ページトップへ

細部まで美しい職人の手仕事『井上徳木工』

SPOT
スポット情報

丹南エリア

  • 美技
information

有限会社 井上徳木工
福井県鯖江市河和田町26-19(地図
電話/0778-65-0338
HP/https://www.tokumokkou.jp/

 

credit
文:古川朋香  写真:出地 瑠以(cocoon)

最終更新日 : 2022年8月14日

木の香りが心地よい木工所。

鯖江市河和田地区にある『井上徳木工(いのうえとくもっこう)』は、越前漆器の「角物」と呼ばれる箱物の木地を作る工房です。1955年の創業以来、重箱やお盆、曲げわっぱのお弁当箱などさまざまな漆器の木地や木工品の製作を手がけています。2代目の井上孝之さんの案内で工房に入らせていただくと、ふわっと木のいい香りがしました。

『井上徳木工』では、木地に使う木材の選別・裁断から、パーツの加工、組立て、仕上げまでを行います。木地の形状や加工方法によって異なるさまざまな専門用語を井上さんから教わるのも楽しいひととき。製品を見ながら、「内側の小さいパーツをノミで削って丸くする技法は『たつぎ(立木)』と呼ばれるんですよ」と教えていただきました。

繊細な手仕事が生み出す美しい形と上質な手触り。

繊細でシンプルな製品を作る『井上徳木工』。作りがシンプルだからこそ、わずかな厚みの違いや角度のずれであっても、美しい製品にはなりません。そのため、精度の高い技術が要求されるのです。

井上さんは、木目や木の柔らかさなどの木材の特徴を理解し、細部まで計算したうえでパーツを作り上げます。機械を使って部材をカットするときの角度調整は、長年の経験で培った感覚をもとに目で見て触って行います。パーツ同士の組立てや仕上げも、まさに職人の技。『井上徳木工』の作る箱物は、鋭角なのに手になじむのです。フォルムを崩さずに上質な手触りを実現できるのは、長年の技術と経験の積み重ねによるものでしょう。

『井上徳木工』の組立ての技術は、1枚の板でなくパーツを組み立ててひとつの箱を成形しているのが特徴です。非常に高度な手仕事でありながら、完成した漆器では木地が漆の下に隠れてしまうため、技の細部を見ることはできません。そこで誕生したのが自社商品『Lr(エルアール)』です。

職人の顔が見えるものづくりを。

RENEWという工房開放イベントへの参加をきっかけに、自社商品にも力を入れ始めた『井上徳木工』。それまでは下請けとしての仕事がほとんどで、自社の技術をお客さまに知ってもらえる機会がなかったといいます。

2020年に誕生した自社ブランド『Lr』は、現代の暮らしになじむモダンな木製品です。色目や木目がシンプルな木材を使用し、塗りを極力薄くすることで、『井上徳木工』の技術をふんだんに感じることができます。和洋どちらにも合う薄い色味は、拭き漆や吹付け塗装など越前漆器の技術によるもの。メンテナンスしながら長く大切に使える、伝統と技術を活かした逸品です。

「河和田はたくさんの職人さんで成り立つ産地です。自社の商品をきっかけに、産地の技術や職人さんのことをもっと知ってほしいですね。自社だけが目立つのではなく、産地全体として元気になっていきたい」と井上さんは語ります。

information

有限会社 井上徳木工
福井県鯖江市河和田町26-19(地図
電話/0778-65-0338
HP/https://www.tokumokkou.jp/

 

credit
文:古川朋香  写真:出地 瑠以(cocoon)