美味しいビールに隠された“注ぎ方”の重要性。
県内随一のクラフトビールの取り扱い数を誇る赤尾酒店。そのオーナーである奥平さんがオープンしたのが、ピルスナービールのみを取り扱う立ち飲み屋『Beer Stand Pivo』です。注ぎ方やグラスの冷やし方で変化する味わいを楽しむ、ビール好きにはたまらないスポットです。
「ビール」と聞くと大手メーカーの黄金色のものを浮かべる人が多いと思いますが、まさにそれこそがピルスナービール。現在、国内に流通している約9割がピルスナービールであり、日本人にとって最もなじみ深いビールだといえます。こちらでいただけるのは「ピルスナーの元祖」の名を持つピルスナーウルケルと、アサヒのマルエフ、そしてサッポロ黒ラベルの3種類です。
名物となっているピルスナーウルケルは、泡と液体の調和が美味しいビール。クリーミーな泡と麦の旨みが凝縮された味わいに魅了される人が後を絶ちません。泡だけの注ぎ方もあり、”泡はいらない”なんていう人ほどハマったりする不思議な飲み方です。
注ぎ方による味わいの変化を楽しみたい人には、飲みなれているマルエフや黒ラベルがおすすめ。1度つぎ、2度つぎ、3度つぎ、マイルドつぎがあり、飲んでみるとその違いは一目瞭然。ぜひ飲み比べて、自分好みの注ぎ方を見つけましょう。
突き詰めたからこそ見えてきた、大手メーカーの凄さ。
「クラフトビールを扱うお酒屋さんが、なぜ大手メーカーのピルスナービールのお店を?」と思った方もいると思います。そこにあるのは“だからこそ”の理由です。
「実は僕も“クラフトビールの方が”って思ってた時期があるんです。でも年間300種類くらいテイスティングしていると、まず価格がネックになってくる。もちろんブルワリーごとに味は全く違うし、同じブルワリーでも味にバラつきがあったり。それが面白さでもあるんですが、一方で大手メーカーは年間通して味も値段も安定しているうえに高品質。これは本当にすごいことだと気付いたんです」。
そんなピルスナービールを「ちゃんと美味しく提供したい」という思いで始めたのがPivo。大手メーカーが自信を持って造り出した味わいを、満点に近い状態で提供し続けることが目標です。
その実現に必要だったのが、一般的なサーバーの4~5倍の流量がある「スイングカラン」。操作に技量が求められますが、ビアホールなどで注ぎの名手たちに愛されてきたサーバーです。
うまく泡立たせて適度に炭酸を抜いたビールは、苦みや麦の甘みも生き物のように変化していきます。造り手と注ぎ手のこだわりが詰まった一杯を、心行くまで堪能しましょう。
いつもの味が、いつでもそこにある。
「ここをどう使いたいかは、お客さんに決めていただければ」と奥平さん。一軒目の前の最初の一杯や待ち合わせ場所に、食事後のちょい飲みに、タクシー待ちのひと息に…… 使い方は自在です。老若男女問わず多くのビール好きが集う中、ひとり時間を楽しむ女性客も多いとのこと。お店の居心地のよさが、自然と人を惹きつけているようです。
あそこにいけば、必ず美味しいビールが飲める。そんな“変わらない安心感”があるのがPivo。時折、オーナーの気まぐれで開催される液種変更イベントもまた、楽しみのひとつです。
「とにかく美味しいビールが飲みたい!」と思ったその時は、心の赴くままふらっとお立ち寄りください。