Monthly Archives: 3月 2023

ゆるやかに流れる大人時間の心地よさ 『Pasta&Wine 1803』

シェフ兼ソムリエが送る、あわらの夜の彩り。

あわら温泉街の一角に、知る人ぞ知る隠れ家的ワインバーがあります。店名の由来はお店の番地からという「PastaWine 1803」は、シックにまとめられた店内が上質なひと時を演出してくれる、“大人のための”ダイニングワインバーです。

オーナーシェフは、地元をこよなく愛する関山耕人さん。関西の有名店でフレンチからイタリアン、和食まで修行を積んだ実力派です。ソムリエでもあり、店内に置かれたセラーには100種類以上もの厳選ワインが寝かせられています。ワインはグラスで味が変わることから、世界中から愛されているリーデルのグラスを使用。ここでは特別な時間を過ごしてほしいとの思いから、カトラリーは機能とデザインを兼ね備えたラギオールにするなど、細部にもこだわりが見えます。「ここで過ごす上質な時間をゆっくり楽しんでいただければ」と関山さん。居酒屋の多いあわらにあって、地元の方はもちろん観光で来られた方にも、これまでとは一味違うあわらの夜を楽しませてくれるスポットです。

確かな技術で、食材の真の魅力を引き立たせる。

コースでもアラカルトでも楽しめる料理は、いずれもワインとの相性を考え抜かれたものばかり。出来るだけ主役の食材がはっきり分かるよう仕上げられています。「やっぱり訪れた土地の物を食べたいじゃないですか。ここに来たら“あわらの味”を楽しんでいただきたい。そのため、農家さんや養豚・養鶏業者さん達と直接やり取りをし、味も鮮度も間違いない素材を使っているので、手を加えすぎないように気を付けています」と関山さん。

そんなフードの中でも人気が高いのは、店名にもなっているパスタ。福地鶏の温泉卵が乗った「温泉ナポリタン」を筆頭にそれぞれにファンがついており、常時20種類から選べます。
中でも一番人気は、艶が美しい生イカがたっぷりと乗り、大葉・柚子・シソの花が散らされた「イカ墨のスパゲッティ」。見た目にも美しく、一口ごとに変わる香りや食感が常に新鮮で、飽きることなく最後まで楽しめる一品です。関山さんおすすめのペアリングはスパークリングワイン。その相性の良さは、ぜひご自身の舌で確認を。

料理との相性はもちろん、お腹の膨れ具合を考慮したペアリングをお願いすることもできます。ご自分の好みも一緒に伝えて、より満足度の高いひと時をお過ごしください。

信頼関係の深化は、味わいの進化。

今後は、今以上に地元の生産者さん達に寄り添っていきたいと話す関山さん。「既にお付き合いいただいている生産者さんとはより深い関係を築いていきたいですし、エリアと幅を広げてもっと多くの方々とも知り合っていきたいですね。扱う食材の幅が広がれば料理の幅も広がって、お客様にももっと楽しんでいただけますから」

あわら市内にも福井県内にも、まだ知られていない面白い食材はたくさんあります。それが関山シェフの手にかかるとどんな一面を見せるのか、ワインとの相乗効果は…。目が離せない大人の秘密基地に、乞うご期待です。

最高の笑顔と“美味しい!”の一言のために 『焼菓子 タケノウチ』

目指すはただひとつ。お客様の“美味しい!”だけ。

2022年1月、「イベント会場でしか買えない大人気の洋菓子屋さんが実店舗をオープンする」と話題になりました。『焼菓子 タケノウチ』は、白い外壁に紫色のポイントが目印の小さなお店です。オーナーの竹内悦子さんは、フレンチレストランやケーキ店での修行やイベント出店などの経験を重ねるうちに膨らんだ「自分のお店を持ちたい」という思いが、やっと形になったと振り返ります。

頭の中は常に焼き菓子のことでいっぱいという竹内さん。「製造から販売まですべて私一人なので、お店がクローズしてる4日間に焼き菓子を作って、オープンしている3日間に販売しながら、果実の加工やケーキ・タルトを焼き上げるという感じですね」と息つく暇もありません。

そんな竹内さんの原動力は、お客様の「美味しい!」という一言に尽きます。「試作を重ねて“これだ!”と思うものが出来るじゃないですか。自分としてはちょっと凝ったことをしていても、全く気付いてもらわなくていいんです。ただただ“美味しい!”と共感してもらえることが、何よりも嬉しい」と言い切ります。
そんな竹内さんの情熱が詰まった焼き菓子は多くのファンを魅了し、週3日のオープン日にはたくさんの笑顔が集まります。

作る人も食べる人も、皆で幸せになりたい。

どれも甲乙つけがたいこだわりを感じる焼き菓子は、常時約20種類。その中の一つが、竹内さんの“原点”です。「ヴィエノワというクッキーが、自分でレシピを作った最初の焼き菓子。本当にシンプルで素朴なんですが、意外とリピーターが多いんですよ」。シンプルなものほど配合が鍵となりますが、ほのかに香る小麦とバターの優しさ、後に残る甘さが絶妙で、癖になるのも納得の味わい。自然と、他の焼き菓子への期待も高まります。

パウンドケーキやフィナンシェ、クッキー、タルト、シフォンケーキなど選びきれないほどの焼き菓子を前に、素材について尋ねると「こだわりはよく聞かれますが、挙げるなら卵ですね。福地鶏の卵の中でも、特に味が濃くて香りが良いものを使っています。あとは私が美味しいと思うものなんですが、自然と地元のものが多くなりますね」と竹内さん。「あわらや坂井には美味しいものがたくさんあって、手にすると“どんなお菓子にしようかな”と楽しくなるんです」と続けます。

素材の味や香りがしっかりと感じられる焼き菓子は、一口ずつ丁寧に食べ進めたくなるものばかり。食べ終わりの充足感までも心地よく楽しめます。

待ち遠しいのは、職人の気まぐれ。

今後は、「作ったことのないお菓子を作りたい」と話す竹内さん。「焼き菓子は伝統菓子が多いけど、その中でも作ったことがないものを作ってみたくて。使ったことのない食材もまだまだ多いので、未体験の製法や素材の組み合わせにチャレンジしていきたいですね」と目を輝かせます。

「すごく気まぐれなので、メニューは思いついた時が作り時。私が食べたいと思うものを作って、美味しいと思うものをお届けしていきます」。

焼き菓子を愛する職人の丁寧な手仕事にハズレはありません。“次の気まぐれ”を定期的に確認したくなる焼き菓子専門店は、大切な方への手土産にも最適な逸品揃いです。

幾重にも層をなす匠の技が放つ美しさ 『成実漆器店』

技術とアイディアで、ニーズを形にする越前漆器。

鯖江市河和田地区は、地域全体で分業体制を築いている全国的にも珍しい漆器の産地。木地師や塗師、蒔絵職人にはじまり、問屋や販売店に至るまで各部門のスペシャリストたちが集まっている、越前漆器の職人技の集積地です。

そんな漆器の産地で3代にわたり“塗り”を専門としてきたのが、昭和9(1934)年創業の「成実漆器店」。現在は、成実嘉宣さんが3代目として技を継いでいます。
「河和田が目指して来たのは美術工芸品としての漆器ではなく、本格的な伝統工芸の技が生きる“使っていただける漆器”づくり。お客様のニーズを形にする方法を、産地一丸となって模索しながらモノづくりに取り組んできた土地なんです」との言葉通り、食洗器や電子レンジにも対応した漆器を開発するなど、技術革新にも前向きに挑んできた産地でもあります。

近年は“モノづくりがしたい、工芸に携わりたい”と全国からの移住者が増え、賑わいを見せている河和田地区。それに伴い、“こういう漆器が欲しいんだけど…”という相談も多くなってきた、と成実さん。
「気付けば、塗師ではなく卸や小売り的な立ち位置でご相談に応えることが多くなっていました。最近はもう、お客様と職人たちを繋ぐ橋渡し役として走り回っていますね」と笑います。「この案件のこの部分はあの人なら形にしてくれるかな、この工程はあの人が適任だな…」と頭を悩ませながら、河和田の活性化に繋げようと奔走を続ける毎日です。

漆器は、日本が誇る世界最高峰のエコ商品。

『成実漆器店』では修理も多く手がけています。「漆器の特徴として、修理が可能で繰り返し使えるということが挙げられます。うちでは補修箇所を漆でコーティングし、磨きをかけて艶を出しながら、高い強度を持たせた美しい金継ぎを施しています。これだと陶器なども修理できるんですよ」と、塗り職人ならではの高度な技を見せてくれました。

実は漆器こそ今の時代に即した世界最高のエコ商品だと成実さんは言います。
「自然のものを素材とした持続可能なモノづくりで生まれて、使い込んだ物にはまた新しい命を吹き込んで蘇らせて。日本人が大切にしてきた“もったいない”という価値観を形にした商品だと思います」。

自然への敬意を忘れず、その恵みを存分に生かした漆器。直して長く使う心にまで美しさが感じられ、まさに日本らしいひと品です。
「漆器は工芸品だけあって、正直安くはありません。しかし技術の結晶ですし、修理もできて半永久的に使える点からも、それだけの価値はあると思っています。食器やカトラリーなど全てとは言いませんが、ポイントで取り入れて心豊かに過ごしていただけたら嬉しいですね」。

おもてなしに、風雅な佇まいを。

成実さんの代表作に、月の満ち欠けを艶やかに描いた5枚シリーズ「胡桃足膳 月の宴」があります。木地から脚の胡桃、塗りの漆、蒔絵の塗料に至るまで、すべて自然のものを使って自然を表現した全国漆器展受賞作です。
また福井県知事賞を受賞した「富士山盛込器揃」は、格調の高さを感じる華やかな作品。どちらも芸術性の高さに魅了される、受注生産品です。

もう少しカジュアルなものから始めたいという方には、ワイングラスがお勧め。仕上げは、木目調・螺鈿・蒔絵の3タイプがありますが、いずれも木地にハンサ(水目桜)やケヤキが使われているため、保温性が高く、口当たりも柔らかいと好評です。

新しいアイディアは、お客様からいただくことが多いと話す成実さん。「こういうのは出来ないの?とか、こんなデザインが欲しいといったご意見から学ぶことは多いです。産地や工芸品を発展させるエネルギーにもなるので、ぜひお聞かせください」と続けます。後世に技術を繋ぐのは、もはや職人の方々だけの使命ではありません。私達が“本当に良いもの”を使い、感性を磨いていくことで、伝統がまた一つ未来に繋がるのだと河和田の越前漆器は教えてくれています。

ヴィーガン&グルテンフリーで心と身体に至福のひととき『blissful.』

こだわりの食材と五味を詰め込んだ『ブッダボウル』。

海にほど近い敦賀の中心街にある、『blissful.』。ヴィーガン認証を受けた本格的なヴィーガンフード&スイーツのテイクアウト専門店です。「身体の中から美しく健康に」をテーマに、素材本来の味や食感、栄養を大切にし、心と身体で美味しいと感じられる「食」を追求しています。

週替わりのランチメニュー『ブッダボウル』は、アメリカ西海岸発のヘルシーな完全菜食丼のようなもの。肉、魚、卵や乳製品、はちみつは一切使わず、グルテンフリーで野菜や穀物、果物、ナッツなどを、バランス良くひとつのボウルに盛り込んでいます。3日間寝かせた『寝かせ発芽玄米ごはん』は、美浜産の減農薬玄米を使用。オーナーの西野絵梨さんは、「できる限り無農薬、減農薬なものや、福井県産の野菜や果物を使うようにしています」とこだわりを語ります。

味付けや調理法はとてもシンプル。不要なものはなるべく入れず、スパイスやハーブ、ナッツなどで多彩な味や食感に仕上げています。「塩味、酸味、苦味、うま味、甘味の五味が全部入るようにしています」と西野さん。自家製のひよこ豆ペースト『フムス』や旬の野菜で彩られたヘルシーな『ブッダボウル』は、女性に大人気。最近は、男性のお客さまも増えているそうです。

素材の持つ風味を引き立てる、日替わりの人気スイーツ。

人気のスイーツも、すべてグルテンフリー。『ロースイーツ』といわれる、48℃以下の調理で熱を入れずに作るスイーツがメインです。小麦粉や米粉、卵や乳製品などの動物性食材はいっさい使わず、生のナッツや果物、ココナッツオイル、野菜などを主原料にしています。また、白砂糖は一切使わず、焼き菓子には甜菜糖やココナッツシュガー、ロースイーツにはメープルシロップやアガベシロップ、デーツシロップなど、精製度が低くかつ栄養素を多く含む天然甘味料を使用しています。

「できるだけ甘さは控えめに、素材の風味を引き立てるよう工夫しています」と西野さん。小麦粉の変わりに、ブッダボウルにも使う美浜産の特別栽培玄米の粉、ホワイトソルガム(白高きびの粉)、オーツ(オートミールの粉)の配合を変えて作った自家製ミックス粉を使用。マフィンやドーナツには、卵の代わりにアマニの粉末を水で練ったものを使うという徹底ぶりです。他にも、酒粕のティラミスには、小浜酒造の酒粕にカシューナッツとココナッツミルクを合わせることで、あっさりとしているのにコクのあるクリーミーな口どけを醸し出しています。

スイーツは日替わりで、新作も続々登場。西野さんは「お菓子を作る自分自身も楽しくないと。それに、なるべくその時期の旬のものを使いたいので、農家さんにどんな果物があるかを聞いて作ることもあります」と笑顔で語ります。スイーツの一番人気は、麻炭が入った『炭スコーン』。真っ黒な見た目のインパクトとは異なる、軽やかな食感と爽やかな味わいに驚かされます。

環境にやさしく、宗教や体質も関係ない、至福のひとときを。

「昔から、美容食や健康食おたくなんです」とほほ笑む西野さん。これまでに野菜ソムリエやローフードマイスター、ナチュラルフードマイスターなど、数多くの資格を保持しています。そんな西野さんが辿り着いたヴィーガンの魅力は、「環境にもやさしいし、動物にもやさしいし、宗教や体質など関係なく、いろんな人みんなで食べられること」と穏やかに語ります。

ショーケースには、ブッダボウルやスイーツの他に、紅茶やハーブティーを発酵させた『コンブチャ』や、オーガニックアーモンドを搾った『自家製アーモンドミルク』などのドリンクも。『ブッダボウル』でお馴染の野菜、地元産のフレッシュなケールも置かれています。

「敦賀にはヴィーガン専門のお弁当を扱うお店がないので、自分で作っているという感じです」と西野さん。「自分が毎日でも食べたいと思うものしか置いていないので、いろんな方に美味しく召し上がっていただけたら」とニッコリ。「至福のひとときをお届けしたい」という願いが込められた店名のように、心も身体も美味しく満たされるこの上ない幸せがここにあります。

形を変える、色合いを変える、趣を変える『竹之助』

何気ない瞬間を、美しい景色に。

越前市東部に位置する味真野地区にある「竹之助」は、福井県内で唯一の竹専門店。竹垣や衝立、駒寄せなどお客様の環境やニーズに合わせた一品を、オーナーの片岡大輔さんが手作りで製作しています。

人々の生活や仕事は、一様ではありません。一口に竹垣と言っても、家や店舗によって求める仕様は各人各様。「例えば目隠しにしても高さや幅、目の粗さなど、必要な形態・形状はシーンによって変わります。だからこそ、お客様との打ち合わせ時間がとても大切なんです」と片岡さん。「単純に隠すだけならトタンでもいい。でもせっかくなら、そこに風情があった方が良いじゃないですか。それを叶えてくれるのが竹なんです。お客様の生活に馴染みながら、ワンランク上の空間に導くことができた時は、本当に嬉しいですね」。

片岡さんは、建築を志し、学んでいく中で竹という素材に出合い魅了された竹垣職人。「竹は”しなり”に強いので、球状に編めるなど材木よりも柔軟な使い方が出来るんですよね。自分の手で一から作れる素材を探していた私にとって、とても面白い素材だと強く惹かれたのが始まりでした」。

日本人の生活や風景に密着している竹だからこそ、出来ることがあるはず。身近な素材の秘めた可能性を追い求め、挑戦を続ける日々です。

日常を彩り、生活の質を上げる。

『竹之助』の名を一躍世に知らしめたのは、竹製スピーカー「i3booo(アイスリーブー)」。iPhone専用で電源不要のこのスピーカーは、3つの竹筒から出来ており、それぞれの角度を調整することで音の向きや反響を変えることができます。「ししおどしや尺八の透き通るような音の響き方に着想を得て製作しました」との言葉通り、音楽ファンをも魅了する響きは耳だけでなく心も満足させてくれます。

ショップには、他にも日常に取り入れやすい竹アイテムが所狭しと並んでいます。例えば一輪挿し。直径の異なる3つの竹の輪がセットになっているこちらは、気分やシーンによって形を大きく組み変えることができ、場の印象を一変することができます。

また壁一面にレイアウトされた箸にもご注目を。竹の種類や加工を変えた種類豊富な箸の中でも、芸術的という言葉がふさわしいのが極細箸。これ程までに細く仕上げてもなお、かなりの強度を保っています。縁起物“松竹梅”にも挙げられる竹は、お祝いの品にも最適。大人用だけでなく、子供用や箸置きもありますので、差のつくプレゼントをお探しの方にもぜひおすすめです。

他にも、名刺入れや印鑑セット、うちわ、積み木のおもちゃ「bance(バンス)」など、大人だからこそ手にしたいアイテムがずらり。ラインナップはオンラインショップでも確認することが出来ますが、店内にはネットでは買えないアイテムもありますので、気になる方はぜひお店へ足を運んでみて。オーナーやスタッフとの気軽な会話も心地よく、迷う時間も楽しいです。

福井の生活に溶け込む“竹屋”を目指して。

将来的に、水道屋さんのような存在になりたいと話す片岡さん。「水道屋のように、絶対にいてくれないと困る存在になりたいと思っているんです。日常の“ちょっと困ったこと” があったらすぐに相談してもらえて、解決法を提案できる“竹屋”になりたい」と笑います。

約600種類あるものの、加工に適している種類はごくわずかだという竹。「竹は時間とともに色が変わっていきますが、その経年変化も魅力の一つです。屋外と屋内では使い方・魅せ方が全く変わってくるので、お客様ととことん話し合って“何を望まれているのか”をしっかりと理解し、想像力をフル稼働させて目指す空間を一緒に作りあげていくことを楽しみたいです」。

自然素材だからこそ醸し出せる風合いと共に月日を重ねる。“大人に似合うライフスタイル”を提案してくれるお店です。

心が潤う港町絶景プチホテル『敦賀さざなみリゾートちょうべい』

潮風に吹かれながら、遥か彼方まで続く水平線を独り占め。

開放感がたまらない絶景を宿のどこからでも楽しめる『ちょうべい』は、敦賀湾沿い随一の眺望が自慢の小さなお宿。「旅の目的や宿に求めるものは、人や状況によって都度変わる」との思いから、食事付きの宿泊はもちろん、素泊まり、食事のみ、お風呂のみなど柔軟な利用に対応しています。

手入れの行き届いた個性的なお部屋は、6タイプ全8室。中でも2つの特別和洋室は、敦賀旅を存分に味わい尽くしたい人にはうってつけです。海辺の船小屋をモチーフにした「光の間」は、実際に使われていた漁具がオーナメントとしてあしらわれた和モダンスタイル。名子集落の今昔が融合した贅沢な空間となっています。一方の「虹の間」は、“鉄道と港のまち敦賀”を表現したホテルのような一室。欧亜国際連絡列車や客船のキャビンを彷彿とさせるシックでモダンなインテリアたちが、ワンランク上へのステイへと導いてくれます。

「民宿というと宿泊人数を伝えて宿側がお部屋をあてがうのが一般的ですが、当館は個性的なお部屋が多いので、お客様自身にお選びいただいています」と話すのは女将の山本敬子さん。目的やスタイルに合わせた一室で、思い思いに過ごすことができます。

敦賀さざなみリゾートちょうべい

生け簀は目の前の敦賀湾!獲れたてを存分に。

旅の醍醐味でもある食事。こちらでは、敦賀の海の幸をふんだんに使った料理をメインに楽しむことが出来ます。おすすめは何といっても「炭火焼懐石」。炭火を使って焼き上げる海の幸は味も香りも格別。敦賀真鯛や若狭牛など地元が誇る食材を、お造りや陶板焼き、釜めしでも味わうことができる、大満足なコースです。「特に敦賀真鯛は、目の前の敦賀湾で育てられた県内最高ランクの真鯛。生産者の顔はもちろん、育てられた環境まで感じていただける最上級の安心安全食材です」と女将さんも胸を張ります。

また女性人気が高いのは、8種のおかず全てが発酵に関わっていて、50品目以上の食材が一度に味わえる「発酵食ご膳」。中でも漬けるのに最低1年はかかるへしこは、女将のライフワークともなっています。白飯とも日本酒とも相性抜群の自家製へしこは買い求めることもできますので、旅のお土産にもおすすめです。

ビーチリゾートを満喫したいという方には、海辺のテラス席(4月下旬~11月上旬)での海鮮BBQが一押しです。潮風を感じながら味わう炭火焼きは、至福そのもの。「手ぶらで来ていただいて、さざ波の音をBGMにゆったり流れる敦賀時間をお楽しみください。海を間近に眺めながらの食事は最高ですよ!」と女将が太鼓判を押すのも納得です。
ちなみに、こちらのお食事はすべて完全予約制となっています。お越しの際はご予約をお忘れなく。

雄大な自然でマインドリセット。

市街地から車で10分程の距離ということもあり、敦賀観光の拠点としてだけでなく、アウトドアへの足掛かりとして利用される方も多いそうです。釣りやサップなどマリンアクティビティをはじめ、西方ケ岳や蠑螺が岳へのトレッキング、ビーチコーミングなど楽しみ方は自分次第。マリンアクティビティは道具を貸し出しているものもありますので、気になる方はお気軽にお尋ねください。

せっかく日常から離れるのだから『ちょうべい』でのステイは、とことん寛いでほしいと話す女将さん。「“私ってこんなことも楽しめたんだ”とか“あ、もっとゆっくり過ごせば良いんだ”というような発見があるのは、旅に出ると、いつもとは違うところにチャンネルが合うからだと思うんです。自分のペースを取り戻したり、リセットできたり。ここがそんな場になればと考えていますので、とにかくのんびり過ごしていただきたいですね」。忙しい日常で溜まってしまった思考の澱を、穏やかなさざ波の音で洗い流す。そんな贅沢なひと時を、ぜひこの場所で体験してみては。

特別な時間が流れるオーセンティックバー『THE BAR 灯火』

福井をもっと知りたくなる、日常と旅を彩る大人の空間。

JR福井駅から徒歩1分。細い階段を上り重厚な扉を開くと、そこは静かな音楽が流れるオーセンティックバー。高級ホテルのラウンジのような気品ある空間で、バーテンダーがその日の気分にあわせたお酒で特別な時間を約束してくれます。

ラグジュアリーな店内には、「福井らしいバーをつくりたい」というこだわりが込められています。壁には、福井城址の石垣に使われる笏谷石と福井の伝統工芸品である越前和紙を使用。越前漆器の沈金の技で描かれたモダンなオブジェが、上質なアクセントになっています。また、喫煙室として設けた中庭は、まるで美しいウィンドウディスプレイのように華やかな存在感を放っています。

県外から来られたお客さまに、福井の観光案内をすることもあるというオーナーバーテンダーの松浦さん。「お客さまのお話をお聞きするバーテンダーは、いろんな情報を知っています。地元のことをもっと深く知れる場所は、実はバーなのかなと思います」。地元の人は改めて福井の良さを実感し、県外の人は福井への興味がより湧いてくる、日常と旅を彩る大人の空間です。

人気のフルーツカクテルも、幻のスコッチウイスキーも。

『THE BAR 灯火』の一番人気は、フルーツカクテルです。旬にこだわり、市場にあまり出回らないような珍しいフルーツも取り寄せています。例えば、秋には陽豊柿という糖度20度を超える品種を使い、濃密な甘さを引き立てる鮮やかなカクテルをご提案。「季節のフレッシュなものを使うので、フルーツの香りと味わいを楽しんでもらえるように仕上げています」と松浦さん。

豊富なウイスキーも魅力のひとつ。「幻の酒」と呼ばれる本場スコットランドの閉鎖してしまったウイスキー蒸留所から、日本の新しい蒸留所のものまで取り揃えています。気になる料金はボトル裏に明示されていて、気兼ねなく飲むことが。裏メニュー的な日本酒は、福井の地酒をセレクト。格別なブランデーも、ひっそり出番を待っています。

お客さまは県外客から地元の方まで、世代も20〜60代と幅広いそう。最近は、インスタを見て訪れる女性客も増えています。「コロナ禍で家飲みが増えた中、外へ飲みに行くのは特別な時間。上質な空間で本当に美味しいものを飲む、贅沢なひとときを愉しんでいただきたいですね」。

バーテンダーとの会話から生まれる、自分だけの特別な一杯。

松浦さんは名古屋と福井の老舗バーで合わせて12年間修業を積み、2021年、福井駅前に『THE BAR 灯火』をオープンしました。「駅前はバーがあまりなく、県外から来てホテルに泊まられたお客さまがもう1件バーに行こうとするとき選択肢が少なかった。駅前再開発のタイミングもあり、これから新しく変わっていく中で、地域貢献としても何かできたらいいなという気持ちがありました」と語ります。

バックバーに並ぶのは、ウイスキーやブランデー、ジン、ラム、テキーラ、リキュールなど。冷蔵庫に保管されているお酒も合わせると全部で約900種類あり、ウイスキーは国内外あわせて約400種類と充実しています。

メニューはなく、オーダーはお客さまと会話を交わし、おすすめをご提案するスタイル。「メニューにすべてはのせられないし、お客さまが自分のわかるお酒しか頼まなくなりがちです。〝アルコール軽めで甘めなカクテル〟、〝口当たりのすっきりしたもの〟など、どういったものがお好みかを言ってもらえましたら、その時の気分や体調にあわせたカクテルを作らせていただきます。ウイスキーであれば、ボトルを何本かお見せしてお選びいただいています」と松浦さん。特別感のある一杯で、自分へのご褒美時間をゆっくり楽しんで。

老舗酒屋の女将から学ぶ発酵スキンケア作り体験

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近年注目されている発酵成分が入った、ナチュラルで使い心地の良いスキンケア作り体験。
栄養価が高く、健康や美容に良い効果が期待できると言われている酒粕や糀を使った活用法を老舗酒屋の女将から学ぶ。作ったスキンケアは、自宅での使い方や保存方法まで丁寧に教えてくれる。
『久保田酒店』についての記事はこちらから。

おすすめポイント

選べる体験内容

酒粕石鹸・酒粕パック・糀化粧水の中から2種類を選んで体験ができる。その他にも発酵成分を使ったスキンケアを準備中。体験内容によっては、お気に入りのアロマオイルを持参して香り付けもできるので、申し込みの際に相談してみて。

自分だけのスキンケア作り

スキンケアが合うか、その場でパッチテストも可能。肌に合えば自宅でも手軽に材料を揃えて作れるため、自分で手作りする楽しみを味わえる。アレンジ方法も学んで、オリジナルのスキンケアを作ってみるのもおすすめ。

酒粕や糀を身近なものに

フードコーディネーターの資格を持つ女将が、酒粕を使った料理やスイーツなどの作り方や楽しみ方についても教えてくれる。スキンケア作りのみならず、酒粕や糀の使い方や効能を学び、発酵の良さを再認識することで、健康と美容を意識した生活について考えるきっかけにも。

老舗酒屋で福井の地酒3種をテイスティング

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鯖江市に100年以上続く老舗酒屋、『久保田酒店』は地酒専門店として福井の美味しい地酒を紹介・販売している。店内では地元鯖江の「梵」をはじめ、「黒龍」「白岳仙」「常山」などの銘酒を取り揃えており、福井の地酒を気軽に味わうことができる。
『久保田酒店』についての記事はこちらから。

おすすめポイント

バーカウンターで気軽に

店内には落ち着いた雰囲気の立ち飲み専用バーカウンターが設けられていて、季節の限定酒を含め3〜4種類の日本酒をテイスティング。店主おすすめのおつまみと一緒にいただける。

地酒を通じて、福井の文化や風土を知る

日本酒の味わいだけでなく、蔵元の思いや酒米を育む田んぼや里山の風景など、様々な要素を交えた話を聞いてみるのもおすすめ。テイスティングを通じて、その土地の風土や文化などを知ることで、日本酒をより深く理解できる。

器と日本酒のマリアージュを楽しむ

好みの器を選んでのテイスティングも可能。越前漆器や越前焼など、地元ならではの器を使うことで、酒器の素材や形状、厚みの違いが、それぞれの日本酒の良さをより引き立ててくれる。

大人だけが知る、福井の善しこと『ESHIKOTO』

目指すは、福井の良いものと笑顔が集まる日本酒ドメーヌ。

2022年6月に誕生した『ESHIKOTO(えしこと)』は、黒龍酒造を擁する石田屋二左衛門が手掛ける “大人のため”のスポット。20歳以上だけが入場可能な、お酒と食を起点とした福井を楽しむための複合施設です。

始まりは、8代目水野直人社長がワインの名醸地で見た光景でした。ブドウ畑しかないような田舎のワイナリーに世界中からたくさんの人々が訪れ、雄大な自然に抱かれながらワインとその土地の食を笑顔で楽しんでいたのです。「日本の酒蔵だと歴史ある建物を見せて終わりということが多くて、お酒にまつわるストーリーが見えづらいんですよね。そこで“福井の豊かな自然を感じながら、お酒を楽しんでいただく場所を作りたい”との思いが膨らみ始め、10年の歳月をかけて構想を形にしました」と、石田屋の水野真悠さんは振り返ります。しかしその10年は、敷地の選定から建材、ディスプレイ、商品に至るまで、徹底的に“福井”にこだわり抜くには必要な時間でもありました。

「ESHIKOTO」は「善(え)しこと」。福井の良いこと・ものを発信するだけでなく、福井にとって良いことをしていこうという思いが込められたこの場所は、逆さ読みすると「永(とこしえ)」となり、永遠・永久を示唆すると同時に永平寺を連想させるという含みも持たせています。
福井の人が福井の素晴らしさを再発見し、県外の人に福井を自慢できるスポットになるように。日本の・福井の原風景ともいえる豊かな自然が守られてきた永平寺だからこそ誕生した、大人しか体験できないアミューズが詰まった場所です。

伝統を守り、磨き上げ、未来に繋ぐ。

昔、黒龍川と呼ばれていた九頭竜川。黒龍酒造にとっては名前の由来であり、その地下水で今に続くまで酒造りを行っている恵みの川です。「九頭竜川を一望できるここで、私たちのお酒を発信していくことはもちろんですが、それ以上に福井の食や伝統工芸を発信していきたいと考えています」と真悠さん。日本酒をはじめ、越前漆器や越前焼、越前打刃物、越前箪笥など伝統工芸が今なお生活に密着している福井。それらの技術や文化が後世に継承されていくためには、消費者の目に触れやすいアクセスポイントが不可欠であり、ここはその役割を担うことも目指しているのです。

約3万坪に及ぶESHIKOTOの敷地。私たちが気軽に訪れることが出来るのは、その広大な敷地の一角にある「酒樂棟」です。レストラン「Apéro & Pâtisserie acoya」と酒ショップ「石田屋」が入る酒樂棟で、五感をフル稼働させながら福井を多面的に堪能する時間はまさに至福そのもの。今後はさらに飲食店を増やすほか、オーベルジュなどの計画も進められる予定です。
伝統的な福井から、福井を表現した食まで。足を運んだ人だけが知る“福井の真の魅力”が、ここには詰まっています。

世界に羽ばたく新しい日本酒の発信源に。

黒龍酒造の新たな旗艦店としてオープンした「石田屋ESHIKOTO店」。ここでは常時15種類程の銘柄を揃えていますが、なんと半分はここに来なければ買えない銘柄というから驚きです。
中でも力を入れているのは、世界も注目しているスパークリング日本酒「awa酒」。「スパークリング日本酒は甘口のものが多いですが、当蔵のものはしっかりドライな飲み口に仕上がっています。これは15ヶ月以上瓶内二次発酵させ、糖分をしっかり分解させているから。新しい日本酒として、ぜひお試しいただきたいです」と真悠さんも自信を覗かせます。

このawa酒、グラスに注いで美しい泡を愛でることから楽しみが始まります。キメが細かく持続性の高い泡は、つい見惚れてしまうほど。米の旨味をしっかりと感じるキリリとした飲み口は、和食にはもちろん洋食にも驚くほど合わせやすい仕上がりになっています。多様なシーンでの活躍が期待でき、固定観念にとらわれない食とのマリアージュを楽しみたくなること間違いなしです。
「でもスパークリング日本酒には馴染みがなくて……」という方は、まずは店内のバーカウンターでの試飲(有料)からお試しを。お勧め3種類の飲み比べで、今後の人気の高まりを予感させるawa酒も確かめることができますので、ぜひどうぞ。

店内では酒器や片口など、お酒にまつわるアイテムの取り扱いも。ディスプレイには黒龍酒造のロゴが刻まれた越前箪笥が使われるなど、伝統と技術の調和が心地よい空間になっています。店内や敷地内には、他にも多くの“made in 福井”が散りばめられていますので、ぜひ自然の恵みと技術の折り重なりをお楽しみください。
味わうことだけが日本酒を楽しむことではない、と背景まで感じさせてくれる『ESHIKOTO』。まさに“ストーリー”を感じるスポットです。

シャボン染め和紙体験と六角木箱づくり

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約1500年の歴史を受け継ぐ、越前和紙の里にある手漉き和紙工房『栁瀬良三製紙所』にて、シャボン液を使って染めた和紙を、家具職人が手作業で作った底板に貼り、六角形の木箱を完成させる体験。
シャボン染め和紙は、手漉きの和紙にシャボン液を使って染めることで、独特の柔らかな色合いが出るのが特徴。木箱部分は越前市の家具職人『ファニチャーホリック』にて丁寧な手作業で作られたもの。和紙の柄や色、六角形の木箱の素材や手触りなど、様々な要素が組み合わさり、自分だけの個性的な作品になる。和紙や木箱の美しさを感じながら、心温まる体験。完成した木箱はどちらかを蓋部分にして重ねたり、それぞれを2つの小物入れとしても使える。

『栁瀬良三製紙所』の記事はこちらから。
『ファニチャーホリック』の記事はこちらから。

おすすめポイント

独特の柔らかな風合いが魅力的

シャボン液を使って和紙に色付けをすることで、独特の柔らかな色合いが出るのが特徴。和紙の細かな繊維感に色が反応し、他の染色方法では表現できない魅力的な色の表情を作ることができる。

初心者でも手軽に楽しめる

シャボン液を使う染め体験は、とても簡単な手順なので初めてでも気軽に体験できる。和紙に触れながら、1人での参加はもちろん、親子や友人同士で楽しみながら体験するのもおすすめ。

自分だけの個性的な作品が作れる

和紙に色を付ける範囲や、シャボン液の泡の大きさ、色の種類や濃さなど、様々な要素が自由に組み合わさることでオリジナル性の高い作品を作ることができ、自分だけのアイテムができる。シャボン染めが終わったら、箱の底に貼る切り取り箇所を決めるのも楽しい。

和紙

老舗の和紙工房ならではの体験もできる

伝統工芸士がいる老舗の手漉き和紙工房ならではの、手漉きの和紙工房の見学(平日のみ)や、手漉き和紙体験も同時にできる。
手漉き和紙体験についての詳細はこちらから。
※手漉き和紙体験は、1週間前までに要予約。
※体験者は無料で工房見学が可能。

知るほど深まる味わいに、心をも満たされる『Apéro & Pâtisserie acoya』

食事とスイーツ、同じ“食”でありながら異なる魅力を。

ESHIKOTO酒樂棟にある、レストラン「Apéro & Pâtisserie acoya(アペロ&パティスリー アコヤ)」。九頭竜川の雄大な流れと、刻一刻と移ろいゆく雄大な自然に抱かれながら、“福井”を凝縮させた空間とフレンチを楽しむことができるレストランです。
越前和紙が表現する黒と白を繋ぐグラデーションが印象的な店内には、軽い食事が楽しめるアペロサイドとスイーツを楽しむパティスリーサイドがあり、どちらからでも入店が可能。それぞれのカウンターで注文を済ませ、席で待つスタイルです。

このレストランは、アペロとパティスリーという“全く異なる二つの顔を持っている”ことからacoyaと名付けられました。これは歌舞伎の演目「阿古屋」に由来しています。福井出身である近松門左衛門作の浄瑠璃が原型となっているこの演目の主人公・阿古屋姫の、どんな男性でも魅了してしまう美しさと、戦場で見せる鬼の形相という二面性を、料理の多面性に重ねています。
ではなぜ今「阿古屋」なのか。それは、この永平寺に彼女が眠っていると伝わるからです。「地元の人にもほとんど知られていない永平寺にまつわる歴史に、興味を持ってもらう入口になれたら」。acoyaには、そんな思いも込められています。

福井という土地が育んできた味わいを最大限に。

フランス料理が大切にしているテロワール(風土性)という考え方。それは、曹洞宗大本山永平寺で大切にされている禅にも通じるものがあります。竹内賢太郎シェフの「福井が育んだ素材を最大限に生かし、福井の地だからこそお出しできる料理をお楽しみいただきたい」という思いは、本場で習得した技術や知識があり、ここ永平寺で発揮されるからこそ大きな意味を持つと言えるでしょう。

ランチでは、福井県産のお米を土鍋で炊いたご飯とともに、福井の季節を感じる旬菜、黒龍酒造の吟醸酒粕を飼料に育てられた「黒龍吟醸豚」をはじめとする肉料理などが味わえます。
また、朝膳(土日祝日限定)で提供されるお味噌汁は、へしこのアラで出汁を引いており、あっさりとしながらもコクのある味わいとなっています。
食材はもちろん、調味料や出汁に至るまで福井を凝縮させることにこだわり抜いた一膳、ぜひ隅々までご堪能ください。

また、10~16時限定で黒龍酒造のお酒と合わせることもできます。お料理だけでも美味しいですが、お酒とのマリアージュで旨味が一層増幅していくのを感じるのは、まさに悦楽のひと時。配膳の際に説明される料理との相性を参考に、自分好みのペアリングを楽しみましょう。

心と体を解きほぐす、ナチュラルな大人パフェ。

予約しての訪問がお勧めというほど人気が高いのが、パティスリーのパフェ。福井県産の旬の食材を使った季節のパフェは大満足の質とボリュームで、これを目当てに来る女性が後を絶ちません。
パティシエールの岡田麻波さんが目指すのは、季節の移ろいと福井が詰まった味わい。「自然を感じながら食べていただくので、味も仕上がりもナチュラルになるようにしています。景色と相まって、自然に溶け込むようなゆったりした大人の時間を演出できれば」と、常に構成やバランスに心を砕いています。

カフェタイムには、他にも大吟醸ソフトクリームやパウンドケーキなどもご用意。「ケーキはテイクアウトもできますが、食後やカフェタイムにカットでお出しすることもできますので、お気軽にお尋ねください」。時には気まぐれに焼かれたタルトなどがサプライズで登場することもあるので、SNSでのお知らせも要チェックです。
今後は福井らしいお菓子を手掛けたいという岡田さん。「県外への手土産に“これが福井のお菓子だよ”と持って行ってもらえるようなものを目指したい」と意気込みを新たにします。いつも心地よく私たちの期待を超えてくれる岡田さんのスイーツから、まだまだ目が離せません。

日常のひとコマを心地よくアップグレード。

カトラリーや木製トレー、越前焼の皿など、使われている食器類はすべて福井の職人達によって作られたacoyaのための逸品ばかり。ここで感じる心地よい統一感は、職人達にお店に足を運んでもらい、雰囲気やコンセプトへの理解が得られたうえで製作を依頼しているからこそ生まれています。床に敷き詰められた笏谷石や壁を彩る越前和紙、悠久の時を感じさせる美山杉の一枚板テーブルなどとの調和もまた見事の一言に尽き、満ち足りた穏やかな空気感も納得しかありません。

大人のためのスポットと聞いてドレスコードを気にする方もいるようですが、岡田さんは「近所のカフェに行くように気軽に立ち寄っていただければ。定期的に同じ時間に来られてお仕事されている方もいらっしゃいますし、そういう“生活に馴染む場所”になれたら嬉しいですね」とニコリ。
県内の方には生活の一部分に、県外の方には福井の自然の雄大さを伝えられる場所に。“日常”と“特別”が不思議な融合を見せるレストランは、足を運んだ人だけが魅力を知ることが出来る魅惑のレストランです。

味わいの奥にある物語まで慈しんでほしいから 『久保田酒店』

美味しい日本酒が作り続けられ、それが楽しめる世の中であるように。

日本酒文化を守り伝え、日本酒を通して人と人がより深く繋がるお手伝いをすることが自分達の役目だと考える『久保田酒店』。大正3(1914)年創業の老舗を守る4代目 久保田裕之さんは、「日本酒の背景にある田園風景を感じ、蔵元さんたちが込めた想いも一緒に味わっていただきたい」と静かな熱意を話します。

お酒は婚姻関係になぞらえることが出来ると言う久保田さん。「蔵元さんは親御さん、お酒はご子息・ご令嬢、我々は仲人のような存在。親御さんが真摯に育て上げたお子さん達を嫁がせるその日まで、品質管理を徹底して大切にお預かりするのは当然のことです」との言葉に、蔵元さんと築き上げてきた信頼関係と日本酒への愛情が感じられます。

こちらに訪れたらまず、店先のメダカが泳ぐ小さな池に足を止めてみてください。「小さな池に田園風景を再現するために毎年田んぼの泥を入れて、少し分けていただく酒米を植えているんです。秋にはちゃんと実って穂が垂れるんですよ。昔はごくありふれた風景でしたが、今ではメダカは絶滅危惧種。実は貴重になってしまったこの風景こそが日本酒造りには重要ですし、私達の出発点を忘れないためにも大切にしています」。日本酒を楽しむということは、酒造りの源に思いを馳せることから始まっているのです。

人と人、想いと想いを繋ぐ。

こちらでは、県内の銘柄を中心に約10前後の蔵の地酒を取り扱っています。「お酒はそれだけでも美味しく楽しめますが、その背景を知るともっと味わいが豊かになると思うんです」とも久保田さん。今年はどういう天候の下でどういう米が育ち、杜氏達がどういう風に手をかけ、その結果どういう仕上がりのお酒になったのか……。その“物語”を聞いた我々は、また一段と含みのある味わいを楽しむことができるはずです。

その物語に触れることができるのが、店内に設けられたバーカウンター。ここでは6種類から3種類を選んで試飲(有料)することができます。イベント時や新酒の季節などは種類が増えることも。「お酒にまつわる物語はもちろん、“今はこういう味わいですが、家で少し寝かせるとこういう風に変化して違った味わいが楽しめますよ”と、ちょっとしたポイントを伝えるのにも役立っています。蔵元さんの想いや楽しみ方のポイントを伝えられる、少しの時間をいただくカウンターになれば」。生産者にも消費者にも誠実でありたいという真っ直ぐな心意気に満ちたこのカウンターは、まさに真正面からお酒と向き合うに相応しい場所といえるでしょう。

アルコールの枠を超えて、飲めない人もお子さんも楽しめるお酒屋さんへ。

「酒屋という特性上、大人が商品を選んでいる間、お子さん達がつまらなさそうにしているのが気になっていたんです」と話すのは若女将の桐子さん。酒屋に入るというハードルを下げ、子供たちでも気軽に入れるお店でありたいと考えた桐子さんが目を付けたのは、酒造りにも使われている麹の存在。季節の県産フルーツを使った麹ドリンクをはじめ、夏には手作りシロップのかき氷も手掛けており、これらを目当てに来店するリピーターも増えています。

さらには、麹の魅力を伝える「こうじ生活ラボラトリー」と題したワークショップ(2~6名で受付)も開催。「粕床づくりと活用法」や「酒粕でお肌うるおしパック」「麹を天然調味料に」など、気軽に挑戦できるトピックが取り揃えられています。日本人の生活に欠かせない麹の活用方法を知り、体の中から美と健康に一段と近づきましょう。

日々、目的も用途も多様な人々が訪れる久保田酒店。ご夫妻は「皆さん、誰かに喜んでほしいと思いながら選んでいるんですよね。私達が出来るのはアドバイスくらいですが、“きっと喜んでくれるわ”と笑顔でお帰りになられる姿を目の当たりにすると、人と人との繋がりが深まる瞬間に立ち会えたようで幸せな気持ちになります」と揃って目を細めます。大切なひと時を迎える折には、“人とシーンに合わせたお酒に巡り合える酒屋”へ是非。