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漆を生かす「古代朱塗り」の名工 丸物塗師『畠中 昭一』

塗師歴65年、「今でも楽しい。」

昭和16年に河和田町の木地職人の家に生まれた畠中昭一さん。お椀などの丸い器に漆を塗る「丸物塗師」の伝統工芸士です。中学を卒業後に塗師としての修行を始め、昭和42年に26歳の若さで独立。当時はどの工房も5〜10人の弟子を抱えていて、ある程度できるようになれば独立するのは当たり前のことだったそう。現在80歳の畠中さん。塗師になられて65年という経歴についても「河和田で生まれたら普通のこと」と言います。

これだけ続いたのは好きだったからだと思う、と畠中さん。「今でも楽しい。楽しくないと続けられない。イヤイヤやっていたらいい仕事はできない。」と言います。元々一つのことを極めるのが好きで、アユ釣りにハマったことも。「あれもこれもやりたいとは思う。でも自分に合うことは、1つか2つほど。」今も一日中作業場で仕事をしていても疲れないのだとか。

飴色が美しい古代朱(こだいしゅ)塗り。

塗りの工程には、まず木地に漆を染み込ませて強度をもたせる「木地固め」、木地固めの後麻布を貼って割れにくくする「布着せ」の【下地固め】、土からできた地の粉や砥の粉と生漆を混ぜた錆(さび)漆をへらで塗る「錆つけ」とそれをやすりで研ぐ「地砥ぎ」を繰り返す【下地塗り】、その後に刷毛で漆の吸収をとめる【中塗り】があり、最後に仕上げの【上塗り】という作業があります。どの工程にもそれぞれの難しさがあるそうです。

塗師の個性が一番出るのは仕上げの「上塗り」の部分。畠中さんが得意とするのは飴色がきれいな「古代朱(こだいしゅ)塗り」。独特の重厚な色味は、今や貴重となった日本産漆を混ぜた、畠中さん開発によるオリジナル。いい漆を使ったらどうなるか、やってみたかったというのがきっかけでした。

「これでいいというのはない。今も勉強。」

とても温厚で優しい雰囲気の畠中さんですが「職人気質で頑固。子供の頃は喋ったら怒られそうで、近づくのも怖かった」と話す長男の信也さん。現在は工房でほとんどの仕事を任されています。尊敬するところはと尋ねると「仕事がていねい。『昭一さんのところで塗った品物はきれい』と言われている。来た仕事は断らないし、歳をとっても挑戦し続けているところはすごいと思う」。

現在工房では、茨城県出身の仁平星奈さん(23歳)がお弟子さんとして修行しています。高校生の時に伝統工芸に興味を持ち、大学で伝統工芸を学び漆塗りを選んだのだそう。畠中さんの元で修行を始めてから現在5年目。今でも塗り上がったのを見られる時や自分が塗っているのを後ろから見られていると緊張するのだとか。

「この仕事はこれでいいというのはない。今も勉強。この歳になっても、若い子がやっているのを見て気づくこともある。」と畠中さん。新しい技法を見ておもしろさが見えることがある、と今も挑戦が続きます。

ここにいけば福井のグッドデザインが見つかる『SAVA!STORE』

大切に使いたくなる、物語のあるもの

福井のものづくりにこだわったグッドプロダクツに出会える、鯖江市河和田町の「SAVA!STORE」。隣接するローカルクリエイティブカンパニー「TSUGI」プロデュースによるこちらのお店には、こだわりの目線で選ばれた伝統工芸品やオリジナル雑貨などが所狭しと並んでいます。

質の良い工芸品に遊び心が加わったような楽しいデザインのものから、資源を無駄にしないエシカルなものづくりにこだわった雑貨まで。近くにおいて、大切に使いたい商品ばかりです。小学生のお子さんの自由研究から発想を得て誕生した廃棄野菜が原料の「フードペーパー」など、それぞれの商品が持つストーリーにもひかれます。商品の背景を知ることができるのは、現場に近い産地ならでは。

デザイン会社ならではのセンスが光るオリジナル商品

ポップなデザインが目をひく「SAVA!STORE」オリジナル商品もおすすめです。メガネの端材の再利用をきっかけに生まれた「sur」のアクセサリーは、どんなシチュエーションにも合うシンプルで洗練されたデザインが人気。「めがねのまち」として知られる鯖江市の眼鏡工場で作られているというところもなんだか魅力の一つに思えます。

マスクをつけながらでも楽しめるイヤーカフは、重ねづけも楽しいアイテム。思わずクスッと笑ってしまうゆる〜いデザインでつい買ってしまうTシャツやキャップなど、他にもワクワクなアイテムが揃います。

産地だから出会える、ものづくりの”いま”

TSUGI運営による体験型マーケット「RENEW」開催でも注目を集めている河和田町。「RENEW」をきっかけに訪れる方が増えたことで、2019年に直営店『SAVA!STORE』をオープンしました。それまではパッケージやホームページをデザインするところまでを担当していましたが、実店舗を持ち、買い手に商品の背景を直接伝えることができるように。

『SAVA!STORE』がある複合施設「TOURISTORE(ツーリストア)」には、漆器工房や観光案内所、レンタサイクルも。人気の「TOKYOBIKE」で河和田をめぐるのもおすすめです。河和田の歩き方に迷ったら、ぜひここへ。

『ラ ポスト』新鮮野菜をたっぷり味わうカジュアルフレンチ

色とりどりの野菜をたっぷりフレンチでいただく。

永平寺口駅前に佇むフレンチレストラン『ラ ポスト』。フランス語で「郵便局」を意味する店名のとおり、元々郵便局だった建物をリノベーションした、心和む雰囲気の店内で美味しいフレンチをいただけます。オーナーシェフ近岡さんは石川県・能登半島出身。能登で農業に携わるご両親から届く新鮮な無農薬野菜を使った、カジュアルなフランス料理が人気のお店です。

ランチタイムは、旬のお野菜を使ったメニューが20種類以上並ぶ「おかわり自由」なサラダが好評。どれも丁寧につくられた、種類も豊富なお野菜をたっぷり堪能できるのが魅力的。ランチサラダ詰め放題のテイクアウト(500円)も人気です。

皿の上で魅せる、目にも舌にも美味しい料理。

「フランス料理は皿の上で表現する魅せる料理」と近岡さん。大学生時代にバイトしていたホテルのレストランで、「師」と仰ぐシェフに出会ったことがフランス料理の道を選ぶきっかけに。その後もホテルやフランス料理店で経験を積むうちに、盛り付けにも自分なりの個性ができていったそうです。旬の魚介や若狭牛などのメインとともに、野菜をふんだんに使ったお料理は、見た目の彩りや華やかさにシェフの盛り付けへのこだわりが見えます。

季節ごとに変わるメニューは、旬の野菜に合うメインを考える「普通とは逆の発想」だそう。コース料理ではメインを含め一皿に約10種類の野菜を使用し、野菜を楽しめるコースになっています。見た目だけでなく食べやすさにもこだわり、地元のご年配の方でもお箸でぺろりと食べて帰られるのだとか。

美味しく食べながら、癒やされる空間。

お昼は調理法や素材がちがうメインを2種類ぜいたくに楽しめるBランチがおすすめ。
ディナーのおまかせコースでは「食べて終わるだけでなく、ここでの滞在時間を楽しんで欲しい」と最後にテーブルの上で完成させるデザートなどエンターテイメントな演出が。

郵便局時代に使用されていたドアや室名札をそのまま残した内装など、ところどころにに旧郵便局の名残を感じるノスタルジックな趣と南仏をイメージしたインテリアがとても居心地の良い店内。思わずゆったりとくつろいでしまいます。「この雰囲気にも後押しされる」と近岡さん。窓から見える永平寺口駅前ののどかな風景にも癒やされる、心もお腹も満たされるレストランです。

山間の秘境で、絶品アマゴとジビエ料理をいただく『あまごの宿』

大自然のめぐみ!ここでしか味わえないアマゴ料理。

勝山市野向町の山あいに佇む『あまごの宿』では、新鮮なアマゴ料理やジビエ料理を満喫できます。

「アマゴ」とはサケ科サケ属の渓流魚で、幻の魚と言われている日本古来の在来種。さくら色の身がとても美味しいお魚です。こちらでは、隣接する養殖池で、そのアマゴを採卵から孵化、成魚になるまで無投薬で養殖しています。全部で32面もある養殖池は、形が八角形になっていて、流れに逆らって泳ぐアマゴの習性を生かすための工夫がされています。アマゴはとてもデリケートなお魚なので、日々の管理も徹底されているそうです。

そうして大切に育てられた新鮮なアマゴを、さまざまな調理法で味わうことができるコース料理は、焼き物・天ぷら・お造り・お寿司に甘露煮など種類も豊富でボリューム満点。特に川魚は鮮度が落ちやすいので、お造りをいただけるのはとても貴重。また川魚が苦手な方でも美味しく食べれるという塩焼きも絶品です。

脂身の旨味がたまらない新鮮なジビエ料理も。

アマゴのコース料理は7品の「郷美料理」2,200円から、豪華な14品の「錦味料理」8,800円まで7種類。追加330円でご飯をアマゴのたまごどんぶり「あまたまどん」に変更も。イクラによく似たサケ科のアマゴの卵は、口の中でとろける美味しさです。

アマゴ料理だけでなく、イノシシ、熊、キジなどの新鮮なジビエ料理もまた格別。脂身の旨味を堪能するぼたん鍋や熊鍋、鶏肉とくらべさらっとした脂身のキジ鍋は〆のおじややうどんもあっさりとしていて美味。みんなでちがう鍋を注文してシェアするのもおすすめだそうです。

お鍋は猟が始まる10月頃からGW終わりまで。それ以外の時期は、陶板焼きでジビエを楽しめます。ジビエ料理は、内容や時期により在庫がない場合もあるため、事前予約がおすすめです。

澄んだ空気と美味しい水。夜にはプラネタリウムなみの星空。

『あまごの宿』では、飲み水もお料理に使われているお水もすべてお宿の後ろにそびえる越前甲山の中腹より湧き出る清水を汲んでいます。『あまごの宿』の福田さんによると「ここより上には人が住んでいないので水が汚れない」とのこと。その湧き水で炊くコシヒカリの味もまた格別です。
お鍋のスープにも使用されているお味噌は、毎年1月に寒の水で煮たお豆で作る手作りのもの。地産地消にこだわったお野菜も、可能な限り勝山の地元で採れたものを使っています。

食事だけでなく宿泊もできるので、アマゴやジビエを堪能したら、夜には大阪府出身の福田さんが越してきたとき「プラネタリウム」で見るのと同じでびっくりしたという満天の星空が見れるかも。(お天気が良ければ)
とても朗らかな福田さんの人柄やおもてなしからも大自然の恩恵を感じてしまう、緑に囲まれた立地もすべてご馳走に。大自然を感じながら過ごせる贅沢な時間にどうぞ。

日本海の恵みを心ゆくまで堪能する『みくに隠居処』

日本海の恵みを堪能。見て感動、食べて感動の海鮮丼。

坂井市三国町、三国サンセットビーチの目の前に位置する『みくに隠居処』。屋号の由来はその昔、福井藩主・松平春嶽の参謀だった中根雪江の隠居所「煙波楼(えんぱろう)」が三国港にあったことから。

三国は、暖流と寒流がちょうどぶつかるところで、最高の漁場ともいわれます。こちらでは、そんな最高の漁場で水揚げされた地魚や甘海老などの特産品を満喫できます。本マグロのトロや新鮮な旬のお魚など常時約10種類のネタが器からあふれんばかりに盛られたお店自慢の「みくに海鮮丼」が一番人気。地元で採れた甘海老や、冬の時期には越前がにのむき身などものる豪華な海鮮丼は、三国に足を運んだら一度は食してみたいメニューです。

他にも豪華な舟盛りや、冬の時期には越前がにをお刺し身、ゆで、焼きなどさまざまな調理法でいただける豪華なフルコースも。

目の前で釣って、すぐ食べれる。ここだから叶う”新鮮さ”

三国の海の目の前という立地ならではの体験も楽しめます。併設されている「おさかな集積所おとと」では、海釣り体験教室や釣り人向けのサービスも充実しています。

完全手ぶらでも参加可能な「海釣り体験教室」は、インストラクターによる丁寧なレクチャー付きなので未経験者でも安心。釣れたお魚をインストラクター指導のもとさばいたり、さばいた新鮮なお魚を専門スタッフが調理しランチでいただくことも。釣れなくても地元漁師さんが釣った魚をサービスしてくれます。アウトドアでのびのびと楽しめることもあり、コロナ禍以降は特に人気だそうです。

食べたあとは、美人の湯を満喫。

『みくに隠居処』では、お食事のみの立ち寄りはもちろん、宿泊もおすすめです。三国海水浴場の地下深くから汲み上げている三国温泉は、低張性弱アルカリ性高温泉。ナトリウム・カルシウムを含む塩化物泉で、美人の湯としても知られています。

自慢の泉質を源泉かけ流しで、檜の香り漂う貸切風呂で堪能できるのも魅力的。洗練された雰囲気と、高級ホテル御用達のシモンズ社のベッドでとことんリラックスできる空間です。

お宿の2階には、日本海を一望できるオーシャンビューテラスも。ここから見る日本海に沈む美しい夕日は、何度見ても飽きない光景です。三国で採れる新鮮魚介を堪能した後は、美人の湯と美しい日本海の景色に癒やされる大人の隠れ家的なお宿です。

ロケーションとともに味わう絶品シャルキュトリー『ラ クラルテ』

お肉本来の旨味と薪の香り。絶品自家製ソーセージ。

のどかな原風景が広がる坂井市丸岡町の竹田地区で、廃園になった保育園をリフォームして2017年にレストランとしてオープンした『ラ クラルテ』。ヨーロッパの山奥で過ごすような趣を感じる開放的な空間で、本格的な薪火料理が味わえます。

フランス料理店での勤務経験を経て地元竹田でレストランを始めることになったオーナーシェフの松下さんがメニューに選んだのは、自家製ソーセージを始めとした薪火料理。絶妙なハーブの香りとジューシーなお肉本来の旨味を感じるソーセージは、「ソーセージ」の概念が変わる感動の美味しさ!秋田県八幡平ポークや石川県の能登豚を2年間熟成させた自家製生ハムの、やさしい塩気とじわじわと余韻の残る甘みもここでしか体験できない味です。薪火で焼いたクロワッサンもまた格別。

大自然の恵みに感謝したくなる”ごちそう”。

ランチは一番ベーシックなランチメニュー「プラトー」から、パンとスープのセットやパスタ、肉料理を組み合わせて豪華な内容にグレードアップすることができます。

「プラトー」に必ずつく無添加の自家製ソーセージは、松下シェフが自分の子供により安心なものを食べさせたくて自宅で作り始めたことがきっかけ。まわりにも好評だったことからレストランのメニューにできると自信になったのだとか。

地元で採れた旬の野菜も取り入れたメニューは、自然ゆたかな竹田ならでは。ディナータイムは完全予約制です。(人数や予算により対応可能)夜は、お昼とはまた違った雰囲気でくつろげます。14:00〜16:00は、デザートとドリンクのカフェタイムにも。

心も満たされる、贅沢に過ごす時間に。

薪オーブンに使用する薪は、林業を営むご主人が地元竹田の山から運んでくるもの。「夫が山から運んできた木で私が料理したものを食べてもらう。そんなつながりもアピールできれば」フランス語で「光」を意味する店名の『ラ・クラルテ』は、子供が減り廃園になった保育園の跡地で竹田の「光」のような場所になれればという想いから。

石積みの外壁や壁につまれた薪木などラスティックな雰囲気の店内に窓の外の緑が加わった、なんともステキな空間でゆったりと過ごす贅沢な時間は、お腹だけじゃなく心も満たされることまちがいなしです。

また、広いスペースを利用して本格的な「生ハムワークショップ」や「ワイン会」、「コンサート」などのイベント・ワークショップも行っています。(詳細についてはインスタグラムをチェック)

福井の旬のご馳走とレアな日本酒を堪能 『旬香酒燈 煙や』

福井駅前で、福井の四季を贅沢に味わえる。

福井駅から徒歩約2分。福井駅前で旬のお料理と美味しい日本酒を堪能できる『旬香酒燈 煙や』。「季節感」を重視して毎月内容が変わる種類豊富なお料理は、いつ訪れてもその時の福井の「旬」を楽しめます。

魚介は直接越前漁港から、野菜などの食材も直接生産者からなどなるべく「近いもの」をと材料の仕入先にもこだわっています。若狭グジやのどぐろ、若狭牛など福井ならではの豪華なものも。池田町や南条町から直接漁師さんが運んでくるツキノワグマ、イノシシ、シカなどの新鮮なジビエ料理が味わえるのも、ここならでは。

豊富なメニューをコース料理でとことん満喫。

店名の『煙や』は福井駅前に煙をあげようという思いから。元々凝り性だという店主の山下さん。「他にないものをうちで味わってほしい」と仕入れや調理法、器やおもてなしに至るまで全てにとことんこだわり、来る方に楽しんでもらえる料理を常に追求しつづけているそうです。

「旬」を堪能できるコース料理は4,000円(7品)、5,000円(9品)、6,000円(9品)、8,000円(11品)。肉割烹コース(6,000円〜)、フグのコース(8,000円〜)、のどぐろのコース(8,000円〜)なども。冬の解禁時期には越前がにのコースがぜひおすすめです。「競りで自分で直接見て買い付けるので、味にも値段的にも自信がある」と山下さん。

レアな銘柄にも出会える、県内屈指の日本酒のラインナップ。

『煙や』ではぜひ美味しい旬菜とともに日本酒を合わせるのがおすすめです。豊富な日本酒のラインナップは、福井の美味しい地酒から全国のレアなものまで70種類以上と充実。常にレアなものを用意しているそうなので、入手困難な銘柄にもここでなら出会える可能性が。選んだお酒は銘柄の名前と特徴が書かれた札とともに提供され、まだ知らない銘柄に挑戦したり、レアな銘柄を飲み比べるのも楽しいです。御札はそのまま持ち帰ってもOK。気に入った銘柄を覚えておきたい時にも便利。

カウンターやテーブル個室に座敷など席の種類も豊富なので、女子会や仕事の会合、カップルでも、一人でしっぽり飲みたいときにも。

福井の風土に合わせた「淡麗旨口」を醸しつづける『常山酒造』

海の幸にも山の幸にも合うキレあがりのいいお酒。

福井市のまちなかにある蔵元として知られる『常山(とこやま)酒造』。創業1804年(文化元年)の、福井の気候風土に合わせた「淡麗旨口」な酒造りに定評がある蔵元です。「海の幸も山の幸もある福井の食材に合わせた酒造りを考えたとき、あまい酒よりはキレ上がりのよい淡麗な、でありながら米の旨味が備わっているような新しい感覚の辛口を。」とは9代目の常山晋平さん。自分の代になってもその概念(カタ)だけは受け継いでいるそうです。

『常山酒造』といえば「常山(じょうざん)」。晋平さんの父・7代目が「その名がとどろくように」と立ち上げた代表銘柄です。その7代目が他界したのは晋平さんがまだ19歳だった時。その10年後に東京から帰福し、3年後には醸造責任者に。最初の年は不安で寝る間も惜しんで毎日のように蔵に行っていたそう。「今思えば無謀だったかも。でもその経験があって今がある。逃げ道をなくして結果よかった。」 

代表銘柄「常山」と福井の海を感じる「玄達」「荒磯」。

「常山 純米大吟醸 特別栽培米 美山錦」は、美山地区で減農薬栽培された酒米を使用した、美山の自然を感じるやわらかい口当たりが特徴。フランスで開催されている日本酒コンクール”Kura Master”の「純米大吟醸部門」にて、2017年度・プラチナ賞、2018年度・金賞、2020年度・金賞を受賞。海外でも高い評価を受けています。

エレガントな香りと奥行きのあるお米の旨味を感じる「常山 純米大吟醸 特別栽培米越前山田錦」はJALファーストクラス機内酒にも採用された銘柄です。

福井の海を表現した「玄達」と「荒磯」は季節限定。夏の日本海をイメージした「玄達」は例年6月中旬の”玄達瀬”の解禁に合わせてリリース。”釣り人の聖地”と呼ばれる玄達瀬でとれる魚介に合うようなライトな飲み口が特徴です。冬の荒波をイメージした「荒磯」は、例年12月の中旬に発売。海が荒くなり魚の身もしまる冬の時期に合わせた、ドライな中にもジューシーなお米のうまみを感じる、日本海の荒波がはじけるような微炭酸です。

実は女性にも人気の「常山」で、おうち時間をぜいたくに。

「父が立ち上げ、先代である母と前杜氏から自分に引き継がれた『常山』の”あるべき姿”を、自分の代で思うような形にすることができたら。」と晋平さん。コロナ禍で改めて、毎年酒造りができることを当たり前と思ってはいけないと感じたそう。「お酒を通じて福井の人や福井に来る人を魅了していきたい。そのためには地元の方に愛してもらわないと。」

辛口として知られますが、実は販売店でも女性人気に定評があるという「常山」。福井の居酒屋や割烹店ではおなじみの、きりっとした「淡麗旨口」をおうち時間にプラスして楽しむのも贅沢です。

白山の雪解け水と永平寺の大地の恵みを味わう『吉田酒造』

恵まれた土地に根ざした酒造りをつきつめる。

1806年(文化3年)に大本山永平寺のふもとに蔵を構えた『吉田酒造』。原料の酒米の栽培から仕込みにいたるまですべての工程を一貫して永平寺で行っています。約30年前に福井県で初めて「山田錦」の栽培に成功し、近くで育つお米と敷地内で汲み上げる霊峰白山の雪解け水のみで酒造りをしています。田んぼにひかれている水もお酒の仕込み水も同じ水系なので、自然となじみがよいそう。近くで育った分その年の気候や日照時間がわかるので、つくりたいお酒に合わせてどの場所のお米を使うかまでこだわっているそうです。

「お酒づくりをつきつめ、お米づくりをつきつめる。その中で自分たちが成長することで、この里山を守ることもできる。そうすれば少しでも農業に還元できる」と7代目の吉田由香里さん。現在杜氏を務めるのは、次女の真子さん。先代の思いを受け継ぎ、新たな時代へと「白龍」をさらに進化させています。

代表銘柄「白龍」と微炭酸の「ドラゴンキッス」。

吉田酒造の代表銘柄である「白龍」という銘柄名は、冬の厳寒期に蔵のすぐ後ろを流れる九頭竜川から立ち上っていく水蒸気が白い龍のようにみえる様子から。フランスで行われる日本酒コンクールKURA MASTER 2019の純米酒部門で金賞を受賞した、「白龍 純米吟醸」通称”ブルーボトル”は、フルーティーな香りとお米の甘みの中に、スッキリとした酸味を感じます。バランスのよい瑞々しい味わいは、どんなお料理にも合う女性人気ナンバー1の商品。

女性をターゲットにつくられた「ドラゴンキッス」は、シュワシュワとシャンパンのようにはじける微炭酸の日本酒。低アルコールで気軽に飲めるので日本酒になじみがない方にもおすすめです。

永平寺の風土とそこに住む人の気持ちがつまった「永平寺テロワール」。

お米は足音を聞いて育つと言うそうです。先代が残した「目が届く 手が届く 心が届く」という言葉のとおり「目をかけてやればいい田んぼになる。お酒造りも同じ。ここにある大自然や風情すべてを詰め込ませているという、その気持ちそのものが永平寺テロワール。混じりっけのない永平寺そのものを瓶の中に詰めさせていただいています」と吉田さん。夏に田んぼに稲の白い花が咲いた景色を見ると、毎年感動するそうです。

日本酒になじみのない方も「難しく考えずに飲んでほしい」とのこと。吉田さん自身も、シャーベットを浮かべて飲んだり、コーヒーを凍らせてグラスにお酒を注いだり、アレンジを楽しんでいるのだとか。「自分に合う銘柄や飲み方を探すのを楽しんでいただけたら。」

永平寺のお膝元でいただく、絶品ごま豆腐 『團助(だんすけ)』

精進料理の代表。とろ〜り食感と風味満点のごま豆腐

大本山永平寺の御用商でもある、ごま豆腐専門店『團助(だんすけ)』。永平寺の門前町で豆腐店として明治21年に創業。永平寺を訪れる参拝者に「なにか永平寺らしいおもてなしを」と作り始めたのがごま豆腐。永平寺の修行僧に製法を学び、独自に改良を加えて現在の「團助胡麻豆腐」になりました。

種類は「白ごま豆腐」「黒ごま豆腐」「金ごま豆腐」の3種類。なめらかな舌触りが特徴の「白ごま豆腐」、くらべてねっとりとした舌触りで濃厚な「黒ごま豆腐」と希少価値の高い金ごまを使用した「金ごま豆腐」。なかでもおすすめは、もっとも香りが高く、ごま本来の旨味やコクが強い「金ごま豆腐」。スプーンですくってひと口食べると、とろ〜り食感、お口の中に広がるごまの香りがたまらないです。

美味しいだけじゃない。ごまは身近なスーパーフード。

風味豊かで味わい深く、私たち日本人の食卓でもおなじみの存在の「ごま」ですが、栄養価が高いことでも知られています。ごまは煎ることで風味が増すだけでなく栄養価もUPする(抗酸化作用が上がる)のだとか。良質な油をたっぷり含み、食物繊維やポリフェノールの豊かなごまは、アンチエイジングやお通じの改善にも最適な食材です。ちなみに、白ごまは呼吸器や皮膚、大腸など、黒ごまは婦人科系や腎臓などに効果を発揮するそうなので、どちらもとれば両方の効果に期待大。

『團助』では、風味を高めるためほどよく煎ったごまをペースト状にする行程を3回繰り返し、味に一層コクを加えるため極めて細かく仕上げています。直営店では、胡麻豆腐の他にもごまドレッシングやごま油などこだわりのごま製品もずらりと並んでいます。

直営店はここだけ。ごまの魅力を心ゆくまで。

イートインスペースもある直営店では、ここでしか食べられない「生ごま豆腐」もあります。(コロナウイルス感染防止のため、休止している場合があります。イートインコーナーをご利用希望の際は、店舗へお問い合わせください)

現在土曜・日曜・祝日限定で販売している「胡麻プリン」も人気。やさしい甘味にこだわり、砂糖も少なめで作っているのだとか。若い方向けにと開発したそうですが、意外とご年配の方にも人気なのだとか。ごま豆腐屋さんのこだわりがつまった「胡麻プリン」、美味しくないわけがないです。他にも無調整豆乳と6,000粒の胡麻を使用した「黒胡麻ラテ」、北海道大納言を炊き上げた「胡麻豆腐入りぜんざい」も土日祝限定でテイクアウトできます。

ワンちゃんも一緒に 家族でくつろげる温泉旅館 『月香』

「愛犬と離れたくない、でも温泉旅館に泊まりたい」を実現。

北陸にも愛犬と一緒に泊まれる温泉旅館を、と2017年3月にオープンしたあわら温泉『月香』。お部屋でくつろぐときはもちろん、大浴場以外のスペースではどこでもワンちゃんと一緒に過ごせる、本格的な温泉旅館です。

宿泊の条件は、指定ワクチンの接種証明書の提示(事情によりワクチン未接種の場合は事前に要相談)と、室内犬でしつけがされていることなど。心配な方は、ご予約時に旅館へご相談を。宿泊料は犬種により設定があり、超大型犬でも条件を満たしていれば宿泊可能です。

広々とした大浴場で温泉を満喫したり、地元でとれた新鮮なお魚や旬の野菜などを使った月替りの懐石料理をいただける本格温泉旅館。客室ではベッドでワンちゃんと一緒に寝ることもできる自由度の高さも人気の理由です。

ワンちゃんファースト。心配なあれこれに対応しているから、安心。

お食事処では、他のワンちゃんが気にならないようテーブルごとに仕切りがあり(宿泊プランにより個室も可能)、事前予約でワンちゃん用のお食事も。お肉や野菜を八寸風に盛り付けた夕食のワンちゃん用懐石料理や、お祝い事などにサラダ仕立てのケーキも人気です。

館内には24時間利用可能な屋外ドッグラン、天候や季節を気にせず走り回れる室内ドッグランが。なんと250畳もある広々とした室内ドッグランで、リードを外して好きなだけ遊ばせるのも楽しみのひとつに。ペット同伴旅館だけあって、客室を含む館内の消臭やクリーニングはとにかく徹底されています。

客室内にはもちろん、ロビーやラウンジ、各階のエレベーター付近にはペットシーツやエチケット袋などのアメニティが完備されていて、もしもの時にも安心。

ワンちゃん愛にあふれたスタッフさんの配慮も嬉しい。

「月香」のスタッフさんは、みなさんフレンドリーな愛犬家。トリマー経験を持つ人やドッグスクールでの経験者も。あらゆる犬種やしつけに精通しているスタッフもいるので、人見知りなワンちゃんがなついて不思議がられるお客様もいるのだとか。

事前にワンちゃんの名前をお伺いするので、到着時に名前を呼んでもらえるのも嬉しいと評判です。あまり近寄らないで欲しいという要望など、それぞれのお客様のリクエストにも対応しています。お部屋には、ワンちゃんと一緒に行ける周辺おでかけスポット情報のサービスも。

館内にはワンちゃん用のきせかえ写真スポットもあり、年賀状用の写真を撮影しに来られるお客様もいるそうです。他にもワンちゃん専用のウォーターサーバーやエサを持参される方用の電子レンジなど、ところどころにさまざまな心遣いが。愛犬を連れていく旅が楽しみになるお宿です。

大人のリゾートで贅沢をきわめる『グランディア芳泉』

別邸「個止吹気亭」、離れ「ゆとろぎ亭」でワンランク上の休日。

それぞれに雰囲気や趣が違う『グランディア芳泉』の客室は全111室。ワンランク上の休日を過ごすなら、 別邸「個止吹気亭(ことぶきてい)」または、離れ「ゆとろぎ亭」がおすすめです。どのお部屋も調度品などのしつらえに優美さを感じる露天風呂付きのスイートルームが魅力の別邸「個止吹気亭」と、和モダンな雰囲気がリゾートヴィラのような露天風呂付き客室の離れ「ゆとろぎ亭」。

どちらもそれぞれのお部屋に違った趣があり、気に入ったお部屋をリピートされる方や、毎回違うお部屋での滞在を楽しむ方も。どのお部屋も素敵で選ぶのもわくわくします。他にも、全てのお部屋からのどかな田園風景を眺望できる煌粋殿(こうすいでん)、気軽なステイを楽しむ貴粋殿(きすいでん)など。

温泉タイムが待ちきれない、ラグジュアリー感に浸る「天上のSPA」

『グランディア芳泉』の最大の魅力の一つは、なんといっても展望大浴場「天上のSPA」。男女同じ広さの大浴場は、夜には浴槽のライティングでなんとも幻想的な空間を演出。眼下に広がる田園風景を見渡せる露天風呂は、中心部から少し離れた立地ならでは。夜にはデッキチェアで星空を見ながら至福の時間が過ごせる絶景スポットです。

男女入れ替え制(感染症対策のため時期により入れ替え休止あり)の「月の湯」「星の湯」それぞれにひのき風呂、寝湯、サウナ風呂が完備、またそれぞれに美泡の湯(マイクロバブルバス)や露天棚湯など違った楽しみも。存分に湯浴みが楽しめます。

また、別邸「個止吹気亭」、離れ「ゆとろぎ亭」宿泊者のみ利用が可能な「ひのき大浴場」も。庭園をのぞむ広々としたお風呂は、ひのきの香り漂うなんとも贅沢な癒し空間です。優雅にくつろげるお部屋の露天風呂とはまた違った、非日常感たっぷりの大浴場で時間を忘れてゆったりと過ごせます。

過ごし方もいろいろ。旅の目的が変わる宿。

美しい日本庭園に面したラウンジや、お土産選びも楽しくなる広々としたショッピングモール、人気の温泉卵づくりや2017年にリニューアルしたエステなど、館内施設も充実しています。広々とした中庭には足湯、歩行湯(歩ける足湯)なども。庭園を見渡せる月見台は撮影スポットとしても人気。夜には灯りが灯され、より幻想的な雰囲気を演出します。

ロビーやラウンジ、客室はすべてフリーWi-Fi対応となっており、新しい生活様式になってからリモートワークが増えた方向けに、気軽に旅先で作業ができる「コワーケーションプラン」も用意しています。観光目的での滞在はもちろん、温泉でのんびり過ごしたいときにも。迷うこと間違いなしのお部屋選びから、旅行気分が高まるお宿です。