日本最古の「雲丹商」、ここにあり。
文化元(1804)年、越前藩主松平家より藩の御用商を命ぜられ創業した『天たつ』。3代目・天野五兵衛が、当時の越前福井藩主・松平治好公から命じられた「戦時中に日持ちする貯蔵食」の開発で『汐うに』の製法を考案したことが現在の原点となっています。その深い味わいは日本三大珍味の一つに数えられるほどで、今なお桐箱入りを用意するなど、「大切な方への贈り物としても使っていただきたい」という真摯な想いを『汐うに』作りに込めています。
「ただただ喜んでいただける美味しい雲丹を創り続けることが、我々のアイデンティティだと考えています」と話すのは、11代目店主の天野準一さん。その昔、藩主の命を受け、喜んでほしい一心で不朽の名作を作りあげた心を今なお忘れず、食した人の笑顔に繋がる丁寧な逸品を作り続けています。
雲丹を知り尽くしているからこそ引き出せる、真の美味しさ。
『天たつ』の代名詞といえば、やはり『汐うに(越前雲丹)』です。口に入れた瞬間に感じる鮮烈な潮の香りと旨味が凝縮した濃厚な味わいは、一度食べたら決して忘れられません。「実はこれを100g作るのに100個以上のバフンウニが必要なんです」と11代目。
バフンウニは成長しても2~3cm程の大きさにしかならないため大量に必要となりますが、漁期は夏の1カ月間のみ。まさに貴重な海の恵みをいただくわけです。
「実は汐うにの作り方は200年前と何も変わっていません。しかし、浜や作り手によって味が全く異なります。私達『天たつ』でも作っていますが、さらに県内の漁家さん約20軒からも仕入れています。それぞれの熟成具合を見極め、1~3年、低温で寝かせた物をブレンドすることで相乗的に最高の状態を作り出すのですが、これは長年の経験と実績から編み出した方法です。熟成によって旨味が増すことは、独自に依頼した研究機関で科学的に実証されました。私達は“過去最高に美味しい汐うに”が提供できていると自負しています」。
そんな過去最高の味わいが堪能できるのは、汐うにだけではありません。戦前に贅沢品として禁止になった「干うに」は、甘味と磯の香りが凝縮し、生雲丹よりも雲丹らしさを強く感じられる傑作品といえます。また汐うにを乾燥させてパウダー状にした「粉うに」は、ご飯のお供としてはもちろん、刺身などにかけても絶品です。思い思いの楽しみ方で、至福のひと時をお過ごしください。
雲丹の奥深さは計り知れない。
「創業から200年以上が経ちましたが、これからも汐うにを大切に作り続けていくことは変わりません。しかし時代が変わり、求められるものは変わっていきます。だからこそ、雲丹の知られざる魅力を発掘・発信していくことを続けますし、その時代の人々が求める形で提案していきます」と天野さん。それが「雲丹あわせ」シリーズです。汐うにで作った濃厚なソースを、あわびやカニ、甘エビ、若狭牛のローストビーフなどと合わせた贅沢な一品は、汐うにの奥深さと可能性を存分に感じさせてくれます。
また汐うにグラタンや炊き込みご飯の素、アヒージョなど、手軽な調理でレストランのような味わいが楽しめる商品も開発。こちらを入口に、汐うにに辿り着く人もいることでしょう。
「時代ごとに最も美味しい雲丹の味を追求する」。各界の著名人はもとより、日本を代表する料理人達にも愛されている味わいには、いつの時も老舗だからこその「守り」と「挑戦」が感じられます。