何気ない瞬間を、美しい景色に。
越前市東部に位置する味真野地区にある「竹之助」は、福井県内で唯一の竹専門店。竹垣や衝立、駒寄せなどお客様の環境やニーズに合わせた一品を、オーナーの片岡大輔さんが手作りで製作しています。
人々の生活や仕事は、一様ではありません。一口に竹垣と言っても、家や店舗によって求める仕様は各人各様。「例えば目隠しにしても高さや幅、目の粗さなど、必要な形態・形状はシーンによって変わります。だからこそ、お客様との打ち合わせ時間がとても大切なんです」と片岡さん。「単純に隠すだけならトタンでもいい。でもせっかくなら、そこに風情があった方が良いじゃないですか。それを叶えてくれるのが竹なんです。お客様の生活に馴染みながら、ワンランク上の空間に導くことができた時は、本当に嬉しいですね」。
片岡さんは、建築を志し、学んでいく中で竹という素材に出合い魅了された竹垣職人。「竹は”しなり”に強いので、球状に編めるなど材木よりも柔軟な使い方が出来るんですよね。自分の手で一から作れる素材を探していた私にとって、とても面白い素材だと強く惹かれたのが始まりでした」。
日本人の生活や風景に密着している竹だからこそ、出来ることがあるはず。身近な素材の秘めた可能性を追い求め、挑戦を続ける日々です。
日常を彩り、生活の質を上げる。
『竹之助』の名を一躍世に知らしめたのは、竹製スピーカー「i3booo(アイスリーブー)」。iPhone専用で電源不要のこのスピーカーは、3つの竹筒から出来ており、それぞれの角度を調整することで音の向きや反響を変えることができます。「ししおどしや尺八の透き通るような音の響き方に着想を得て製作しました」との言葉通り、音楽ファンをも魅了する響きは耳だけでなく心も満足させてくれます。
ショップには、他にも日常に取り入れやすい竹アイテムが所狭しと並んでいます。例えば一輪挿し。直径の異なる3つの竹の輪がセットになっているこちらは、気分やシーンによって形を大きく組み変えることができ、場の印象を一変することができます。
また壁一面にレイアウトされた箸にもご注目を。竹の種類や加工を変えた種類豊富な箸の中でも、芸術的という言葉がふさわしいのが極細箸。これ程までに細く仕上げてもなお、かなりの強度を保っています。縁起物“松竹梅”にも挙げられる竹は、お祝いの品にも最適。大人用だけでなく、子供用や箸置きもありますので、差のつくプレゼントをお探しの方にもぜひおすすめです。
他にも、名刺入れや印鑑セット、うちわ、積み木のおもちゃ「bance(バンス)」など、大人だからこそ手にしたいアイテムがずらり。ラインナップはオンラインショップでも確認することが出来ますが、店内にはネットでは買えないアイテムもありますので、気になる方はぜひお店へ足を運んでみて。オーナーやスタッフとの気軽な会話も心地よく、迷う時間も楽しいです。
福井の生活に溶け込む“竹屋”を目指して。
将来的に、水道屋さんのような存在になりたいと話す片岡さん。「水道屋のように、絶対にいてくれないと困る存在になりたいと思っているんです。日常の“ちょっと困ったこと” があったらすぐに相談してもらえて、解決法を提案できる“竹屋”になりたい」と笑います。
約600種類あるものの、加工に適している種類はごくわずかだという竹。「竹は時間とともに色が変わっていきますが、その経年変化も魅力の一つです。屋外と屋内では使い方・魅せ方が全く変わってくるので、お客様ととことん話し合って“何を望まれているのか”をしっかりと理解し、想像力をフル稼働させて目指す空間を一緒に作りあげていくことを楽しみたいです」。
自然素材だからこそ醸し出せる風合いと共に月日を重ねる。“大人に似合うライフスタイル”を提案してくれるお店です。