お客さまに合わせた、今一番食べたい一品を。
福井市片町にある大人の隠れ家的な、割烹『青とも』。お客さまに合わせてさまざまな工夫や心遣いを凝らした料理を提供するカウンター割烹です。店主の青山智博さんは、京都の調理師学校を卒業後、32歳まで京都で修業を重ねた福井県出身の料理人。帰郷後は、片町の料理屋で福井の味や地域の勉強に努め、2018年に独立しました。
お店づくりで意識したのは、「一番最初に修業した祇園のカウンター割烹」といいます。「いわゆる〝おまかせ料理〟なのですが、そのときのお客さまに合わせ、柔軟に対応して料理をお出していくのが衝撃で、そういうお店をしたいと思いました」と青山さんは振り返ります。
同じ献立でも、お客さまの要望に応えてもらえるのがカウンター割烹の醍醐味。カウンターを挟んで目の前にいる料理人が、その人の好みや食べたい味を汲み取り、今一番食べたい一品が魔法のように出てきます。慣れないお客さまには少し気が引ける印象があるかもしれませんが、青山さんが望むのは「お客さまが美味しいよう、好きに食べてほしい」という一点に尽きます。
「献立にないものもお作りしますし、ご年配の方には食べやすいよう切り方を変えることもあります。お店のこだわりを押し付けられるより、自分の好きなように食べる方がやっぱり美味しいですから」と穏やかに笑います。
旬の素材にこだわり、持ち味を引き出す。
福井の食材を中心に、旬を大切に素材の持ち味を生かした料理を味わえる『青とも』。青山さん自ら地場野菜を求めて各地の産地直売所を巡り、美味しい素材を厳選しています。「福井市芦屋地区で収穫される原木舞茸は、ほとんど天然に近い露地栽培で育てられ、香りが高くぶりぶりと肉厚な食感が堪能できます。地元の越前町はタケノコが有名で、朝掘りのものを刺身でお出しすることもあります」と青山さん。料理に合わせる日本酒も、福井県産の地酒で揃えています。
一方で、醤油は兵庫県、天ぷらには沖縄の塩など、調味料にもこだわりが。季節の魚は、福井はもちろん全国の港で揚がった新鮮なものを仕入れています。「でも、甘鯛や地魚はやっぱり若狭、越前ですね」と青山さん。甘鯛の焼きものに芦屋の原木舞茸、永平寺町産のぎんなん、大根おろしと九条ネギを乗せた一品は、見た目も豪華で、深く豊かな味わいが広がります。
また、夏場は必ず出すという京料理でお馴染の鱧は、生きたまま仕入れ、お店で〆て捌くのだとか。刺身は熟成ではなく、「鮮度の良い、歯応えのあるものを出すようにしています」と、青山さんならではの哲学を語ります。
また行きたくなる、美味しい料理と心遣い。
お客さまと向き合う木づくりのカウンターは、朱塗りの膳が映えるよう考え抜かれたもの。料理の器は、アンティーク好きな青山さんが京都の骨董店などで集めた明治・大正時代の逸品が並びます。「器は、福井県の伝統工芸品であるシンプルな越前焼も使っています。朱塗りの膳も、河和田の越前漆器店で塗り直してもらったんですよ」。
コース料理は、肉料理も含めて5,000円、6,000円、7,000円(税別)の3つから選べます。手間ひまかけた京仕込みの技で、臨機応変に繰り出される好みの味わい。そこに感じる細やかな心遣いに打たれ、「また行きたい」と思うお客さまが馴染みの常連客になるケースも多いそう。おひとりさまだけでなく仲間や家族での来店もあり、カウンター6席と落ち着いた室礼の個室2部屋があっという間に埋まってしまうことも。できれば、電話予約がおすすめです。
「気軽に、ご予約のお電話をいただけたら。その際、お友達となのかご家族でなのかをお伝えください。また、コース料理以外にアラカルトも豊富にありますので、食べたいものを教えていただけると助かります」とやさしくほほ笑みました。