Monthly Archives: 11月 2023

『オージュ』 福井を 美味しく 華やかに Fukui French

桜の名所で、福井の恵みを楽しむFukui French。

福井市の中心街を流れる足羽川。春になると約2.2キロの堤防が桜のトンネルとなり、その圧倒的な美しさから「桜の名所100選」に選ばれています。
『オージュ』は、そんな足羽川のほとりにある『ホテルリバージュアケボノ』のレストラン。シェフの松塚高澄さんが手掛けるのは、福井の旬の味わいを最大限に引き出す「Fukui French」です。

「テーマは、福井を、美味しく、華やかに。福井は自然が豊かで、山の幸、海の幸に恵まれた素晴らしいところ。魚介や野菜などの食材はもちろん、和牛のステーキなどに用いるたまり醤油なども、名水で知られる大野市の調味料を使っています」とこだわりを語ります。フレンチだけでなく和食や寿司の国家資格も持つシェフの一皿は、和のテイストを取り入れた風味が広がり、ここでしか出会えない感動があります。

旬の烏賊を使って足羽川の桜を可憐に表現した一品も、松塚シェフらしさが詰まったシグネチャーディッシュ。烏賊には桜の木のスモークがかけられ、眺めて美しく、香りも豊か。福井の旬を、五感でとことん楽しめます。

料理を引き立てる、桜をモチーフにしたインテリア。

松塚シェフはフランスのミシュラン店で研鑽を積み、県外のホテルで料理長を歴任。フランス料理の国内三大コンクール「ジャン・シリンジャー杯」に入賞するなど、確かな実力を誇ります。その日の料理やデザートに使う福井の食材を仕入れるのも、松塚シェフの仕事。

「この辺は高級料亭街として賑わった浜町エリアで、毎朝、近くの八百屋や魚屋に行き、旬の食材や最新の情報を教えてもらっています。食材ももちろん大事ですが、それを運び、選定するプロの方とのつながりも大切だと思うんです」とほほ笑みます。

そんな素材にこだわった「Fukui French」を引き立てるのが、店名の『オージュ=桜樹』にちなんだインテリアです。足羽川に浮かぶ桜の花びらとその重なりをイメージした窓辺のスクリーンをはじめ、桜の樹を思わせるダイニングチェア、白山の稜線をイメージしたオーダーチェア、個室を彩る越前和紙や越前打刃物のカトラリーなどが、福井の文化や伝統を伝えています。

ワインもデセールも大満足、会話が弾むひとときを。

特別なランチに、人生の記念日に、旅の思い出に、県内外から笑顔で来られるお客さまをお出迎えするエントランスには、桜の花びらを象ったオーダーメイドの作品を飾って。その隣りに設けられたワインセラーには、常時80種類ほどのワインを完備しています。

「桜の蕾を象ったランプをはじめ、夜にはまた店内の雰囲気が変わるので、ランチにもディナーにも来ていただけたら」と料理部支配人の小澤幸市さんは語ります。

また、松塚シェフはパティシエの経験もあり、季節のフルーツを使ったデセールも隠れた人気。「実は料理よりデセールの方がテーマを表現しやすいんです」と松塚シェフ。

あわら産のイチゴを使ったパートフィロの薄く軽いミルフィーユ、懐かしい風景を思い出させる焼きいもモチーフのスイーツなど遊び心もたっぷり。「良い業者さんから良い食材を入れていて、美味しいのはあたりまえ。家族と友達と、料理を楽しんでいただけたら」とほほ笑みます。

福井の食材にこだわり、丁寧に味を確かめて出されるフレンチ。料理に合わせた最高のペアリングで出されるワイン。心と会話が弾むチャーミングなデセール。さらに、北陸新幹線延伸開業に先駆け、福井県産の海の幸を堪能できる「FRUITS DE MER」コースも登場し、福井を盛り上げています。

『岩屋山 妙楽寺』 木立が美しいアプローチと若狭最古の建築物

古の記憶を現代に繫ぐよりどころ。

古来より、若狭湾に入る船が目印としてきた若狭三山のひとつ・多田ヶ岳の麓にひっそりと佇む「妙楽寺」。養老3(719)年に僧・行基が自らご本尊を彫って開基し、延暦16(797)年に弘法大師・空海が再興したことが始まりと伝えられています。

駐車場脇で受付を済ませたら、木々のアーチが美しい砂利の小道を歩いて山門へ。新緑が映える春はもちろん、濃い緑が心を鎮めてくれる夏、鮮やかな紅葉が美しい秋、静かに白く染まる冬と、いずれの趣も素晴らしく、季節を変えて足を運びたくなる風景が私達を出迎えてくれます。

歩を進めて朱赤の小橋を越えた先にある山門をくぐり、立派な杉のトンネルを抜けると、まるで光に抱かれるように佇む本堂が目に飛び込んできます。神々しいその姿は、若狭における最古の存在というのも納得の厳かさを携えています。

外陣、内陣、後陣。長い歴史を肌で感じる。

こちらの本堂に祀られているご本尊は、二十四面千手観音菩薩立像。その名の通り24のお顔と1,000本の手を持っているというのは、全国的に見ても非常に珍しいお姿です。

「たくさんの目と持ち物であらゆる衆生を救うという慈悲が形になったお姿なんだと思います」と当代のご住職である中野竜雄さん。昭和の初期頃まで秘仏であったこともあり、千年以上前の作でありながら金箔も残っているという状態の良さにも驚きます。

小浜には内陣(※1)まで入れるお寺が多くありますが、妙楽寺もその一つ。驚くほどの至近距離でご本尊を拝見することができますので、ぜひ間近で隅々までご覧ください。脇仏である四天王に施された鮮やかな色には、きっと目を奪われてしまうはず。後陣(※2)の千手観音菩薩の付き人である二十八部衆も忘れずにご覧ください。

また外陣(※3)の天井近くに飾られた、3枚の大きな絵馬にもご注目を。そのうちのひとつが現存する福井県内最古の絵馬となっています。こちらは厨子の上の「懸仏(かけぼとけ)」と共に、明治の廃仏毀釈を乗り越えた貴重な逸品です。

※1内陣…本堂奥にあるご本尊が安置してある中央部。
※2後陣…内陣の背後1間。密教建築特有の造りに見られます。
※3外陣…内陣の外側。参拝者が礼拝する場所です。

ここは、地域の人々が心を寄せる祈りの場。

本堂への参拝を終えたら、ぜひ地蔵堂へもお参りください。中に入ることはできませんが、小窓から見える景色は圧巻です。金箔が貼られた大きな子安地蔵尊とそれを取り囲むようにびっしりと並べられた千体地蔵が荘厳な空間を作り出しており、ここが長らく地域の信仰を集めている場所なのだと再認識させられます。

「当寺にお参りされた方から、千手観音様に手を合わせたら心が楽になったというお声をよくお聞きします。静かにお参りいただけるお寺なので、心を洗ってお帰りいただければ」とご住職。仏様の御心が感じられる癒しのスポットは、いつの時代も変わらない穏やかさで人々を迎え続けてくれています。

『海香の宿 波華楼』潮の香りと波の音が作り上げる、たゆたうひと時

日常を忘れて、心と頭を大自然に開放する。

常神半島の根元、塩坂越(しゃくし)地区にある『波華楼(なみはなろう)』。地区の中でも最南端に位置するため視界を遮るものがなく、遥か彼方まで続く水平線と豊かな緑が群を抜いた眺望を作り上げているお宿です。

ここでは、日常やデジタル機器のことは忘れてください。五感をフルに働かせて雄大な自然を感じ、過ぎていく時間にゆったり身を委ねる。それこそがここでの最高の過ごし方です。周辺には主要道路が通っていないため、聞こえてくるのは自然の音だけ。浜の上に建っているので、波が文字通りすぐそこまで来る臨場感もたまりません。

お部屋は限定6室。全室テラス付きのオーシャンビューになっており、到着後すぐに飲み物を手にテラスで寛ぐ人が多いというのも納得です。特に3階の角部屋は、正真正銘の特別室。2方向にテラスがあり、それぞれ違った雰囲気を独り占めすることができます。ロッキングチェアで吹き抜ける潮風を受けつつ、心と頭を空っぽにする心地よさを満喫しましょう。

もう一つ、ぜひご堪能いただきたいのが貸切露天風呂からの眺めです。まるで海と一体化したような錯覚を覚えるほどダイレクトに海を感じられる露天風呂は、明るいうちの入浴がおすすめ。天気の良い日は京都の丹後半島まで見渡すことができます。美しい景観とともにゆったりとしたひと時をお過ごしください。

若狭の海の恵み。美味しさを引き立てるのは大パノラマ。

『波華楼』が誇るのは、眺望だけではありません。こちらで提供されるお料理の数々にもまた五感を満たされます。

「料理は素材で決まると思っているので、本当に良いものを仕入れてお出ししています」とは、代表の下霜雄大さん。魚介類はなるべく生きたまま仕入れて自分で〆るというこだわりのもと、できるだけシンプルな調理法で、素材そのものを味わっていただくことを心掛けているそうです。

人気が高いのは夏の「炭火焼き懐石コース」。メインの焼き物をはじめ、刺身や揚げ物、蒸し物、酢の物など多様な味わいで若狭の海の幸をこれでもかと堪能できます。炭火でじっくり焼きあげられたサザエやアワビ、岩ガキなど自慢の魚介類は、味も香りも絶品。気候がいい季節には、海を臨むテラス席でぜひどうぞ。

冬場に用意されるのは海鮮・蟹・フグのコース。夏とは趣が異なり、荒れる若狭湾を眺めながら味わう食事も乙なものだと、こちらも好評です。

夕食の時間帯は、ちょうどサンセットタイム。刻一刻と深く暗く移り変わっていく空のグラデーションを眺めながらのテラスでのお食事はまた格別。季節ごとに変わる波の音や山々の彩りと併せてお楽しみください。

大自然しかない。だからこそ生まれる特別な時間がある。

この場所で生まれ育ち、一度県外に出たからこそ「やっぱりいい所だな」と再認識しているという下霜さん。「近くには自然しかないので部屋でゆっくり過ごしてもらうばかりなんですが、それが非日常になっていいかなと思うんです。今の人って慌ただしい毎日を送っている方が多いので、すべてを忘れてリラックスしてもらえれば」。

ここは、ゆったりと流れる時間そのものを楽しむお宿。大人にしか分からない、大人のための上質ステイ。どんなに言葉を尽くしても、一度来てみなければ分からない魅力に溢れた大人の隠れ家です。