老舗の名宿が、光と風を感じる開放的な空間に。
明治17年開業、あわら温泉と共に歴史を重ねてきた老舗旅館『べにや』。3年前の火災で建物が焼失しましたが、2021年夏に『光風湯圃 べにや』として再出発しました。日本を代表する建築設計士小堀哲夫が手がけた新生『べにや』は、光と風が感じられる開放的な平屋造りの空間です。
17の客室は、ひとつとして同じものはありません。全館バリアフリーで、それぞれに源泉掛け流しの半露天風呂を設けています。すべての客室は庭や専用の坪庭に面しており、館内のどこにいても光が射し込み、風が通るよう設計されています。都会の喧騒から離れ、光と風と温泉と豊かなあわらの風土にゆっくり身をゆだねれば、心と体が芯から癒されていくようです。
17の個性を楽しむ客室と源泉掛け流し半露天風呂。
17の客室は、以前の部屋名を継承しています。今上天皇・皇后両陛下や石原裕次郎氏が泊まった『呉竹』の部屋、小上がりを船に見立て庭の池を望む『音羽』、坪庭のあるモダンな『飛鳥』など、それぞれ間取りやデザインはすべて異なる非日常空間。その一方で、「奇跡的に火を逃れた掛け軸と生花の室礼は〝昔のまま〟にこだわっています」と語る女将の奥村智代さん。
部屋に居ながら源泉掛け流しの温泉を半露天風呂で楽しめるのも、新生『べにや』ならでは。あわら温泉には74本の源泉があり、『べにや』はそのうち4本を所有。温度の高いたっぷりの湯量に恵まれ、自然の掛け流しを独り占めできます。また、大浴場として女性専用『光の湯』と男性専用『希の湯』があり、それぞれ露天風呂が楽しめます(男女入れ替えなし)。
景色を愛で、旬を楽しみ、湯に身を委ね、人に寄り添う。
料理は朝晩ともに、お部屋食が基本。それぞれの部屋にて、一番景色が良いところで食事を楽しめるよう配置されています。福井の旬の食材にこだわった特選懐石をはじめ、11月上旬から3月下旬までは厳選『越前がに』料理が登場。朝食には、あわら市内の牧場で育てられた平飼い玉子や地元農家から直接届く食材を使った、フレッシュでヘルシーな朝ごはんを味わえます。
『光風湯圃』には「移りゆく光も風も過ぎゆく時も心地いい、たおやかなる湯に身を委ね、田園に包まれたあわらの中で、ひたすらにのんびりと自然が育てた風土を食す」という意味あいがあると教えてくれた女将さん。「自然を生かし、人に寄り添い、人に想いをはせる宿。再出発まで3年間支えていただいたあわら温泉の方々への感謝の気持ちと共に、地元の人が手がける素晴らしい食材や福井の職人の手技を提供し、温かいおもてなしを大事にしていきたいです」と微笑みました。