海のような、空のような青のグラデーション。
深い海の底をのぞいているような、あるいは澄みきった空を眺めているような…。『曽明(そうめい)漆器店』が手がける『Kyutarou Blue』シリーズの器は、鮮やかなブルーの色彩に思わず見惚れてしまいます。
一つひとつ表情が異なる木目。ブルーの色が重なることでグラデーションのようになり、ある人は海、またある人は空のようだと例える人もいるそうです。
『曽明漆器店』は1923年に創業した漆器店。越前漆器を全国の百貨店や小売店に卸販売しており、初代曽明久太郎の名前を取った『漆器久太郎』という名前のネットショップも展開しています。
「もともと青色は食まわりに使うことがタブーと言われてきました。このあたりでも木と青を組み合わせた器を作っているところがなく、だったら自分で作ってみたいと思ったんです」と語るのは、『Kyutarou Blue』の生みの親である曽明晴奈(そうめい はるな)さん。2018年から開発をスタートし、2019年に展示会で出したところ大きな注目を集めました。
職人たちと二人三脚で生み出した美しい色彩。
『Kyutaro Blue』は、越前漆器の職人の高い技術によって生み出されています。漆ではなくウレタンを使うことで、美しい青とともに木目を表現。
ただ塗料を吹きつけただけでは木の表情が生かされないため、木目が見える半透明の青い塗料をまとわせ独特の表情を生み出しています。
色は、「スタンダード」と、「爽-sou-」の2種類。「スタンダード」はロイヤルブルーのような上品で美しい濃い青で、深い海の底を覗いているような神秘的な美しさが特徴です。一方、「爽-sou-」はスタンダードよりも明るく、西海岸を思わせるようなターコイズブルーの色は、カジュアルなインテリアにもよく似合います。
この色を出すまでにはさまざまな試行錯誤があったそう。「同じ塗料の配合でも気温や木地自体の色によって微妙に色が異なってしまうのです。どんなコンディションでも色がブレることなく安定した仕上がりになるよう、職人たちと二人三脚で取り組んできました」と曽明さんはいいます。
今のライフスタイルに合った漆器の魅力を発信。
『Kyutaro Blue』のシリーズでは、器やカトラリーなどさまざまな商品を展開しています。越前漆器の伝統と技術を受け継ぎ現代のライフスタイルにあわせた新しい食器は、女性だけでなく男性のファンも増えているとか。ショップにはこれまで漆器に馴染みがなかった若い人も訪れ、自分用やプレゼント用に選ぶ様子が見られます。
「初代の久太郎が築いてきたものを大切にしながら、今のライフスタイルにあったものを伝えていきたい」と語る曽明さん。ぜひ実際に手に取っていただき、画像では伝わりにくい木目と青の表情を感じていただきたいと思います。