福井に住んでいる方にも、きっと新しい発見があると思います」。非日常の体験に、人生の記念日に、旅の目的地に、忘れられない笑顔のひとときを約束します。