福井名物『おろしそば』と、特製辛味つゆ『けんぞうそば』。
北陸自動車道永平寺インターのすぐ近く、昭和の面影を残す細い路地に『けんぞう蕎麦』があります。そば職人兼社長を務める高柳謙造さんは昔から大のそば好きで、県内のそば道場で腕を磨き『そば打ち名人大会』で2連覇を果たしたことのある実力者です。
「好きなそば打ちを自宅でできれば」と、自宅を改装し2000年に夫婦でそば屋を開店。北海道幌加内町の農場で契約栽培するそば粉と福井県産のそば粉を独自にブレンドした国産十割そばを使い、『おろしそば』と『けんぞうそば』の2品をメインに提供しています。
そばに青首大根のおろしと出汁をぶっかけていただく『おろしそば』は、福井ならではの郷土料理。『けんぞうそば』は、辛味大根のしぼり汁に数種類の大根をブレンドし、隠し味に年に1度しか仕入れることのできない貴重な蔵出し醤油をプラスした特製つゆのつけ麺でいただきます。
ガツンと辛く爽やかな特製つゆが「コシがしっかりとした十割そばの香りや風味、甘みを最大限に引き出してくれるんです」と、謙造さんの娘で店長を務める牧野雅江さんは胸を張ります。
職人の信念が息づく十割そばを、贅沢に味わい尽くす。
謙造さんのこだわりと信念が息づく十割そばと、強烈な辛さが印象的な特製つゆが話題を呼び、『けんぞうそば』はまたたく間に人気店に。テレビや雑誌にも取り上げられ、休日には県内外から多くの人が訪れ、店の外にはズラリと行列ができます。
「カップルやグループ、家族連れなど、若者からご高齢の方まで幅広いお客さまが来られています。インターのすぐそばで、曹洞宗大本山永平寺も近いこともあって、土日は県外から来られた観光客の方がほとんどですね」と牧野店長。
牧野店長のおすすめは、『おろしそば』と『けんぞうそば』の両方を一度に楽しめる、『五合そば』と『十号そば』。青首大根を使ったおろし出汁と辛味大根を使った特製つゆがセットになって、好みの食べ方で贅沢にそばを味わい尽くせます。
「五合は2、3人分、十合は4、5人分程度のそばの量です。女性2人で『五合そば』を頼まれる方もけっこう多いですよ。おかわりも大丈夫で、一合ずつ追加注文していただけます」。
そばの風味が香り立つ、オリジナルの和スイーツ
最近は、国産そば粉が香り立つオリジナルスイーツも注目を集めています。ソフトクリームのなめらかさが残るギリギリまでそばの味わいを詰め込んだ『けんぞうソフト』は、実は謙造さんのリクエストで生まれたものだとか。
土日限定の『そば茶プリン』も、すぐに売り切れてしまう人気メニュー。あえてカラメルは入れず、プリンの甘さとそばの風味が調和した、やさしくあっさりとした味わいに仕上げています。
『けなるいプリン』は、そんな『けんぞうソフト』と『そば茶プリン』が一度に味わえるメニュー。「けなるい」とは、福井弁で「うらやましい」という意味。素材にこだわった和スイーツは、男性のお客さまにもファンが多いそうです。
気さくな店長の人柄もあって、活気あふれた店内は田舎の親戚宅を訪ねたような温かな雰囲気。座敷の30席は足の不自由な方にはテーブルと椅子に変更できるなど、バリアフリーにも対応しています。また、子ども連れのお客さまや辛味が苦手な方には、辛くないつゆを提供しています。
「予約も受け付けているので、『美めぐりふくいを見て』と声をかけていただけると、スムーズに対応できますよ」と、うれしい心遣いをいただきました。