創業寛政3(1791)年。県内唯一の三国提灯屋。
創業から230余年の歴史を持つ、坂井市三国地区の『三国提灯 いとや』。三国祭や三国花火といったイベントに花を添える「三国提灯」の技術を受け継ぎ、次世代に繋いでいます。
「三国提灯」の製作は、12の工程すべてが手作業で行われています。木型を組む、竹ひご製の骨をかける、糸をかける、糊付け、和紙を張る、型を外す、絵付け、油引き、天日干し、道具取り付け・点検など、他県ではほぼ分業制となっている工程もすべて1人の職人の手に委ねられているのです。3代目店主の小島さんは「うちのように木型を使った製作から取り掛かっているのは、全国的に見ても珍しくなりました。もう数えるほどしか残っていないんですよ」と言います。
そんな一つひとつ丁寧に作られた提灯は寺社仏閣を中心に納められていますが、近年では看板代わりに吊るすお店もあり、和ブームも相まって密かな人気を呼んでいます。なんと、日本文化への関心が高いフランスでも好まれているというから驚きです。
自分で作る、文化に触れる。
こちらでは随時ワークショップ(完全予約制)も行っています。明治時代に建てられた蔵をリノベーションした工房で平日午後1組だけができる限定体験は、提灯作り体験と絵付け体験の2つ。
提灯作り体験では提灯そのものを昔ながらの手作りで製作することができ、絵付け体験では職人が実際に行う手法で描くことができます。オリジナルデザインも可能なので、出来上がりはまさに世界に一つだけの特別品。越前和紙を通した光は柔らかく、見ているだけでも心が安らぎます。
「お店に足を運ぶ時間を作るのは難しいけど、提灯作りに興味がある」という方には、手作りキット『湊灯(みなとび)』がおすすめです。3種類の和紙からお好みの色が選べ、1時間程で作ることができます。同封された説明書には作り方動画のQRコードがあるので、注意が必要な手順でも安心して作業を進められます。
現代の住宅等にも馴染むデザインになっており、完成後はインテリアとしても楽しみたいところ。こちらはネット通販でも買うことができますので、気軽に挑戦してみて下さい。
三国湊の“粋”は、お洒落になる。
また小島さんは「三国の活性化に一役買いたい」と、三國湊をモチーフにした商品も手掛けています。「提灯は三国の伝統・風習という土台があって成り立つもの。だから提灯だけに留まらず、文化や風景を含めた三国地区の魅力をもっと伝えていきたい」との思いを込めて、現在「福井県三國湊手ぬぐい(5種類)」と「越前和紙レターセット(6種類)」などの雑貨「恋みくに」シリーズを展開しています。
どちらもデザインは越前市在住のaiMIKIさんが手掛け、今後は新しいデザインやラインナップを順次増やしていく予定です。文化を受け継ぎ、次世代に繋ぐお店ならではの“新しさ”も、ぜひ併せてお楽しみください。