Monthly Archives: 4月 2023

右近家の足跡をたどり、美景に癒される『北前船主の館 右近家』

海沿いの集落・河野の穴場絶景スポット。

越前海岸の南端、京都への物資輸送の中心だった敦賀にも近く、敦賀湾のちょうど入口に位置する福井県南越前町の旧河野村は、かつては北前船の中継地として栄えた日本海屈指の船主集落でした。

なかでも全盛期には約30余隻を有した『右近家』は、現在、北前船歴史資料館となっている母屋をはじめ、ステンドグラスや暖炉など、映画のワンシーンに登場しそうな高台に建つ別荘『西洋館』などが残り、タイムスリップしたような気分で、当時の船主の栄華を垣間見ることができます。

また、西洋館や展望台から一望できる景色も最高で、知る人ぞ知る、フォトジェニックな美景スポットとしても話題を呼んでいます。

北前船主として隆盛を極めた『右近家』。

これほどの贅を尽くしたお屋敷や別荘を建てることができた『右近家』の歴史について、少し紐解いていきましょう。
江戸時代の中期頃から明治30年代にかけて、たくさんの荷物を積んだ船が荒れる日本海を果敢に往来していました。大阪~北海道(蝦夷地)を日本海廻りで航行し、各港で商い(売り買い)をしながら往復した回船「北前船(きたまえせん)」です。

北海道から大阪へと向かう「上がり荷」には、主にニシンや昆布などの北海道産物を。北海道に向かう「下り荷」には、砂糖や醤油、衣料品などの生活必需品を大阪や各寄港地で安く買い入れながら運び、莫大な富を生み出したと言われています。

特に日本海五大船主に数えられる名家『右近家』は、天明・寛政(江戸時代)の頃から北前船主として活躍し、最盛期には、代表的な持ち船である八幡丸をはじめ、30隻余りの船を所有していました。

その後も、大量輸送できる蒸気船をいち早く導入し、近代船主への脱皮に成功。
明治期には、海運の近代化をすすめるほかの北前船主たちとともに、海上保険事業にも進出し、現在の損保ジャパン日本興亜の前身である「日本海上保険株式会社」を創立しました。

北前船の歴史・文化を今につなぐ。

国道305号線沿いを車で走っているとひときわ目立つ『右近家』の邸宅は、天保時代の構えを基本に明治34年に建て替えられました。
上方風切妻造瓦葺2階建てで、内倉・浜倉を配し、材料は北前船が産地から運んだという豪勢な構えで、一つひとつの意匠が当時の最高峰とも言える技術が施されています。

館内では、『右近家』が所蔵していた貴重な資料が展示され、一般公開されています。
海への畏敬の念の表れである海側を表とした屋敷構えなど、河野地区ならではの生活風習や家の造り方も見ることができます。

お腹がすいたら、敷地内にある隠れ家レストラン『畝来(うら)』でおいしいランチ(要予約)を。

歴代の右近家当主と同じ目線で、日本海の美しい景色を楽しみたい方は、屋敷裏の高台に建つ別邸へ足を伸ばしてみましょう。

昭和10年、右近家の別荘として山の中腹に建てられた鉄筋2階建ての『西洋館』。スパニッシュ風をベースとした1階、丸太を外装材に用いたスイスのシャレー風の2階、帆船が描かれたステンドグラス、タイル貼りの床、モダンなインテリアなど、こだわりや美意識に満ちた空間は、見どころが尽きません。

そんな異国のリゾートを想わせる瀟洒な洋館で、窓の外に広がる日本海の大パノラマを眺めながら、‟心が満ちる時間“を過してみてはいかがでしょうか。

鳳凰が愛し、花々が見守り続ける『鳳聚山 羽賀寺』

鳳凰が導く縁起の良い寺院。

奈良時代の始め、霊亀2(716)年、仏教僧・行基により建立された「羽賀寺」には、不思議な由来が伝わっています。

ある時、この地に鳳凰が飛来し、羽を残して飛び去った。その羽を当時の天皇、元正天皇に献上したところ「鳳凰の出現は天下泰平の証である」と大変お喜びになり、僧・行基に寺の建立を命じられた。
無事完成した寺は「鳳凰が集まり羽を賀する(喜ぶ)寺」との意味を込めて「羽賀寺」と名付けられた。

そんな羽賀寺は、花が美しいお寺でもあります。ソメイヨシノや枝垂桜、ツツジ、月下美人、紅葉など、折々に見事な姿を見せてくれますが、中でも圧巻はアジサイ。白や青、ピンクや紫など色とりどりに咲く1,100株のもアジサイは必見です。美しい花の色に心を洗われながら、ゆっくりと本堂へお進みください。

エキゾチックな東洋の美。

こちらのご本尊は、国指定の重要文化財となっている十一面観音菩薩。寺の建立を命じた女帝、元正天皇をモデルとして行基が手掛けたと伝わっています。
昭和40年代まで秘仏であったためか、1,000年以上昔に作られたにも関わらず鮮やかな色彩を今に留めており、特に裾部の朱赤の発色には目を奪われます。

歴史的資料としても価値のあるこちらの像は、驚くことにいつでも至近距離で拝観可能。気品ある優しい表情は、日によって、また見る者によって変わると言われていますので、自分の心の内とも対峙しながらじっくりとご覧ください。

またご本尊の裏手に祀られている、平安時代作の薬師如来も忘れずに拝観を。薬師如来を囲むように壁三面にずらりと並ぶ観音菩薩の変化神・三十三神像は非常に神秘的です。「33もの姿に身を変えて現世に現れ、衆生を救う」と言われている慈悲の仏も、ぜひ目に留めてください。

変わりゆく時代の中で、変わらない意義を紡ぐ。

長い歴史の中、その時々の朝廷の帰依と援助を受けてきた羽賀寺。
住職の玉川正隆さんは、「小浜は、昔から奈良や京都へ続く海の玄関口として栄えた土地です。北前船が活躍した日本海交易の中で、大陸文化や様々な物資がこの地に集まり、物資と共に人や情報も都へ渡っていきました。羽賀寺は、そうした歴史を体現する寺でもあります。そんなところも感じてもらえれば」と優しく話します。

羽賀寺の上空には、鳳凰の姿に似た雲や彩雲がよく出現するのだとか。創建から1,300年の時を経てもなお鳳凰の加護を授かる古刹で、心にエネルギーをチャージしてみては。

体本来が持つ力を整える、自然食品&カフェ『からだあいかん』

自分に合ったサプリメントや自然食品が、きっと見つかる。

季節の変わり目や加齢による体調の変化、お肌の揺らぎ、花粉症やアレルギーなど、年を重ねるごとに美と健康に関する悩みは増えていきがちです。
鯖江市の『からだあいかん』は、そんな悩みに応えてくれる自然食品のお店。

ナチュラルで温かみのある店内には、薬やサプリメント、自然食品、コスメなど約3,000点の商品がズラリ。全国的に知られる自然食品『タマチャンショップ』のインショップや、自然食品を使ったメニューが楽しめるカフェも併設しています。

『からだあいかん』の名称は、『からだに愛と感謝』の頭文字をつなげたものです」と代表の木原峰範さん。もともと薬屋として開業し、勉強と経験を積む中で、2003年に自社商品を開発。2019年から、カフェを併設した現在のスタイルになったといいます。

「人間の体は食べたものでできています。お薬はあくまで症状をもとに戻すのを早くするための道具で、長く飲み続けると内蔵に影響することも。そもそも病気にならない体にしていくとか、未病の段階で正常に持っていくという考え方で、お客さまに喜んで使い続けていただける本当の商品にこだわっています」。

スタッフはサプリメント管理士やダイエットコーディネーターなど専門資格を持った美容・健康のプロフェッショナルなので、一人ひとりの悩みに合わせたアドバイスを受けることが。サプリメントや健康食品はお試めしや試飲ができ、自分に適したものを選ぶことができます。

ランチやスイーツを楽しみながら、食の大事さに気づくカフェ。

「人それぞれ遺伝的なものもありますが、一番大事なのは生活習慣。それは、毎日食べるものと大きな関わりがあります」と語る木原さん。併設のカフェはそんな食の大切さに気づくきっかけづくりのひとつとして、店内で販売している自然食品を使ったメニューを提供しています。

カフェの人気メニューは、パンケーキと砂糖を使わないスムージー。
ランチの『フレッシュお野菜とチキンのスペシャルパンケーキ』はハーブが彩るヘルシーなパンケーキと一緒に、新鮮な野菜をたっぷり味わえます。

オリジナル2層スムージー『グリーンスムージー』は、アボガドとバナナのとろりとした食感と、キウイの爽やかな味のコントラストが抜群。インドネシア産の果実ノニのジュースも配合されていて、健康と美肌づくりを頼もしくサポートしてくれます。

「カフェのお客さまは女性が中心ですが、食生活を改善したいという男性の方も来られています。週に何度も来られるリピーターの方もいらっしゃいます」と木原さん。SNSでの情報発信も行い、週末には市外や県外から来られるお客さまが多いそう。

「近頃は食べものの大事さをわかっている方も多く、子ども連れのお客さまもけっこういらっしゃいますね」とほほ笑みます。

亜熱帯の果物ノニの栄養素が、体を整え、正常な状態へ導いて。

多彩な品揃えの中で特に支持されているのが、『からだあいかん』オリジナルのノニ商品です。ジュースやハーバルティー、オールインワンクリームなど、ラインナップが充実しています。

「ノニは亜熱帯エリアの果物で、体本来が持つ力が正常に戻るよう導いてくれます。ブルーチーズのような匂いに薬効があり、インドネシアでは昔からお薬的な使われ方をしているんですよ」という木原さん。

有機ノニ果汁100%のオリジナルノニジュースは、防腐剤やpH調整剤を使わず、ビタミンやミネラル、母乳に多く含まれるカプリン酸といった中鎖脂肪酸など約140種の栄養素を保持しています。

他にも、オリジナル商品『つやもちこんにゃく米』は、米と一緒に炊くことでもちもちした食感に仕上がりながら、糖質を制限できると好評です。

「普通に何も気にせず食事をしているとどうしても脂質や糖質が多くなり、酵素やミネラル、たんぱく質が不足します。それを全部食事でとろうとしてもなかなか難しいし、年齢とともに吸収力も衰えていくので、そこで足りない分を補ってあげる感じですね」。

サプリメントや自然食品とのつきあい方について、そうアドバイスしてくれた木原さん。今の自分の食と習慣を見直すその先に、心から笑顔になれる美しく健やかな未来が待っているのかもしれません。

海辺の小さなリゾートエリア『Echizen Log』

海と空が広がる〝なにもない〟最高に贅沢な場所。

海と空の雄大なパノラマが眼前に広がる『ECHIZEN LOG』。越前町の越前加賀海岸国定公園に位置し、ダイビング体験ができる『ダイビングセンターLOG』、宿泊&飲食ができる『えちぜん丸太屋』、海を眺めながらくつろげる『蕎麦Cafe Maruta屋』を展開しています。

「自分たちのビジョンは、まちの活性化。常に新しいことに挑戦して、全国に越前町の魅力を発信・紹介し、次の世代の子どもたちへつないでいこうという想いがあります」という三田村 咲さん。「ここは海と山の距離が近く、目の前のビーチは絶好のダイビングポイント。幼い頃から当たり前のようにあった風景だけど、県外に出て戻ってきた時、改めて〝こんないいところに住んでいたんだなぁ〟と感じたんです。知れば知るほど、なんでみんなもっとこの場所に来ないのか、もったいないなって思います」と笑顔を交えて語ります。

「地元の人は〝なにもない〟っていうけれど、〝なにもない〟ことがここの魅力」と咲さん。時間を忘れて海と空の風景をゆっくり眺める、それこそが最高の贅沢なのかもしれません。

目の前のダイビングポイントで、海中散歩を楽しむ。

越前加賀海岸国定公園は、日本屈指のダイビングスポットです。なかでも『ECHIZEN LOG』のすぐ前に広がるビーチは、高い透明度を誇るダイバーに人気のダイビングポイント。最大水深は23mあり、季節やエリアによってハマチやカンパチといった迫力ある回遊魚の群れから、愛らしいウミウシやタツノオトシゴまで、多種多彩な水中生物を見ることができます。

『ダイビングセンターLOG』では、ダイビングの初心者からベテランまで幅広く対応。インストラクターがレクチャーする初心者向け『体験ダイビング』、ガイド付の『ビーチダイニング』、ライセンスが取得できる『オープン・ウォーター・ダイバーコース』など、多彩なコースから自分にあったものを選択。幻想的な海中散策を、安心して楽しめます。

ダイビングの後は、テラスで仲間とBBQをしたり、『蕎麦Cafe Maruta屋』でお腹を満たしたり。玉川温泉から取り寄せている温泉露天風呂、屋内・外シャワー、更衣室などが自由に使えるのも、うれしいポイント。全4室の『えちぜん丸太屋』での宿泊も可能です。

海を眺めて、地元の素材にこだわった蕎麦&スイーツを。

エリア内にある『蕎麦Cafe Maruta屋』は、海沿いをドライブする途中で気軽に立ち寄れる〝海を感じるカフェ〟。蕎麦とカフェというちょっと異色な組み合わせには、「このあたりには蕎麦屋がなく、カフェと一緒に提供することで地元のお客さまや観光客、いろんな世代の方などに利用してもらえるように」という願いが込められています。

郷土料理のへしこを使った『あぶりへしこおろしそば』や、近所の豆腐屋さんの厚揚げを使った『清水豆腐屋さんの厚揚げそば』をはじめ、器も越前町の伝統工芸品である越前焼を使用。ランチセットやピザなど蕎麦以外のメニューも、地元の食材にこだわっています。カフェも、地の素材を活かしたオリジナルスイーツが充実。なかでも、近くの厨地区で作られた越前塩を用いた『越前塩ロール』は一番人気で、これをお目当てに県外からわざわざ訪れるリピーターもいるほどです。

「もっと地元の海の魅力を知ってもらいたい」という思いから、カフェのフロアでは常時ダイビングの映像を見ることが。四季折々で表情を変える日本海と、その奥に秘められた神秘的な美しさ。この機会にダイビングに挑戦して、新しい世界を広げてみては。

静寂に包まれ、悠久の時を肌で感じる『棡山 明通寺(ゆずりざん みょうつうじ)』

征夷大将軍の平和への願いが詰まった寺。

平安時代の勅撰国史書「続日本紀」にも登場する小浜市松永地区は、豊かな自然の中で長い歴史を紡いできた地域。多くの文化遺産にも恵まれているこの地区で、「福井県で唯一の国宝建造物」として地域の誇りとなっているのが「明通寺」です。国宝に指定されているのは、本堂と三重塔。他にも多くの重要文化財を有しています。

この明通寺を創建したのは、坂上田村麻呂。歴史の教科書でお馴染みの征夷大将軍ですが、敵味方の区別なく蝦夷征討による犠牲者の鎮魂のために、若狭にお寺を創建していたと知っている人は少ないのではないでしょうか。

山の麓に抱かれた国宝を目の当たりにしてもなお、「何故ここに建てたのだろう」と疑問は消えないかもしれません。そんな時はぜひ振り返って、里の景色に目を向けてみましょう。戦いに明け暮れた武将が、この場所に求めた平穏が垣間見えるはずです。

重要文化財が伝える、いつの時代も変わらぬ願い。

国宝である本堂に収められているのは、薬師如来、降三世明王、深沙大将の3尊。いずれも国の重要文化財です。ご本尊である薬師如来が左手に携えている薬壺には、8万4千もの病を治す薬が入っていると言われており、この薬壺を模した無病息災守りは明通寺の一番人気となっています。

また本堂内にある寄進札(きしんふだ)も、ぜひご覧ください。国の重要文化財に指定されているこちらには、いつの時代に、どこに住む誰が、何を願い、どれほどの寄進を行ったのかが記録されています。約400枚もの札が今に残っており、最古のもので何と延慶2(1309)年の銘が記されているというから驚きです。時代と共に移り変わる木札の形状や書式にも注目しながら、当時の世相の一端に触れてみてください。長年にわたって人々の心と生活に密着した祈祷寺であった証とも言えるでしょう。

五感を超えたその先に、もう一つの世界。

かつてお寺は人が集う代表的な場所でした。しかし時代の変化とともに、その在り方も随分と変わってきました。「本来、生活の延長線上にあったお寺ですが、今や非日常を体験する場所となりました。ここでは俗世を忘れ、心穏やかに自然のあるがままをご体感ください」と中嶌一心副住職。「現代は、味覚にしても嗅覚にしても聴覚にしても、過剰な刺激に晒されています。そういうものからちょっと離れて、五感を研ぎ澄まして心穏やかにお過ごしいただければ」。その言葉通り、ここではほんのひと時の静寂に身を委ねるだけでも心身が浄められていくのが分かります。

そして、より深くこの土地が持つ力や魅力の神髄に触れたいと感じた時には、明通寺より徒歩圏内に位置する宿「松永六感藤屋」をご利用ください。五感を整え、自分と向き合うこのプログラムに於いて、明通寺では「阿字観」と呼ばれる瞑想体験が出来ます。忘れていた、気付かなかった“何か”に触れるマインドフルネスなひと時をお過ごしください。

福井の自然を醸す純米吟醸、お殿さまが愛した『越の鷹』

蔵元自ら杜氏を務め、純米吟醸の酒造りを極める。

福井藩の菩提寺である大安禅寺の近くに酒蔵を構える伊藤酒造。幕末頃から酒造りをはじめ、明治27 (1894) 年に伊藤酒造合資会社を設立。今は蔵元の伊藤さんが自ら杜氏を務め、代々伝わる『越の鷹』の名を冠した純米吟醸などを造っています。

「江戸時代、この辺りによく鷹狩りに来ていた福井藩のお殿さまが、うちに立ち寄り日本酒を誉めたといわれてます」と、銘柄の由来を語る伊藤さん。東京農業大学農学部醸造学科を卒業後、別の仕事に就きましたが、杜氏が他界したことをきっかけに実家の酒蔵を継ぐことに。大学で学んだ醸造学を頼りに酒造りを始めるも、「実際は、教科書通りにいかないことばかり。頑張っていたけど、今の自分から見ると『なにしてんねん!』てレベルです」と苦笑いします。

転機になったのは、ある福井の蔵元にかけられた言葉でした。「そのバイタリティがあれば、いい日本酒ができる」と激励され一念発起。別の蔵元の杜氏や食品加工研究所の先生と出会い、実践の中で学びを深めます。ひたむきに「一番好き」な純米吟醸を造り続ける中、福井県の新酒研究会で入賞。広く認められるようになりました。

福井の酒米と酵母で醸す、和食によく合う上品な辛口。

伊藤さんが目指すのは、福井の自然から生まれる酒米と酵母を使った酒造り。不要なものは入れず、米の香りと旨味を存分に引き出した純米吟醸などを醸しています。

酒造りに使う酒米は、「県産の『五百万石』と、福井で生まれた『越の雫』は外せない」と熱く語る伊藤さん。近年は、福井で開発された新品種『さかほまれ』も加わったといいます。日本酒の香りや味わいを決める酵母も、福井生まれにこだわりが。県が独自に開発した『FK-501(福井酵母)』や『うららの酵母』を使い、辛口でありながらまろやかな旨味に仕上げています。

「日本酒造りで、酒米はボディ、酵母は顔となるもの。例えば、五百万石を使った『越の鷹』の辛口純米吟醸は、上品な大和撫子。スタイリッシュで、シャイな感じです」と伊藤さん。「すっきり辛口系で、ちょっといい香りがして慎み深い。最高の食中酒と思っていただければ」。その言葉通り、燗でも冷でも、どんな和食にもすっと寄り添い、美味しさを引き立てます。

地酒がつなぐ人の輪、大安禅寺に門前町の賑わいを。

今では県内外で多くのファンを獲得している『越の鷹』。伊藤さんの気さくな人柄も相まって、インスタなどSNSを通じて交流が深まり、お客さまを酒蔵に招いて一番搾りの地酒やおそばをふるまう『新酒の会』を開くまでになりました。

「お客さまの飲んだ感想をストレートに聞けるのがいいですね。僕は杜氏としてまだまだ成長できると思っているので、ぜひ毎年飲んでいただき、味わいを確認してもらえたら」と真摯に語ります。

さらに、伊藤さんは「北陸新幹線延伸開業に向けて、七瀬川が流れる大安禅寺地区にお客さまを呼びたい」と、近隣の仲間と『ナナセカイ』を結成。酒蔵見学やカフェイベント、写経や粘土板アートのワークショップなどを行っています。「大安禅寺の大改修が10年後に完成するとき、門前町を復活させたいとみんなで言っているんです」。風土に根づき、人をつなぎ、笑顔が生まれる。遠い昔から受け継がれてきた、美味しい日本酒が生み出す風景がここにあります。

フレッシュな果実と手作りスイーツ 農園カフェ『うちのぶどう』

完熟した果物が持つ、想像を超える力強さ。

『うちのぶどう』は、越前市にある“農家がやっているおやつ屋さん”。店名にもなっているブドウをはじめ、イチゴやブルーベリー、トマト、お米などを栽培し、それらを使った体に優しいおやつを提供しています。

果物類はスイーツに加工したものが多いですが、もちろん収穫後そのまま店頭に並ぶこともあり、そんな時は飛ぶように売れてしまうと言います。「うちでは流通に乗せる必要がなく、完熟を収穫してそのまま店頭に並べるので甘さが桁違いなんです」とその美味しさの秘密を語ってくれた店長の宮本采知さん。
手間暇をかけて大切に育まれた実りだからこそ、そのまま食べてもスイーツになっても、私達の心に真っ直ぐ届く力強さを秘めているのです。

果実をそのまま味わってるようなスイーツ&ドリンク。

こちらではおはぎやパンナコッタ、クッキー、グラノーラ、ジャムなど、多様なスイーツを手掛けていますが、メインは何といってもシフォンケーキ。ほのかな甘さのふわふわ生地に果実のフレーバーが相まって、どんどん食べ進められてしまいます。
「冬〜春はイチゴ、夏はスイカにメロン、秋はブドウに梨や栗など、各季節の果物を使って年間通して20種類以上を手掛けています」というから驚きです。ショーケースには常時約10種類が並んでいますので、ぜひお気に入りを探してみてください。

また、ドリンクもご一緒にどうぞ。おすすめはやはり季節の果実をふんだんに使ったスムージーです。特に通年で楽しめるイチゴスムージーは要チェック。1杯に約10個分のイチゴを使うという贅沢仕様で、果肉もしっかり感じられるのに後味すっきり。シフォンとの相性も抜群です。併設されたカフェスペース、特に晴れた日のテラスは特等席ですので、ぜひセットでカフェタイムをご満喫ください。

大切な人と笑顔で過ごしてほしいから。

『うちのぶどう』が目指すのは“日ごろのおやつ”。「お子さんにとっては親御さんの手作りが一番安心だし思い出にも残ると思いますが、どうしても今の時代は皆さん忙しくてなかなか難しいですよね。だから私達が代わりに“日頃の手作りに近いおやつ”を作るので、その分の時間をお子さんと一緒に笑顔で過ごしていただければ」と宮本さん。

その延長線上に生まれたのが、1歳児でも食べられるシフォンケーキです。「砂糖も極力少なくし、“お子さんと親御さんが一緒に食べられる美味しいもの”を目指しました。食べるってすごく大切なことなので、親子で一緒に楽しめるものをと日々試行錯誤しています」。
体に優しいというところで、食物アレルギー(軽~中度)の方向けシフォンケーキもできるとのことですので、気になる方は一度ご相談ください。
時には、農園で作られた野菜を使ったスイーツやジャムが並ぶこともあるという『うちのぶどう』。もぎたてのフレッシュな自然の恵みと優しい味わいで、心満たされるひと時を。

築100年の趣に包まれて食す港町イタリアン 『Sogno-Poli(ソニョーポリ)』

不思議と重なった“偶然”に導かれて。

坂井市三国町で高い人気を誇っていたイタリアンレストランが、敦賀市の赤レンガ倉庫に移転したのは2015年秋のこと。山本剛司オーナーシェフは、笑いながら当時を振り返ります。「大好きな三国で移転を考えていた時に、この赤レンガ倉庫を活用するプロジェクトの話が舞い込んできたんです。最初は全く興味がなかったんですが、色んな話を聞くうちに“こんな大きな建物を自分で建てることは出来ない。増してや築100年以上の国の登録有形文化財でお店をやるなんて、今引き受けなかったら多分二度と巡って来ない話だろうな”と思い始めて。これを逃したら観光に携わることはないだろうとも思ったので、じゃあやってみようかなと流れに乗ってみたんです」。

その決断は三国をはじめ多くのファンに衝撃を与えましたが、移転後もランチやディナー、ウエディング、音楽・医療とのコラボイベントなど、食を出発点とする“楽しい”を提供し続け、今ではすっかり敦賀を代表するイタリアンレストランとして愛されています。

技術 × 探求心 × 小ロット食材。

「僕はイタリアンだけど、“イタリアンだからこうしなきゃ”みたいな感覚はあまりないんです」と話す山本シェフ。幅広いジャンルの料理人との交流を通してそれぞれの分野の話を聞く中で、面白そうと感じたものはまず試してみるのが身上だと言います。「やってみて“なるほど”と思えば取り入れるし、そうでなければ知識として知っておくという感じですね。どのジャンルでも基本を大切にする姿勢は変わらないと感じています」。

そんなソニョーポリには、固定メニューがほとんどありません。その日手に入った素材を生かしながら、さりげなくも味わい深いイタリアンに仕立てる。当たり前のようで繊細さが求められるその一連の工程を、山本シェフは実にしなやかにこなしてしまいます。「敦賀の食材を中心に使い、果物も極力嶺南で穫れるものを選んでいます。でも嶺南で作られている農作物は小規模生産が多いので、“この食材を1週間お願いします”と安定的に入荷するのはなかなか難しいんです。魚介類も同じで、魚種は多いけど1種類の漁獲量がそれほど多くない。だからうちのメニューはコロコロ変わるんです」と楽しそうに笑う山本シェフ。しかし“シェフのしなやかさ×小ロット食材”こそがソニョーポリの最大の魅力です。多くのファンを虜にし続けているその手腕を、ぜひ季節を変え、時間を変えてご堪能ください。

変化し続けるのがソニョーポリ。

今後は、更にカフェタイムを充実させたいと意気込みを見せる山本シェフ。「せっかく赤レンガ倉庫に来られた観光客の方にゆっくり過ごしていただく場所を提供したいという思いと、地元の方がフラッと立ち寄って仕事をするような気軽な場になりたいという思いがあるんです。“ここはレストラン?カフェ?あ、こんな使い方もできるの?よく分からないけど楽しい場所だな”と思ってもらえたら嬉しいですね」。

山本シェフにとって、「ソニョーポリ」は一編の長い物語。三国時代を第一幕とするなら、敦賀は第二幕。さらに世界が大きく変わった今は第三幕といったところでしょうか。「全世界が同時に、1つの感染症で大きく変わったじゃないですか。僕は元の世界に戻るとは感じていなくて、そのおかげで“こうした方が楽しそう”という発見もありました。その時々で僕が見たもの・感じたものの中から楽しいと思えるものを形にできたらいいなと思っています」。

今後もいくつものターニングポイントを迎えながら、刻々と変わり続けていく「ソニョーポリ」。次はどう楽しませてくれるのだろうと、期待は膨らむばかりです。

暮らすように旅をする、一棟貸しの古民家宿『小浜町家ステイ』

歴史あるまち並みに建つ古民家を、宿にリノベーション。

小浜市は、京都につながる『鯖街道』の起点となるまちです。若狭湾に面した山海里の豊かな食材で、遠い昔から京の食文化を支えてきました。町家や土蔵など当時の賑わいを伝える歴史あるまち並みは、重要伝統的建造物群保存地区に選定。『小浜町家ステイ』はそんな歴史あるエリアを中心に、古民家を心地よく過ごせるようリノベーションした一棟貸しの宿です。

「小浜にはまち全体が文化財として景観が保存されている地区があります。古いまち並みが広いエリアで手付かずのまま残っているのは、実は京都でもあまりないんですよ。近くには海もあり、多彩な過ごし方をお楽しみいただけます」と語る代表の御子柴北斗さん。

『小浜町家ステイ』は、間取りや内装が異なる7棟。小浜西組地区には、明治期の町家を改装した『八幡参道みやけ』や、大正3年に建てられた和菓子屋と蔵を改装した『丹後街道つだ主屋』、『丹後街道つだ蔵』などがあります。かつて北前船の寄港で栄えた西津地区には、築100年を越える酒屋をリノベーションした『西津湊かさまつ』が。2023年春には、江戸時代に建てられ、国の登録有形文化財に指定された北前船船頭の屋敷を活かした『西津湊ふるかわ』がオープンしました。

伝統とモダンが融合した空間で、小浜を楽しみ尽くす。

日本建築の風情を色濃く残す『小浜町家ステイ』。古民家の土間や格子戸、坪庭を活かした間取りは外と内を緩やかにつなぎ、自然の移り変わりや季節の匂いを身近に感じることができます。一方で、キッチンやバスルーム、寝室などは、使いやすく快適なホテルライクな空間に。エアコンなどの設備も完備し、伝統とモダンをバランス良く融合させています。

そんな一棟貸しの宿での過ごし方は自由自在。地元の店でテイクアウトし、部屋でおしゃべりや食事を楽しんだり。地場の旬の食材を買い求め、キッチンで料理をしたり。また、近くには若狭湾の海の幸を堪能できる料亭や鮨屋などもあり、オプションでディナー付プランを選ぶことも。大切な人と一緒に、家族で、グループで、いろんな楽しみ方が広がります。

「小浜はいい意味で観光地化されておらず、地域の暮らしを身近に感じていただけるまち。せっかくなので宿でゆっくりするだけでなく小浜のまちへでかけていただき、それぞれが思うままにいろんな過ごし方を見つけてもらえたらと思います」と御子柴さんはいいます。

『小浜まち歩きチケット』で、暮らすように旅をして。

小浜の歴史・文化、豊かな自然、季節の恵みなどを楽しむために、ぜひ押さえておきたいのが公式HP予約限定の5大特典です。『小浜まち歩きチケット』として、カフェチケット、サイクリングチケット、寺院巡りチケット、濱の湯チケットに加え、公式HPより安い料金の予約サイトがあった場合、最低料金での宿泊を保証するベストレート保証が付いてきます。

朝のカフェで地元の人とふれ合う。レンタサイクルで歴史あるまち並みを巡る。国宝や重要文化財の寺社でお参りする。小浜湾を一望するお風呂で疲れを癒す。街中を歩き、郊外にでかけ、小浜を暮らすように旅する中で、地元の日常と旅の非日常が笑顔で交差していきます。

そんな小浜ならではの魅力にひかれ、何度も宿を訪れるリピーターの方も多いそう。「近頃は、京都にない魅力を求めて外国人のお客さまも増えています。これからもっと、小浜のまちを楽しむ仕掛けをしていきたいですね」と、御子柴さん。これからの小浜が楽しみな展望を語ってくれました。

自然の中で五感を整えるリトリート空間 『松永六感 藤屋』

歴史ある松永の自然の中で、ゆるりと五感をひらく。

JR小浜駅から車で約15分ほど走ると、美しい山に囲まれ、のどかな田んぼの風景が広がる小浜市松永に着きます。この地は平安時代の古文書「続日本書紀」に記されているほど歴史が深く、豊かな自然の中に国宝 明通寺をはじめとする数多くの文化遺産が息づいています。

『松永六感 藤屋』は、そんな松永の自然に抱かれた5部屋限定の小さな宿。松永に咲く季節の花の名が付けられた部屋は、それぞれ広さや室礼が異なり、窓から庭や滝を眺めてくつろぐことができます。薪ストーブと囲炉裏のあるラウンジには、「五感をひらく」をテーマにしたライブラリーも。ほど良い距離感の中で、思い思いのひとときを過ごすことができます。

「ここは松永の自然に根づいた食、人、文化を通して、五感を整えるリトリートの空間です。地域に脈々と受け継がれる自然や文化を体感することで、五感をひらいたその先にある、言葉にはできないものを感じていただけると思います」と、代表の御子柴北斗さんは語ります。

自分で収穫する精進料理。朝ごはんは国宝 明通寺で。

『松永六感 藤屋』の広い敷地には、年間通して200種類以上の季節の野菜やハーブを栽培する『藤屋ファーム』があります。宿泊者はファームを自由に散歩でき、自分が夕食でいただく野菜やハーブの収穫を体験。土を踏み、手で摘み、香りを嗅ぎ、五感を刺激しながら採ったみずみずしい野菜やハーブを使った精進料理は、身体と心を満たすような不思議な力が感じられます。

「野菜中心のお料理になっていますが、山あいの大地と清らかな松永の水で育てられた季節の恵みは、滋味にあふれ栄養もたっぷりです。素材本来の美味しさを引き出しながら、精進料理のイメージをくつがえす華やかな彩りも魅力。山海の自然に恵まれ、京の食文化を支えた小浜の歴史にも触れていたけるよう、最近は若狭ぐじもお出ししています」と御子柴さんはいいます。

朝食は、宿の近くの国宝 明通寺へ。朝霧の森を抜け本堂で瞑想を体験した後、境内の客殿で朝粥と精進弁当をいただきます。静寂の中で、風の音や鳥のさえずり、清流のせせらぎに気づくことができるように、本来の自分へ戻っていくような心洗われる清々しいひとときです。

歴史、人、自然に触れ、自分を解放していく時間と体験。

この土地ならではの食を味わった後は、地元の自然や人々と触れ合い「五感をひらく」体験へ出かけませんか。征夷大将軍として知られる武将 坂上田村麻呂が平和を願って建立したとされる明通寺では、瞑想の他に写経を体験することができます。さらに、「小浜は山間に多くの寺院があり、拝観を受け入れている寺を巡る『小浜八ヶ寺巡り』も楽しめますよ」と御子柴さん。

また、松永の集落では、創業300年になるお酢醸造所を見学したり、旧小学校跡の家具工房で木彫皿を作ったりすることもできるそう。四季折々の風景を散策するトレッキング体験では、若狭湾にそそぐ川の源流を遡ることも。山腹の分水嶺からは、小浜のまちと日本海が一望できます。

「若い世代からシニアまで、日常から離れる時間をつくりに来られ、女性のひとり旅もけっこういらっしゃいます。何度も足を運んでくださるリピーターの方も多いですね。今後は、海外に向けても、松永という土地の魅力を発信していきたいです」。非日常の世界で自分を解放する時間と体験は、国境を越え、言葉を越え、今を生きる人たちの心に響き、明日への活力を育みます。

波が魅せる地層の中の物語『若狭フィッシャーマンズ・ワーフ』

いつの時代も人々の心を震わせる、雄大な自然美。

日本海側では珍しいリアス海岸を有する「蘇洞門(そとも)」は、2017年にアメリカCNN「日本で最も美しい場所36選」に選出された、世界が認める景勝地です。『若狭フィッシャーマンズ・ワーフ』が運航するクルーズ船では、その美しい景観を間近で見られる「蘇洞門めぐり」を楽しめるとあって、3月〜11月のシーズン中はたくさんの人が訪れる人気のスポットです。

1周約60分の船旅で満喫できるのは、約6kmにも渡る断崖美。内海の小浜湾から外海の若狭湾まで続く花崗岩の方状節理は、特に「あみかけ岩」「大門・小門」と呼ばれるスポットでより分かりやすく露出しています。人の手では決して作り出すことができない直方体状の割れ目は、長い年月と自然の雄大さに思いを馳せるに充分で、ここまで浸食した若狭湾の荒波の力にも驚かされるばかりです。船からでしか見ることができないこの景色は、何度訪れても言葉にしがたい圧巻の光景です。

またクルーズ中には、西方向に美しい山容から“若狭富士”とも呼ばれる、高浜町の「青葉山」が確認できます。「青葉山」の峰が2つある景色も、実は海側からしか見ることができない姿ですので、併せてお楽しみください。

白波を進むクルーズ船。デッキで潮風と波しぶきを感じながら、歴史が作り上げた豪壮な景色を堪能できる場所はそう多くはありません。受付近くの「Sotomo Café」でオーダーしたドリンクを片手に、ゆったりと時空を超える船旅に出てみませんか。

小浜よっぱらいサバの炙り丼

母なる海が育む、心浮き立つ味わい。

せっかく小浜に来たのなら、海の幸を存分に堪能したいところ。そんな願いを叶えてくれるのが、2階にある「海幸苑」。こちらでは、近海で獲れた地物をふんだんに使った定食や丼、鯖寿司などを提供しています。

一番人気は、約8種類もの海鮮がトッピングされた「小浜丼」。大きめにカットされた刺身と、一口ごとに変わる味わいは文句なしの満足度です。地元産コシヒカリには雲丹醤(うにひしお)がかけられており、時折広がる雲丹の香りもたまりません。男性にも嬉しいボリュームで、食べ進むごとに五感が満たされていくことでしょう。

また、酒粕を食べて育ったサバ「小浜よっぱらいサバ」の炙り丼も人気メニューです。濃い旨味と甘味が特徴で、爽やかな香りがたまりません。途中まで食べ進めたら、薬味を加えて出汁茶漬けにするのもおすすめ。炙りならではの香ばしさと出汁の奥深さが相まって、最後まで一気に食べ進んでしまうはずです。

また、毎年の牡蠣のシーズンには、土・日・祝日限定で牡蠣小屋「蘇洞門倶楽部」がオープン。味わえるのは、10cmほどの身に旨味を凝縮した「若狭牡蠣」です。若狭湾の最深部にある内外海(うちとみ)半島でのみ養殖されている知る人ぞ知る逸品は、地酒でふっくらと蒸しあげれば至福の味わいに。他にも焼き牡蠣や牡蠣飯などもあります。短い期間でのオープンになりますので、牡蠣好きの方はぜひ足をお運びください。

地域色豊かな一品を、旅の記憶に。

また、『若狭フィッシャーマンズ・ワーフ』では、選りすぐりの銘品が並んだお土産ショップでのお買い物も楽しめます。若狭を代表する食である「小鯛の笹漬け」や「へしこ」をはじめ、鯖缶や地酒・地ビールなど、選びきれないほどの名産品が並んでいます。福井梅を使った「梅ごしょう」や「名田ゆず七味」「へしこバーニャカウダ」などの“ご当地調味料”は、地元の人にも人気の味です。新しい味覚とのめぐり逢いは、食の楽しみを何倍にも膨らませてくれるもの。ぜひお試しください。

また、小浜は全国シェア8割を占める“塗箸づくりの町”。塗箸を特集したコーナーが設けられ、「若狭塗り箸」をはじめとした多彩なラインナップは目移り必至。伝統的なものから、モダン、ユニークなものまで取り揃えられているので、きっと納得の一膳が見つかるはずです。

若狭の魅力を余すことなく味わえる『若狭フィッシャーマンズ・ワーフ』。大自然の懐の深さを、今一度再認識できるスポットです。

素材にこだわった、季節の甘味を楽しむ『うさぎや』

熱々ほくほく、焼き立て『もちパイ』をおもちかえり。

鯖江市の住宅街にある御菓子処『うさぎや』。越前市出身の江指さんが、東京六本木の和菓子屋で修業を積み、2004年にオープンしました。店名には、「小さな子どもからご高齢の方まで誰からも愛されるような、前へ進んでいくうさぎのようなお店に」との思いが込められています。

お店の一番人気は、和と洋の美味しい出会いから生まれた『もちパイ』です。バターが香る薄いパイ生地の中に、弾力のある羽二重もちと自家製あんこがぎっしり詰まってもっちり&サクサク。定番のつぶあん、栗入り白あん、ごまあん、チョコ、メープルに、季節限定のイチゴやサクラ、リンゴ、サツマイモなどが加わって、常時6〜8種類が並んでいます。

「なるべくできたてを味わっていただきたい」との思いから、大量に作り置きはしないそう。事前に連絡を入れておくと、来店の時間に合わせて焼き立てを用意してもらえます。「焼き立てはもちろんおすすめですが、すぐに召し上がらない場合は、オーブントースターで2分ほど温めていただくと焼き立ての美味しさが味わえますよ」と奥さまはほほ笑みます。

こしあん派もつぶあん派も、大満足の自家製あんこ。

『うさぎや』は、厳選した北海道産の小豆を時間をかけてじっくり炊き上げた自家製あんを使用。「お客さまに新鮮で美味しいものを味わっていただきたいから」と、国産の小麦粉や質のいい玉子など良質な素材にこだわり、ひとつひとつ丁寧に手作りしています。

人気商品のひとつ『どら焼き』も、お店で一枚一枚生地を焼き上げています。自慢の自家製あんをたっぷり挟み、まるまるころんとした姿は、まるでドラえもんのマンガから抜け出たよう。つぶあん、オレンジこしあん、黒糖(つぶあん)の定番に、季節の限定品をプラス。オレンジピールと柚子を入れた定番のオレンジこしあんは、爽やかな風味にリピーターも多いそうです。

店頭に並ぶ『豆大福』と『草もち』も、午前中には売り切れてしまうことがあるのだとか。ずっしり入ったあんこは、『豆大福』にはこしあん、『草もち』にはつぶあんを使用。前日までに連絡すれば、こしあんかつぶあんか好みに合わせて選ぶこともできます

季節を訪ねて、定番を求めて、うさぎののれんをくぐる。

季節の風物に由来した期間限定の美味しさも、和菓子ならではの楽しみです。春は桜もち、柏もち、ちまき。夏はわらびもち、あべかわ、ゼリーなど。秋は栗きんとんに栗蒸しようかん、芋きんつば。冬は福井名物水ようかんに、いちご大福…。なかでもいちご大福は、数量限定販売になるほど大人気なので、予約必須です。

また、和菓子だけでなく巻きたてロールやシュークリームなどの洋菓子も並びます。シュークリームは、購入時にその場でクリームを入れる本格派です。うさぎ年にちなんだ『うさぎのしっぽ』という焼き菓子も計画中。店内では、通年でソフトクリームを、夏限定でかき氷を楽しめます。

ほっとひと息つきたいときにぴったりのお菓子が見つかる『うさぎや』。うさぎが描かれた赤い暖簾をくぐるのは、友達同士でやってきた女性客や老夫婦、学生、自転車で来た子どもたち。お話をお伺いしている間も、お目当ての甘味を求めに途切れなくお客さまが訪れていました。

“石田縞”織物に触れる本格手織り体験

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福井は古代より絹織物の生産が盛んであり、明治時代には羽二重織物、その後は人絹や合成繊維と、生産品目を変えながら日本有数の繊維産地として発展。
江戸時代に生まれた“石田縞(いしだじま)”織物は、鯖江市の指定無形文化財でもあり、福井県の郷土工芸品として指定されている。
鯖江市繊維協会内の「石田縞手織りセンター」では、“石田縞”織物の文化や歴史に触れながら、本格的な足踏み式手織り機を使ったコースター作り体験ができる。

おすすめポイント

綿の糸で織る縞模様の織物“石田縞”

鯖江市の繊維産業のルーツである伝統織り“石田縞”。
大正時代まで広く親しまれ、昭和に入り機械織りなどの普及によって衰退し『幻の織物』と言われていたが、近年数人の作家によって復元し受け継がれている。
こちらでは石田縞の歴史や織り方も知ることができる。

手織り気分を味わえるオリジナルコースター作り

昔ながらの足踏み式手織り機にあらかじめセットされた色とりどりの経糸に、お好きな緯糸のリボンを通して編み上げていく。石田縞保存会のスタッフが丁寧に教えてくれるので観光の途中でも気軽に体験できる。

“石田縞”織物を使った商品のお買い物も

手織りセンターで織られた石田縞を使用した、名刺入れやアクセサリーなどの様々な小物も作られており、道の駅西山公園や河和田うるしの里会館などで販売中。石田縞の素朴で手織りの優しい風合いをお土産に。