生命力を感じ、味わう、特別なワイン。
福井県の中でも、とびきり豊かな自然に囲まれた大野市阪谷(さかだに)地区でしか作れない地ワインがあります。手掛けているのは『白山ワイナリー』。希少性の高い「山ぶどう」の栽培からワイン造りまで、自分たちの手で行っている醸造所です。
阪谷地区を含む大野市は盆地で湿気がたまりやすく、ヨーロッパ系品種のぶどう栽培には向いていません。しかし、白山連峰の一角をなす経ヶ岳(きょうがたけ)の麓に位置する阪谷地区は扇状地となっており水はけがよいため、山ぶどうの栽培には適した環境だったようです。その白山系の恵みをグッと凝縮し、誕生したのが「白山やまぶどうワイン樽」です。
厳しい寒暖差が育む山ぶどうは、強い酸味と野趣あふれる力強さが特徴。ワインになっても存在感を見せるその特徴は、スタッフの玉木さんも「飲み頃は、仕込んでから5年後くらい。それで少し酸が落ち着くという感じですね」と笑うほどです。
山ぶどうの味わいはもちろん、阪谷という風土そのものが感じられる「白山やまぶどうワイン樽」。まさにこの土地でしか作れず、この土地でしか買えない、比類なき地ワインです。
山ぶどうの魅力を生かしながら、飲みやすさも実現。
収穫量が少なく個性も強いため、自生種の山ぶどうのみでワインを作り続けるのは難しい面もあります。そこで誕生したのが、アジア各地に自生する山ぶどうを交配させた日本オリジナル品種「小公子」。すっきりした酸味と豊かな果実味が特徴で、エレガントな香りが楽しめると人気を集めています。
阪谷産の小公子100%で作られた赤ワインは、黒にも見間違うほどの深い紅色。一見強い渋みを連想させますが、口に含んだ瞬間の軽やかさには驚かされます。
複雑に絡み合う味わいのバランスが秀逸で、飲み終えてもほんのり色づいているグラスにも、その果実味の豊かさを感じます。渋みはほとんど感じられないため、赤が苦手という人でも心地よく飲み進められるおすすめのワインです。
他にも、山ぶどう交配種を使ったオリジナル地ワインが10種類以上も並ぶ『白山ワイナリー』。お好みやシーン、料理、おつまみに合わせて選びたくなるラインナップは目移り必至です。
パートナーは大自然。白山連峰がつむぐ恵と絆。
こちらへは、ぜひ時間に余裕を持ってお越しください。そして、ぜひスタッフさんとの会話まで満喫してほしいのです。
そもそも「山ぶどう」とは、どんな “ぶどう” なのでしょうか。
「実は雌雄がある珍しいぶどう、とお話しするだけでほとんどの方が驚かれますね。山ぶどうにまつわる知識を少し知るだけでも、味わいって変わると思うんです。ぜひお気軽にお尋ねください」と玉木さんは穏やかに笑います。
今は山ぶどう中心のラインナップですが、今後は福井県産の果樹を使ったワインを増やしていく予定です。既に若狭の梅やあわらの梨を使ったスパークリングワインが登場しており、この先の充実にも期待が膨らみます。
ぶどうの収穫や仕込みのお手伝いができる醸造体験も毎年大人気。大自然の恵みと人の絆がもたらす心豊かなひと時が、今日も美味しい地ワインを醸しています。