馴染み客の笑い声に包まれる店。
福井市中心部の繫華街にある『ご馳走純』は、2014年のオープン以来、大人世代に篤く愛されてきた隠れ家的日本料理屋です。カウンター8席、テーブル12席の店内では、店主の木村純也さんが手際よく料理を仕上げていきます。
お客さんとの会話の中で料理のアイディアを得ることが多いと言う木村さん。「話だけ聞いて作ったものが元の料理とは全く違う私のオリジナル料理になったりして、それもまた面白いですね」と笑います。
そうして生み出された味の数々はまた常連さん達に愛されるものとなり、「ミシュランガイド北陸2021」でビブグルマンを獲得しました。お客さんの笑顔と店主の誠実さが相乗効果を生み出す、居心地の良い店です。
福井の海の幸と、手打ちの蕎麦。
一番人気の月替わりのコースでは、お造りから焼き物、煮物など7~8品が楽しめます。山菜や底引き網漁で獲れた魚介類、蟹など、季節を充分に感じられる地物を得意としており、呼び声の高い料理では丁寧な仕事と随所に光るアイディアに唸らされます。
中でも隠れた人気メニューが、シメの蕎麦。実は店主の手打ちです。
全国の通からも高い評価を得ている福井県産の蕎麦粉を使用し、香りが飛ばないよう必要な分ずつ丁寧に打っています。福井の蕎麦といえばおろし蕎麦が定番ですが、冬にはセイコ蟹を贅沢に使った『越前カニまぜそば』も登場します。
内子の濃厚な旨味と外子の食感、身の甘味、岩のりの香ばしさ、三つ葉の爽やかさの絶妙な調和がたまりません。添えられた蟹の香りを付けた米油を回しかければ風味が増幅し、口の中はまさに蟹一色。
限られた漁期にしか味わえませんが、巡り合えた際にはぜひご賞味ください。
「軽くつまみながらお酒を楽しみたい」という方には、前菜の盛り合わせがお勧めです。一つひとつ丁寧に作られた料理を、少しずつたくさん楽しめるのは贅沢の極み。
ファンの多い出汁巻き卵などアラカルトも用意されていますので、豊富に取り揃えられた県内の地酒とともにゆっくりとご堪能ください。
料理が映し出すのは旬と人柄。
日々丁寧に料理と向き合う木村さんが作り出す料理は、いずれも奥行きがあって満足感が高いものばかり。吟味された素材と出汁が沁みる料理に、「何を食べても美味しい」と誰もが口を揃えるのも納得です。
「つきだしから旬を感じてほしい」という言葉からも垣間見える木村さんの誠実な人柄は、丁寧な仕事ぶりにしっかりと反映されています。「今日はちょっといい料理が食べたい」という日は、優しい笑顔が印象的な店主の店にぜひお運びください。