Monthly Archives: 3月 2022

世界に誇る職人技と洗練されたデザインの競演『BROS JAPAN』

時代を超えて愛され続けるクラシックスタイル。

眼鏡の聖地鯖江市にあるBROS JAPAN(ブロスジャパン)は、現存する世界最古の眼鏡メーカー『American Optical(アメリカンオプティカル)』の日本総代理店として、2001年に創立しました。

ブロスジャパンが手掛けるブランドのひとつ、『BJ CLASSIC COLLECTION』は、American Opticalのクラシックフレームをもとに、日本人の骨格に合ったデザインを展開するアイウェアブランドとして2005年に誕生しました。

「自分たちが信じるモノだけを作っていく」オーナーである浜田氏の理念のもと、自分達が納得できる本当に良いものを作り続けているブロスジャパン。その真っすぐなモノづくりへの信念とは一体どのようなものなのでしょうか。

眼鏡職人による実直なモノづくり。

ブロスジャパンが世に送り出す眼鏡は、世界でも有数の技術力を持つ眼鏡職人の手によって作られています。機械では表現できない手作りならではの美しさをうかがわせるポイントのひとつに、「セルロイド」によるフレーム作りがあります。セルロイドは、発火温度が低く170度で発火してしまう危険性があるため、機械での大量生産が難しく扱いが非常に難しい眼鏡の生地です。しかし変形しにくく美しい艶を放つため眼鏡に適した素材でもあります。ブロスジャパンでは敢えて扱いが難しいセルロイドでのモノづくりを続けることにより、優れた職人の技術を継承し続ける事の大切さをも考え続けています。

「良いものを長く使ってほしい」そのためなら手間も時間も惜しまない、そんな想いがブロスジャパンの作る眼鏡から伝わってきます。

一期一会の個性に着目。

BJ CLASSIC COLLECTIONが、会社設立20周年の節目に発表した「CRAFTSMAN EDITION(クラフトマンエディション)」では、改めてCRAFTSMAN(職人)に着目しました。眼鏡を、物や商品としてではなく、ひとつひとつの「作品」としてとらえ、個性を出すことに挑戦したのです。
フレームの角が立っているもの、丸みを帯びているもの、統一された形の中でも敢えて一本一本に不均一の美しさを持たせたと言います。さらに伝統的な職人技のひとつ、「芯張り」を取り入れました。
これは、テンプルと呼ばれる眼鏡の耳掛け部分を作る技法のことで、昔ながらの高度な職人技のひとつです。美しい彫金模様の金属芯が浮かび上がる個性ある一点物は、まさに作品と呼ぶにふさわしい眼鏡となったのです。

モノが職人の作品だった時代のモノづくりを現代で再現する、これは長年技術を継承してきた職人がいなければ実現できません。「自分たちが信じるモノだけを作っていく」その真摯で一途な姿勢が、今なおファンの心を捉えて離さない理由のひとつなのかも知れません。

大野でしか飲めない、天然の名水で淹れる『モモンガコーヒー』

大野の名水で、この場所でしか味わえない一杯を。

名水で知られる北陸の小京都 大野市の街中にある『モモンガコーヒー』。店で味わう名水で淹れた自家焙煎のコーヒーは、その格別な美味しさで訪れる人を驚かせています。

「やっぱり水が違うんです。軟水で、水自体に甘みを感じる大野の水は、コーヒーとすごく相性がいい」店主の牧野俊博さんは、美味しさの秘密をそう語ります。名水百選に選ばれる大野市は天然の湧水に恵まれ、家庭でも地下水をポンプで汲み上げ水道水として利用しているのだそう。2014年には「日本一美味しい水道水」を飲める市に選ばれるなど、その品質はお墨付きです。

牧野さんはそんな大野の水を活かした「この土地でしかできない焙煎」を行っています。「実は、コーヒー豆自体は果実の種なので全部甘いんです。大野の水とのマッチングを意識して、あまり過度な焙煎はせず、豆の甘みを引き出せるよう心がけています」

フェアトレードにこだわった豆を世界中から厳選。

「コーヒー豆は、できる限り産地のコーヒー農家の方に正当な金額が届くフェアトレードな豆を扱いたい」という牧野さん。コーヒー農園と直接取引をするなど、「フェアな関係を築く中で、よそとは違う美味しいコーヒーを出せたら」と考えています。

2年前からは、コロンビアのコーヒー農園とダイレクトトレードで豆を仕入れているそう。そこには、ある出会いがあったといいます。「コーヒー農園の5代目が乗った車が故障し、修理の間たまたまうちに来たんです。それで車内にあったコーヒー豆を淹れさせてもらったら感動するほど美味しくて、彼もとても驚いていた。けっきょく〝水の違いだ〟という結論になり、そこからおつきあいが始まりました。今は、気が合うアミーゴみたいな相手です」と笑う牧野さん。

他にも、ブラジル、東ティモールなど厳選した自家焙煎豆が充実し、豆の販売も人気。「でも、やっぱり本当は大野の水と組み合わせで飲んでほしいですね」といいます。

幅広い世代の人が集い、好きなコーヒーを楽しむ空間。

お店の一番人気は『モモンガブレンド』。華やかな香りで、ほどよいコクと甘さが自慢です。「大野の水との相性でしかつくれないブレンド。シングルのコーヒーでは絶対に味わえないバランス感を目指しています」と牧野さんは力を込めます。

アイスコーヒーは、夏季限定の人気商品。ウォータードリッパーで8時間かけて大野の名水を1滴1滴落としていく水出しコーヒーは、熱を加えないため苦味やカフェインが極端に少なく、とてもまろやか。「フルーティで、香りが良く、店ではワイングラスに入れて香りも楽しんでもらっています」。1日2ℓしか抽出できず、あっという間に売り切れる「幻のコーヒー」です。

開店から8年。エスプレッソを味わう女子高生や、カフェラテを楽しむおばあちゃんなど、店には幅広い世代が集います。「老若男女問わずきていただける店にしたかったので、そうなれたのかなと。大野の方に誇りに思ってもらえたらうれしいですね」と想いを語ります。

元気になれる、遊び心あるハイセンスな花屋『Charles Garden』

癒やしと元気がもらえる、季節の花のある暮らし。

近頃、花を買う人が増えています。コロナ禍でおうち時間が長くなり、季節の変化を感じ、癒やしと元気をくれる花が、日々の暮らしに欠かせないものとなっているようです。

「花の力はすごくて、うちの花から〝元気がもらえる〟とお客さまによく言われます」そう語るのは、フラワーデザイナーの小林しのぶさん。坂井市丸岡町の住宅街で『Charles Garden(シャルルガーデン)』を営んでいます。金曜、土曜、日曜日は、20種類以上のフレッシュフラワーを販売。月曜、火曜日はドライフラワーとブリザーブドフラワーを扱い、店内には常時、福井で活躍する作家が手がけるアクセサリーやキャンドルなどの雑貨が置かれています。

店名は「開店当時読んでた本に登場した、わがまま気ままで自由奔放なネコの名前」だそう。「まさに自分みたいなキャラクター(笑)。ちょっとわがままな人が集まるお庭みたいなイメージです」と、小林さんはいたずらっぽく笑います。

3日間限定のフレッシュフラワーで、ロスゼロを実現。

フレッシュフラワーが週3日の限定販売なのは、「生花のロスをゼロに」という小林さんの強い思いから。「残った生花を捨てたくない。お客さまが買った後も花が長持ちするよう、生花が入荷する木曜日は定休日にし、1日かけてしっかり下処理しています」それでも残った花は、捨てずにドライフラワーに。花瓶も再生ガラスのものを使うなど、SDGsに取り組んでいます。

ブーケやアレンジはお客さまの要望を聞いてつくりますが、小林さんのセンスを信頼し「けっこうおまかせの方が多い」そう。「気をつけているのが、めったに見ないようなクセの強い花を入れること。普段見ない花を見て、お客さまが喜んでいただけるとやめられない」とニッコリ。

そんな小林さんが特に力を入れているのが、ショッピングセンターやブライダル、店舗などを彩る花の空間デザインです。アーティフィシャルフラワーにドライフラワーを組み合わせたアレンジをはじめ、大胆で遊び心ある発想から生まれるハイセンスな作品は高く評価されています。

花のある生活と、花で生きていく人生のきっかけに。

老若男女、幅広いお客さまに愛される『Charles Garden』。花の色合いが映えるモノトーンを基調としたスタイリッシュな空間は、「男性のお客さまも入りやすいよう」と小林さんはいいます。

「高校生の男の子が社会人になって彼女へのプレゼントを買いに来てくれたり、中学生のとき来てくれた女の子が結婚するときお花を依頼してくれたり。幸せな瞬間や大切な記念日にうちのお花を使ってもらえるのは、すごくいい仕事だなと思います。お客さまと一緒に成長させていただいているようで、うれしいですね」とほほ笑みます。

昨年増築したコンテナ部分は、花の教室やアトリエ、ポップアップストアに活用。4年前から、独自のカリキュラムによる認定資格レッスンもスタートさせました。「卒業生は一緒に現場に入ってもらったり、独立してお花屋さんをされたり。お花の世界で生きていきたい人を応援する感じです」と小林さん。未知の可能性や才能が、ここから大きく花開いています。

丁寧な味わいを気軽に楽しむ『ときの蔵』

旬を噛みしめながらゆるりと過ごす、大人のための居酒屋。

サンドーム福井近くに、隠れ家のように佇む『ときの蔵』。福井の地物を中心としたメニューが並び、特に魚介類の美味しさに定評のある“ちょっといい居酒屋”は、『ミシュランガイド北陸版2021』でビブグルマンにも選出されました。

「落ち着いた大人の空間になっていますので、時間を忘れてゆったりとお過ごしください」と話すのは、店主の西川壮大さん。「気軽に良いものを食べて、日常のちょっとしたご褒美感覚で使っていただければ」との言葉通り、料亭でも使われている厳選された素材で作られる料理は、よくある居酒屋メニューとは一線を画すものばかり。

春は山菜の天麩羅、夏は鱧のおとし、秋は松茸の土瓶蒸し、冬は茹で蟹など、シンプルながらもダイレクトに旨味を感じる調理法で提供されます。かと思えば、アヒージョやグラタン、コロッケなど洋風のアレンジもあり、食べる人を決して飽きさせない振り幅の広さに脱帽です。そう、ここでは数えきれないメニューを眺めて、心躍る一品を見つける所から愉しみが始まっているのです。

丁寧な味わいに満たされる心地よさ。

豊富なメニューの中でも、通年で人気なのが「鶏と越前水菜の鍋」。鶏と具材の旨味が相まった出汁の優しい味わいに越前水菜のシャキシャキ感がアクセントとなり、もう箸が止まりません。また、「若狭牛のカツレツ」は熱心なファンが多いメニュー。とろけるような肉質もさることながら上質な脂は甘味が強く、「これが食べたくて」と訪れるリピーターが後を絶たないのも納得です。更に折り紙付きの味わい「お造り」は、6~7品が乗るという贅沢仕様。越前海岸近海で獲れたものを中心に旬の魚介類がこれでもかと楽しめます。

その味わいを一層深めてくれるのは、やはり地酒。福井をはじめ全国から選び抜いた有名銘柄はもちろん、その時々・季節ごとに良い銘柄を豊富な取り揃えでお勧めしてくれます。ワインや焼酎など各種ジャンルもあり、自分好みの組み合わせを見つけるため季節を変えて通いたくなること必至です。

「でも、まずは少しずつ味を知りたい」という方にお勧めなのがランチ。一番人気の「本日の御前」はメインを肉と魚から選べ、天麩羅、焼き物、小鉢、ご飯、味噌汁、デザート、コーヒーまでセットになった、まさに「お得!」の一言に尽きる内容です。料理人の丁寧な仕事と、大満足のボリュームをご堪能ください。またメニューはテイクアウトも可能です。前日正午までのご予約で、オードブルは1セットから、お弁当は5個以上、その他単品は5品以上で注文できますのでお気軽にご利用ください。

“美味しさ”は日常に寄り添う大切な幸せ。

県外からのゲストの利用も多いという『ときの蔵』。西川さんは、「もっと福井の食材や地酒の良さを知ってもらえるように頑張ります。幅広い味わいを知ってもらって、もう一度福井に来られた時に“あの店で食べたい”と言っていただけるお店でありたいですね」とにっこり。

気軽でありながら本当に美味しいものに巡り合える感動は、意外と身近にある。そんな大切なことを教えてくれる“ちょっといい居酒屋”、ぜひお訪ねください。

『ご馳走純』 温かい笑顔と優しい味わいに出合う店

馴染み客の笑い声に包まれる店。

福井市中心部の繫華街にある『ご馳走純』は、2014年のオープン以来、大人世代に篤く愛されてきた隠れ家的日本料理屋です。カウンター8席、テーブル12席の店内では、店主の木村純也さんが手際よく料理を仕上げていきます。

お客さんとの会話の中で料理のアイディアを得ることが多いと言う木村さん。「話だけ聞いて作ったものが元の料理とは全く違う私のオリジナル料理になったりして、それもまた面白いですね」と笑います。

そうして生み出された味の数々はまた常連さん達に愛されるものとなり、「ミシュランガイド北陸2021」でビブグルマンを獲得しました。お客さんの笑顔と店主の誠実さが相乗効果を生み出す、居心地の良い店です。

福井の海の幸と、手打ちの蕎麦。

一番人気の月替わりのコースでは、お造りから焼き物、煮物など7~8品が楽しめます。山菜や底引き網漁で獲れた魚介類、蟹など、季節を充分に感じられる地物を得意としており、呼び声の高い料理では丁寧な仕事と随所に光るアイディアに唸らされます。

中でも隠れた人気メニューが、シメの蕎麦。実は店主の手打ちです。
全国の通からも高い評価を得ている福井県産の蕎麦粉を使用し、香りが飛ばないよう必要な分ずつ丁寧に打っています。福井の蕎麦といえばおろし蕎麦が定番ですが、冬にはセイコ蟹を贅沢に使った『越前カニまぜそば』も登場します。

内子の濃厚な旨味と外子の食感、身の甘味、岩のりの香ばしさ、三つ葉の爽やかさの絶妙な調和がたまりません。添えられた蟹の香りを付けた米油を回しかければ風味が増幅し、口の中はまさに蟹一色。
限られた漁期にしか味わえませんが、巡り合えた際にはぜひご賞味ください。

「軽くつまみながらお酒を楽しみたい」という方には、前菜の盛り合わせがお勧めです。一つひとつ丁寧に作られた料理を、少しずつたくさん楽しめるのは贅沢の極み。
ファンの多い出汁巻き卵などアラカルトも用意されていますので、豊富に取り揃えられた県内の地酒とともにゆっくりとご堪能ください。

料理が映し出すのは旬と人柄。

日々丁寧に料理と向き合う木村さんが作り出す料理は、いずれも奥行きがあって満足感が高いものばかり。吟味された素材と出汁が沁みる料理に、「何を食べても美味しい」と誰もが口を揃えるのも納得です。

「つきだしから旬を感じてほしい」という言葉からも垣間見える木村さんの誠実な人柄は、丁寧な仕事ぶりにしっかりと反映されています。「今日はちょっといい料理が食べたい」という日は、優しい笑顔が印象的な店主の店にぜひお運びください。

“福井テロワール”の力強さと奥深さ『Soin(ソワン)』

「非日常」を提供し続けるために。

福井で美味しいフレンチレストランといえば、すぐに名前が挙がる『Soin(ソワン)』。大阪や福井の名立たる店で修業を重ねた実力派シェフ小林也州雄さんが腕を振るうレストランです。

料理において旬を取り入れることは、今やスタンダードとなりました。四季折々の食材が年によって大きく変わることはありませんが、『ソワン』で前年と同じ仕上がりの料理が登場することもありません。「自分にとって、その料理はその時が完成形なんだと思います。だから、時間が経って同じものを作ると何か違和感を覚えてしまう。少しずつ変わっていくものを皿の上に表現できるよう、常に感性を研ぎ澄ませています」と話す小林シェフは、新しいレシピが浮かぶと材料や手順、味はもちろん、仕上がりのデッサンまで手書きでノートに記しています。この積み重ねが、たゆまぬ味の進化を実現させているのです。

風土に適したフレンチ。

小林さんの生み出す味わいには常に驚きや発見が潜んでいますが、初めての出合いにありがちな戸惑いはあまり感じません。もちろん、それも小林さんの気遣いと信念があってこそ。「フレンチと言っても、使うのは本場の水や食材ばかりではなく福井県産が中心となりますから、福井の風土に適した仕上がりになるのは自然なことです。それに食べていただくのは日本の方・福井の方。舌に馴染む要素があるからこそ、長く愛していただいているんだと思います」。食べる人の背景にまで思いを巡らせ、和食の技法や食材の使い方なども取り入れることで、“ここでしか味わえない”フレンチが誕生するのです。

そんな小林さんが目指すのは“味の最大化”。「何を食べているのか、ちゃんと分かる料理を提供したいんです。なので盛り付けや飾りつけは極力シンプルにして、素材の味わいをいかに深めるかに全力を注いでいます」。生産者の方たちが懸命に育て上げた食材には“ストーリー”があり、それを私たち消費者に繋いでくれているのがシェフです。上質な味わいに昇華させた“ストーリー”は、丁寧に紐解きたくなる優しさと力強さに満ちています。

豊かなひと時を作りたいから、豊かな環境を大切にしたい。

「ゆったりした時間・環境で食べる料理が格別であるように、ゆったりと作られた料理は味わいが違うと思うんです」と小林シェフ。野菜こそ鮮度が命だと、生産者の元へ自ら足を運んで信頼のおける素材を仕入れ、デニッシュ生地のキューブパンを店内で焼き上げる。細部に至るまで丁寧に準備された料理と空間が、私達に豊かな時間をもたらしてくれるのはごく自然なことなのかもしれません。しかし、それはシェフという食の総合プロデューサーがいなければ成り立たないのだと、小林さんの振る舞いは気付かせてくれます。

 “食べる”という体験を一段階も二段階も上のものにしてくれる『ソワン』。今日も繰り広げられる皿の上の挑戦を確かめに、ぜひ訪れてみてください。

極上のおもてなしは海が育む季節の幸『大平庵』

北陸福井は、うまいものの宝庫。

魚介類の味・鮮度に厳しい坂井市三国町に在って、幅広い世代からの支持を集めている料理旅館『大平庵』。宿からほど近い三国港に揚がった魚介類を中心に、若狭湾など地元福井の海の幸を存分に楽しめると、県内外を問わずファンを増やし続けています。

特にランチは、メニューを見るだけでもその美しさに心が躍ります。お弁当や定食など数あるメニューの中、圧倒的一番人気を誇るのが「三国海鮮手巻き寿司」です。2段重になっており、越前海水豆腐や旬の小鉢の乗った上段を開けると、その日水揚げした中から厳選された魚介を含む12種類ものネタが、光り輝く宝石のように並んでいます。いずれのネタも匠の技で旨味が引き出され、口いっぱいに頬張るのは最高の贅沢。お腹だけでなく心まで満たされる心地よさは、至福の一言に尽きます。

その贅沢感はテイクアウト(前日正午までのご予約)でも変わりません。バラちらしや若狭牛を使った弁当など9種類が用意されており、レストランとはまた異なる“福井のうまいもの”が楽しめますので、こちらも忘れずチェックしたいところです。

夕日に心を洗われる。

大平庵は目の前に「三国サンセットビーチ」があり、日本海に沈みゆく夕日を眺められる心安らぐお宿です。コロナの影響で廃業を余儀なくされた民宿を、クラウドファンディングで再生させました。和洋13室を揃え、お部屋によって日本海や三国突堤、三国港など、この街ならではの物語が詰まった眺望が楽しめるのもまた、味わいの一つといえるでしょう。

お料理はどのコースも間違いありませんが、通年では、福井の海・里・山の幸が盛り込まれた「大平庵会席」が一番人気。11月10日~3月末までは蟹のフルコースプランが登場し、刺身・焼き・茹でまでをお得に味わえるとあって県外からの宿泊客が急増しますので、気になる方は早めのご予約を。

もちろん朝ご飯にも手抜きはありません。9つに仕切られたお重に、こちらも福井ならではの味覚がずらり。優しいながらも素材と出汁が生きる味わいに、「これでお酒を飲みたい!」と喜ぶお客さんもいるほどです。

小旅行の立ち寄り処にも、ちょっと特別な日のお食事処にも。

坂井市三国町は福井県の最北部に位置するため、県内からでも小旅行的に来られる方が多く見られます。そんな「泊まらないけど、いつもよりちょっと遠出」の方にお勧めしたいのが、お部屋で寛ぎながらの食事とお風呂がセットになった日帰りプラン。三国では珍しい100%源泉かけ流しのお湯は、保温・保湿効果が高く冷え性や疲労回復に効果が期待できると好評です。

また、近場の方には慶事・法事にも対応可能というのは嬉しいポイント。誕生日や七五三、還暦祝いなどの各種記念日はもちろん、四十九日やお盆などの集まりでもレストランを利用することができます。お弁当の注文も可能(配達は三国町内、5名様分以上から)ですので、気になる方は一度ご相談ください。

日本海の幸、三国の源泉、部屋からの眺望。シーンや好みに合わせて、ぜひ使いこなしたい一軒です。

ワンランク上の味わいを知る『やきとり雷禅』

誰もが唸る納得の味わい。

日本三大地鶏の一つ「比内地鶏」をコースで楽しめるのが「やきとり雷禅」。比内地鶏は、旨味成分であるイノシン酸を豊富に含んでいるため、焼きはもちろん鍋に入れても深い味わいを楽しめる鶏です。その独特のコクと香りがファンの心を掴んで離さない比内地鶏を使った「おまかせコース」は、前菜に始まり、焼き物(7~8本)、シメ(ご飯もの)のシンプルな構成。アラカルトメニューから自分好みの単品を追加することで“オリジナルコース”を完成させるのもまた、楽しみの一つです。鶏の旨味とトリュフの香り、濃厚な卵黄のハーモニーがたまらない「トリュフ卵黄つくね」は、常連客がこぞって頼む名物メニューですので、ぜひお試しください。また、他ではなかなかお目にかかれない“知る人ぞ知るメニュー”も口コミで広がっています。こちらはぜひ、足を運んでご自身の舌でお確かめ下さい。

また「高坂鶏」の取り扱いも開始され、通う楽しみが大幅にアップ。高坂鶏は抗生物質を使わず、徹底した衛生管理の下で育てられた世界唯一の無菌鶏です。脂の融点が極端に低いため、口内温度でも香りが開きやすいという特長があります。口に入れてすぐ旨味を感じられるだけでなく、しなやかな肉質も心地よい食感を生み出すとあって、都内の三ツ星レストランでも使われている極上品です。高坂鶏が楽しめるのは、北陸ではここが初にして唯一のお店。これは確かめずにはいられません。

自分で探し当てるペアリングの妙。

焼き鳥の楽しみと言えば、お酒とのペアリングも外せません。こちらではビールはもちろん、多数の日本酒やワインも取り揃えています。日本酒は全国の銘酒をはじめ、その時々で話題のレアものが楽しめることも。ワインは白と赤の両方を取り揃えているので、焼き鳥の部位や味付けによって選ぶのも一興です。おいしい串に合わせる最高の一杯を、自分で探しあてる。そんな楽しい冒険に酔えるのは、“約束された美味しさ”が目の前にあるからに他なりません。

音や香りまで美味しい時間。

カウンターのみ7席のこじんまりとした店内では、どこからでも店主の表情と動きを見て取ることができます。店内で時間をかけてじっくりと焼かれる様子を見るのも至福のひと時であり、焼いている店主との会話もまた楽しみの一つです。私たちの期待を高める香りは、国産の備長炭。口に含んだ瞬間に鼻腔をくすぐる豊かな香りに、喜びはひとしおです。単品ではもちろん、シメにもその日その時しか出合えないメニューが登場することもありますので、ご確認をお忘れなく。時には、通常のシメからグレードアップできることもあるといいますから、楽しみが止まりません。

「ミシュランガイド北陸2021」にも掲載された確かな味わいの店は、大人の愉しみを教えてくれる店でもあります。

あつらえるのは、質の高い暮らし『小柳箪笥店』

毎日に心地よくフィットする匠の技。

越前市武生地区にある『小柳箪笥店』は、「越前箪笥」を今に伝えながら、その技術を生かした家具や雑貨も手掛けている“伝統工芸士のいる店”です。

かつて国府があったことから寺社仏閣が多数建立されるに伴い、各種職人が集まり、技術が集結した地となった武生地区。その技術の粋が詰まったものが「越前箪笥」であり、市民の財産等を大切に守ってきたのです。4代目の小柳範和さんは「昔から受け継がれてきた技術を、現代にどう生かすか」に心を砕き、時代が求める商品の中にその技術を息づかせています。

多様化する生活スタイルに合わせるため、家具はすべてオーダーメイドでの受注。箪笥はもちろん、テレビボードやテーブル、学習机などあらゆる家具に対応可能です。最近では、バッグ・イン・バッグならぬルーム・イン・ルームができる「一坪部屋」のセットも開発。潮流を捉えた新しい提案を続けています。

日常に馴染む、グレードを上げる。

オーダーメイド家具は敷居が高いという方にお勧めなのが「kicoru(キコル)」ブランドです。まな板や名刺入れ、パスケースなど、日常の何気ないシーンをランクアップしてくれる雑貨は、華やぎと落ち着きを兼ね備えながらも職人ならではの趣向が光ります。

また「積みにくい積み木」や「和柄コースター」なども、お祝いに最適だと人気を集めています。「“箪笥職人が作る理由がある”ものを生み出すように心がけています。ぜひ、色や質感、重量など、様々な角度で木を楽しんでもらえれば」と話す小柳さんの言葉を受けて店内を見渡すと、一つひとつに仕掛けられた遊び心にワクワクと驚きが止まらなくなること必至です。

こちらではワークショップ(不定期)も体験できます。指物技術が生きる木製ペン立てや、木目で表情が変わるイヤリング、アイディア次第で十人十色のオリジナル模様に仕上がる木の時計など、お好みに合わせた雑貨作りに挑戦できます。職人の技を基に自分好みに仕立て上げる。そんな楽しい贅沢が味わえるのも、ここならではです。

技術があるから、型が破れる。

基本に立ち返ると「越前箪笥」は指物・飾り金具・漆塗りの3要素で構成されていますが、こちらではすべての工程を4代目が手掛けています。「昔はそれぞれ別の職人達が請け負っていましたが、今は職人が減ったということもあって、指物はもちろん、飾り金具の鉄の加工も仕上げの漆塗りも私が手掛けています」と言うから驚きです。

だからこそ、親身かつ柔軟に相談に乗ってくれるのが最大の魅力でもあります。「私が全て作れば綺麗には仕上がりますが、それだけでは終わらせたくない事もあります。時にはご依頼主さんと一緒に飾り金具を作ったり、皆で仕上げの釘止めをしたりして家族の想いが詰まった一品に仕上げることもあるんですよ」と優しく笑う小柳さんの表情が印象的です。

長く使う家具だからこそ、信頼できる職人さんにお願いしたいもの。工房見学(約1週間前までの事前予約制/有料)で製作の流れを知ることもできますので、まずはものづくりにかける職人の想いに触れてみてください。きっと“”理想の家具”に出合う第一歩となることでしょう。

職人が繋ぐ次世代への灯り『三国提灯 いとや』

創業寛政3(1791)年。県内唯一の三国提灯屋。

創業から230余年の歴史を持つ、坂井市三国地区の『三国提灯 いとや』。三国祭や三国花火といったイベントに花を添える「三国提灯」の技術を受け継ぎ、次世代に繋いでいます。

「三国提灯」の製作は、12の工程すべてが手作業で行われています。木型を組む、竹ひご製の骨をかける、糸をかける、糊付け、和紙を張る、型を外す、絵付け、油引き、天日干し、道具取り付け・点検など、他県ではほぼ分業制となっている工程もすべて1人の職人の手に委ねられているのです。3代目店主の小島さんは「うちのように木型を使った製作から取り掛かっているのは、全国的に見ても珍しくなりました。もう数えるほどしか残っていないんですよ」と言います。

そんな一つひとつ丁寧に作られた提灯は寺社仏閣を中心に納められていますが、近年では看板代わりに吊るすお店もあり、和ブームも相まって密かな人気を呼んでいます。なんと、日本文化への関心が高いフランスでも好まれているというから驚きです。

自分で作る、文化に触れる。

こちらでは随時ワークショップ(完全予約制)も行っています。明治時代に建てられた蔵をリノベーションした工房で平日午後1組だけができる限定体験は、提灯作り体験と絵付け体験の2つ。

提灯作り体験では提灯そのものを昔ながらの手作りで製作することができ、絵付け体験では職人が実際に行う手法で描くことができます。オリジナルデザインも可能なので、出来上がりはまさに世界に一つだけの特別品。越前和紙を通した光は柔らかく、見ているだけでも心が安らぎます。

「お店に足を運ぶ時間を作るのは難しいけど、提灯作りに興味がある」という方には、手作りキット『湊灯(みなとび)』がおすすめです。3種類の和紙からお好みの色が選べ、1時間程で作ることができます。同封された説明書には作り方動画のQRコードがあるので、注意が必要な手順でも安心して作業を進められます。

現代の住宅等にも馴染むデザインになっており、完成後はインテリアとしても楽しみたいところ。こちらはネット通販でも買うことができますので、気軽に挑戦してみて下さい。

三国湊の“粋”は、お洒落になる。

また小島さんは「三国の活性化に一役買いたい」と、三國湊をモチーフにした商品も手掛けています。「提灯は三国の伝統・風習という土台があって成り立つもの。だから提灯だけに留まらず、文化や風景を含めた三国地区の魅力をもっと伝えていきたい」との思いを込めて、現在「福井県三國湊手ぬぐい(5種類)」と「越前和紙レターセット(6種類)」などの雑貨「恋みくに」シリーズを展開しています。

どちらもデザインは越前市在住のaiMIKIさんが手掛け、今後は新しいデザインやラインナップを順次増やしていく予定です。文化を受け継ぎ、次世代に繋ぐお店ならではの“新しさ”も、ぜひ併せてお楽しみください。

四季の自然を感じながら、心洗われるコーヒータイム 『COZY COFFEE』

永平寺の自然を眺め、マインドフルネスな一杯を。

坂井市と勝山市をつなぐ県道沿いにある自家焙煎コーヒー豆店『COZY COFFEE』。豊かな山の緑を背景に、目の前には九頭龍川の眺望が広がります。地元で『鮎街道』と呼ばれる県道は、永平寺や福井県立恐竜博物館に向かう家族連れやカップル、ツーリングのライダーなどが行き交い、旅の途中で美味しいコーヒーを求めに店を訪れています。

オーナーの林浩治さんは50歳で脱サラし、6年前に妻の成代さんとふたりで『COZY COFFEE』を始めました。第2の人生の舞台に永平寺町のこの場所を選んだのは、子供の頃に訪ねた母親の実家がある「心の故郷」であることと、「この美しい景色に魅了されたから」と林さん。

「春は県道を舞う桜吹雪、夏は鮎釣りの人が佇む水面のきらめき、秋は真っ赤な彼岸花、冬は水墨画のような雪景色が広がります。ここに来られたみなさんは、四季それぞれの自然を眺めてマインドフルネスしていますね」と穏やかに語ります。

人気ブレンド『精進』&ノンカフェイン『浄め』。

スタイリッシュな店内には、コーヒー豆のショップとテラス席のあるカフェスペースがあります。ショップのショーケースには林さんがセレクトしたコーヒー豆が並び、日替わりで数種類の試飲が可能。テイクアウトもでき、お気に入りのコーヒー豆をその場で味わうことができます。

奥のカフェは、林さんが愛する貴重なイタリア車が置かれた、車好きにはたまらない空間。テラスで、室内で、好きなコーヒーを飲んで思い思いにゆっくりと過ごす贅沢な時間が流れています。

人気のオリジナルブレンド『精進』とノンカフェインの『浄め』は、禅の里 永平寺からインスピレーションを受けて生まれたものだといいます。「僕たちが作りたかったのは〝禅の里〟を感じることができるコーヒー。香りを楽しみ、一口を味わうとき、本当の自分に帰ることができる一杯です」と林さん。『精進』はコクと苦味があり、飲みあきない味わい。『浄め』はデカフェで、妊娠中の方なども安心してコーヒーを楽しめます。どちらも1杯540円(税込)。2021年には〝外国人が選ぶ日本のいいもの〟として『OMOTENASHI SELECTION』に選ばれています。

コーヒーと音楽、感動を味わうオリジナルラベル。

一方、若者を中心にSNSで話題となっているのが、通年で提供する『精進』のアイスコーヒー1杯640円(税込)なのだそう。コーヒーをそのまま凍らせたビジュアルは、インパクト抜群。「大人の遊び心が若者にもささったのでしょう。最後まで味わいが薄れず、コクが楽しめ余韻がいつまでも残ります」と林さんはほほ笑みます。

読み取るとオリジナルの音楽が流れるQRタグが印刷されたドリップパックも、オープン当初からのこだわりのひとつ。オーダーできるオリジナルラベルのドリップパックやギフトセットもプレゼントや引き出物などに好評で、県内はもちろん県外からのオンライン注文も多いそうです。

「感動を、どれだけお持ち帰りしていただけるかが大事。お店、商品、あるがままの姿での接客など、いつも新しい気持ちでのぞむことを大切にしています」と想いを語る林さん。日々、心を浄め、精進して、世界に誇れる一杯を追求しています。

心を浄める静かな異世界『越前大仏』

“日本一”を誇る大仏像は奥越前に。

大きな仏像といえば奈良や鎌倉を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、実は屋内に祀られた座像で日本一の大きさを誇る大仏像「毘慮舎那如来(びるしゃなにょらい/知徳の光で全宇宙を照らす仏)」は福井県の勝山市にあります。

像高は奈良の大仏より2m高い17mもあり、脇侍仏として10大弟子に名を連ねる迦葉尊者・阿難尊者・普賢菩薩・文殊菩薩が両サイドに配置されています。それらをぐるりと囲むように左右・背面の3壁面には1,281体の石仏・金仏が隙間なく並べられており、独特の雰囲気を醸しています。これは、本尊はもとより大仏殿内部も中国河南省洛陽市にある「龍門石窟」をモデルに作られているため。一歩足を踏み入れると、異世界へ迷い込んだかのような不思議な感覚に包まれます。一体一体、表情も祈りの姿も異なる仏像は、まるで私たちに何かを問いかけているよう。自分の内面と静かに向き合える、神秘的で心落ち着く場所です。

日本文化と中国文化の美しき競演。

見どころは、本尊が祀られた大仏殿だけではなく、そこへと続く大門・中門をくぐる所から始まっています。入母屋造りの各門を守るのは、仁王像と二天像。迫力ある表情に見守られながら歩を進めると、檜造りの回廊が参拝者の心を鎮めてくれます。

また、大仏殿の北に位置する五重塔に向かう際は、欅造りの回廊が導いてくれます。途中にある「九龍壁」へのお立ち寄りもお忘れなく。これは中国の国宝第1号に指定された由緒ある九龍壁を、中国政府の許可を得て再現した日本唯一の装飾壁。九頭の龍が宝球と戯れる姿を描くのに使われた陶板と瑠璃瓦は8,263枚といいますから、そのスケールの大きさがお分かりいただけるでしょう。

そしていよいよ五重塔へ。反り屋根が優美さを醸すこちらの塔も、実は五重塔としては日本一。京都は東寺の五重塔(55m)より優に20mも高い75mを誇ります。4階まではエレベーターで行けますので、車椅子やベビーカーの方もぜひ。晴れた日は勝山市街を遥か向こうまで一望することができます。下りはできれば階段で。各階に内陣がありますので、それぞれの趣を味わってください。
(積雪の多い地域に立地していますので、冬季は大仏殿のみの拝観となる場合もあります。)

四季の彩りに包まれて、心を洗練する。

五重塔からは、大師山の移ろい行く四季も楽しめます。春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪景色…。折々の多彩な表情は、日々の生活で疲れた心をそっと癒してくれることでしょう。それは日本庭園でも楽しむことができますので、ぜひ足を延ばしてみて下さい。白・紅梅、桜、つつじ、もみじ、銀杏、楓など約200本が季節のアーチを織り成し、自然に抱かれる心地よさを思い出させてくれます。

もちろん、こちらはお寺ですのでご朱印を拝受することもできます。また、坐禅体験(予約制)もできますので、気になる方は一度ご相談を。大自然の中の非日常空間で、心と体を整えるひと時をお楽しみください。

微生物にしか作り出せない味わいがある『ヤマギクしょうゆ 山元菊丸商店』

すべきことは、微生物が働きやすい環境作り。

明治32(1899)年創業の『ヤマギクしょうゆ 山元菊丸商店』は、福井の豊かな自然に囲まれながら120年以上にわたって天然醸造を続けてきた醤油蔵元。“ヤマギク”の愛称で福井市民に親しまれてきました。4代目の山元裕次さんは、「当蔵の2本柱は、地元の人達に愛されてきた“福井の味”と、うちならではの風味を醸す“ヤマギクの味”です。北陸は魚介類をよく食べる地域ということもあって甘めの醤油が好まれるので、『かけしょうゆ』『菊印しょうゆ』を“福井の味”としてお勧めしています。一方でヤマギクの伝統と技を凝縮させたものは『天然醸造しょうゆ』『本醸造しょうゆ』としてお出ししています」と話します。

天然醸造のもろみは、格別な旨味とコクの深さを併せ持ちます。しかし微生物の存在なくしては、この味わいを生み出すことはできません。「これだけ技術の発達した現代においても、発酵って人間には絶対にできないんですよ」と山元さん。微生物が最善の仕事ができるように環境を整えることが、人間のすべきこと。味わいの深さは自然の奥深さなのだと、改めて知らされます。

蔵付き酵母だけが醸せる、特別な味わい。

1年の時間をかけて天然醸造で仕上げられるヤマギクの醤油は深くしっかりした味わいが印象的ですが、その上を行くのが2年の歳月をかけて造られる『天醤(てんしょう)』です。香りと塩味のあとに追いかけてくる甘味がまろやかな口当たりを生み、コクの深さと相まって心地よい余韻を楽しませてくれます。山元さんも「調味料・甘味料は使用せず、天然素材にこだわった一品です。保存料も使っていないので、体に気を遣う方にもお勧めです」と自信を覗かせます。いつもの味を格段にランクアップさせてくれるので、お刺身や冷ややっこなど素材を生かしたいお料理にお試しください。

また、忙しい現代人にお勧めなのが『ないしょだし』。1年熟成の本醸造醤油の香りを生かしながら、カツオや昆布など魚介の旨味をプラスした“醤油蔵元が作る”出汁つゆです。ほんのり甘さを感じる出汁つゆは、煮びたしや角煮といった和食をはじめ、ポトフやパスタなどの洋風料理、チャーハンや酢豚などの中華料理まで幅広く使える、まさに万能調味料。共働きが多いという福井の地域性や現代のニーズから生まれた便利な一本は、ぜひ常備しておきたいものです。

地元の味を知って、長く愛してほしいから。

こちらでは『醤油しぼり体験』もできます。福井県産の丸大豆・小麦・塩を使った天然醸造もろみをハンドジューサーで絞った後にフィルターにかけて濾し、仕上げにかつおや昆布、椎茸のだしをお好みで加えたら出来上がり!自分でラベルを描いて貼れば、世界に一つだけのオリジナル醤油の完成です。山元さんも「特に小さいお子さんは一生懸命描いて、嬉しそうに持って帰られますね」と優しく笑います。

調味料は日々の食卓に欠かせないものであり、食育の土台にもなるものです。「時代の流れの中で“味を守る”って、意外と大変なんです。でも土地に育てられ、土地の食卓に寄り添ってきたものだから、各所での出前講座などを通して福井の食文化や味を後世に伝えていけたらと思っています」。深化し続ける老舗の味わいに、期待は深まるばかりです。

『越前田村屋』福井人も見過ごしている、福井の“旨い!”を届けたい

魚を知り尽くしているから、届けられる味がある。

海産物を豊富に取り扱う『越前田村屋』は、『越前水産』の直営店。越前海岸沿いに位置する茱崎(ぐみざき)漁港のすぐそばに本社を構える水産会社だからこその目利きと味わいで、根強いファンを獲得し続けています。
「我々は茱崎漁港はもちろん、越前港や三国港、敦賀港に揚がったものまで取り扱えるので、それぞれの漁港が得意とする魚介類の良いものを仕入れられるのが強みです」と店長の谷澤さん。朝獲れの魚で、各浜の“美味しいとこどり”ができるというのはまさに贅沢の極みです。

魚介類は一匹一匹、ひとつひとつ状態が異なるので、特性を熟知し、天候や気温・湿度などを見極めなければ最高の状態に仕上げることはできません。『越前田村屋』では、その扱いに長けた職人たちが捌き、加工しているため、旨味が充分に引き出されたへしこや干物等を作り上げることができるのです。

家庭の味を昇華させる。

福井独自の食文化として「へしこ」が挙げられますが、「我々は、昔から家庭で作られてきたものを“こんか鯖(=鯖の糠漬け)”、それをステップアップさせたものが“へしこ”だと捉えています」と話す谷澤店長によると、大切なのはやはり“浜の知恵”なのだそう。
「こんか鯖作りにも、長年の経験から得た気を付けるべきポイントがいくつもあり、それにプラスαを加えることでへしこに昇華させるんです。当店の場合は一番漬け(塩漬け)の際に出る醤(ひしお)と酒、出汁を糠に混ぜて二番漬けを行うんですが、この配合が重要で、ご家庭で再現するのはなかなか難しいと思います」とにっこり。確かに旨味のバランスを考えながら、発酵の邪魔をしない糠床を作るというのは至難の業です。

これだけでも美味しいへしこの出来上がりが想像できますが、ここからさらに進化させるのが『越前田村屋』の真骨頂です。「へしこを食べ慣れていない観光客の方はもちろん、新しいへしこを求めている福井の方にもおすすめなのが『吟醸漬け』です。
一般的なへしこは二番漬け(糠漬け)までですが、これは酒粕に漬ける三番漬けまで行っています。独自配合の地酒の酒粕に漬けることで塩味がまろやかになり、食べやすく仕上がりました」との言葉通り、甘味・旨味が強く感じられるのに酒粕感は程よく抑えられており、軽い口当たりで次々と食べ進められてしまいます。
店長のお勧めは炙り。芳ばしさがプラスされ、もう手が止まりません。ぜひ、スタンダードなへしことの食べ比べをお楽しみ下さい。

家飲みが増えた今だからこそ、大切な人に届けたい。

『越前田村屋』では、職人たちが丁寧に作りあげた商品の数々を詰め合わせることもできます。「予算はいくらで、これを入れてほしい等のご要望をお伝えいただければ、最高のセットをお作りします!」と谷澤店長。「福井にはまだまだ美味しいものが眠っています。それを掘り起こして、時には深堀りして、福井の人はもとより全国にお届けしていきたいと考えています」と続けます。

家飲みが増えた昨今だからこそ、大切な人には美味しいもので至福のひと時を過ごしてほしいもの。今こそ、信頼できる技と味が揃うお店にお運びください。

茶の道を極める人々にも愛される味わい『お茶の金津屋』

福井の茶畑で、香り豊かなお茶を作ったお店。

『お茶の金津屋』の起源は、貞享2(1685)年にまで遡ります。初代が、現在の福井県あわら市金津地区にお茶畑を営んだことが始まりでした。香り高いお茶は評判を呼び、越前藩主・松平家と曹洞宗大本山永平寺から御用達を拝命しました。
「現在は県内での茶葉の生産は行っていませんが、厳選した京都・宇治の茶葉を使った質の高いお茶を提供し続けています」と、11代目の樹下恵太さん。
「福井の人は甘めで濃い味のお茶を好む傾向がありますね。そういう福井の人の好みに合うように、茶葉をブレンドして提供しています。」300年以上の時を経てもなお、お客様にお届けするものへのこだわりは変わっていません。

こだわりのお茶は甘く、深い。

煎茶、番茶、かりがね、玉露、抹茶など、多様な種類の取り揃えがある中で一番人気なのが、金津屋銘茶『緑光』です。これは、玉露とかりがね(煎茶・玉露の製造工程で出る茎や葉脈部分が入ったお茶)を独自の配合でブレンドしたオリジナル商品。口に含んだ瞬間に華やかな香りが広がり、それを追いかけてくる甘味とコクが心地良い、一杯の満足感が非常に高いお茶です。
「当店は裏千家や表千家など茶道家の方々にご利用いただくことが多いのですが、ある日一人の先生が“玉露とかりがねをブレンドしたら美味しいお茶ができるんじゃない?”と仰ったのがきっかけでした。低温のお湯で入れられるのも手軽だと好評をいただいております」と樹下さん。美味しいだけでなく手軽に飲めるとあっては人気が高いのも納得です。

お店には他にも豊富な茶道具や茶香炉、急須や湯のみといった茶器なども取り揃えられています。豊富な知識から的確に答えてくれますので、分からないことがあれば気軽に尋ねてみてください。

お茶を楽しむことは、毎日の質を上げること。

『金津屋』では、ジャスミン茶やマテ茶など日本茶以外のお茶も取り扱っています。季節によってはべにふうきのような限定商品もあり、折に触れてお店に足を運びたくなります。

「せっかく福井の片町に店を構えさせてもらっているのだから、この町に貢献できるようなことがしたいですね。ここは飲み屋が多いですが、例えばお茶割り。たかが緑茶割りかもしれませんが、ちゃんと淹れたお茶を使えば旨さは格段に変わります。そういうことを少しずつでも浸透させていけたらいいですね」と樹下さん。

ちょっとしたことが暮らしの質を上げることは、実はよくあること。まずは一杯のお茶から“良い暮らし”を始めてみませんか。

体は“良いもの”を知っている『発酵薬膳料理 禅ZEN』

発酵の力×薬膳の力。

『発酵薬膳料理 禅ZEN』でいただける料理は、ご飯からお味噌汁、煮物、鍋だし、ドレッシング、お茶やコーヒーに至るまで、すべてが発酵しているといいます。店主の尾崎さんによると「当店では奈良県にある『ハッコーはる』さんの発酵卵を使っています。これは塩分ゼロの特別なぬか床に卵を漬け込み発酵させたものなんですが、この卵の殻を漬けた水は発酵成分が移って『発酵水』になるんです。その発酵水を使ってすべての調理を行っているので、当店でお出しするものはすべて発酵しているんです」とのこと。一般的に微生物は熱には弱いものが多いですが、発酵水に生きる菌は熱にも強く、その作用を余すことなくいただけるのだそうです。

そこにプラスするのがクコの実や白きくらげ、陳皮といった和漢食材です。薬膳にも使われるこれらの食材は日本古来から取り入れられてきたもので、クセが少なく日本食との相性もバッチリ。発酵と薬膳の相乗効果は、翌日の体が教えてくれるはずです。

体の中からきれいになる。心が生き生きし始める。

こちらでいただけるメニューは「卵かけご飯」や「西京焼きプレート」「発酵薬膳プレート」など実に多彩ですが、お勧めは「発酵薬膳ZENプレート」。9種類の小鉢にチーズ茶碗蒸し、十五穀米、味噌汁がついたセットは、日本料理の調理師であるご主人が福井県産の季節の食材を使って丁寧に仕込んだものばかり。煮物から焼き物、漬物まで少しずつたくさん揃っているおかずは、どれを食べても優しいながら素材の味をしっかり感じられるので、ボリューム満点なのにどんどん食べ進められてしまいます。そして、食べ終わった後に不思議と食べ疲れしないことに驚きます。

また、地酒やお酢のドリンクなども豊富に取り揃えられているので、ぜひお試しを。中でも発酵卵を使ったミルクセーキは、他ではお目にかかれない一品。甘さ控えめで、さっぱりとした飲み口なのも魅力です。デザートには、ふわふわの口当たりがたまらない「発酵たまごケーキ」をどうぞ。リッチな味わいながら健康に嬉しいデザートは、まさにご褒美です。

自宅でも気軽に発酵生活。

『禅ZEN』ではテイクアウトも受け付けています。お弁当やおかず(9種/6種)などは当日予約もOKですが、オードブルは2日前までにお電話で。発酵卵や醤油麹、発酵卵ドレッシングなどはその場で買えるので、気軽に食卓に取り入れやすいと好評です。

今は奈良から取り寄せている発酵卵ですが、今後は自家製での提供が始まります。「福井市美山地区で育てられている『伊自良たまご』を、無塩のぬか床に漬けて作ります。こちらの鶏は餌に発酵原料を使っているので、発酵卵との相性が良いんです」と奥さんの都さん。とことん“福井”と“発酵”にこだわり、ひと手間もふた手間もかけた、文字通り“心と体に沁みわたる”食事をお楽しみください。

Instagramキャンペーン『2月』賞品当選者発表

『美めぐりふくいInstagramキャンペーン Supported by コモエース化粧品』
2月の賞品当選者発表!

2月のテーマ【美食】での応募は2月28日に締め切らせていただきました。
たくさんの素敵な投稿をいただき、誠にありがとうございました。

厳正なる抽選の結果、2月の賞品当選者は以下の投稿に決定致しました。

【最優秀賞】

@ha_food.diaryさん

賞品:坂井市丸岡町『モアの森 Slow,』
お好みの施術メニューにご利用いただける1万円分の施術チケット

【優秀賞】

@etsuko210さん

賞品:西武福井店8F『BLUESTOCKING』
「アフタヌーンティー1名様分と小さなお土産付き」
美めぐりふくい限定 特別ご優待券(5千円相当)

【優秀賞】

@happy73cさん

賞品:西武福井店8F『BLUESTOCKING』
「アフタヌーンティー1名様分と小さなお土産付き」
美めぐりふくい限定 特別ご優待券(5千円相当)

当選おめでとうございます!
当選された方にはInstagramのDMにてご連絡いたします。
※当選のご連絡日より5日間ご連絡が取れない場合は当選を無効とさせていただく場合がございます。

昨年9月より全6回に渡り実施いたしました『美めぐりふくいInstagramキャンペーン Supported by コモエース化粧品』は2月末をもって終了いたしました。
多数のご投稿をいただき、ありがとうございました。

ご参加いただいた皆さま、またご協賛いただきましたコモエース化粧品さま、この場をお借りして感謝申し上げます。

今後とも皆さまに楽しんでいただけるような企画を実施してまいりたいと思います。
ありがとうございました。

食べた人を笑顔にする、ナポリピッツァの名店『バードランド』

本場ナポリの味を福井へ。小田原シェフの挑戦。

湊町・三国の静かな住宅街に、県内外からピッツァ好きが集まるピッツェリアがあります。その名も『バードランド』。ジャズを愛するオーナーシェフ・小田原学さんが、お気に入りの楽曲を店の名前に選び、1989 年にオープンしました。
当時は軽食と珈琲を提供する喫茶室でしたが、ある時、ナポリのとあるお店で初めて本場のナポリピッツァを食べて衝撃を受けます。一瞬でその美味しさの虜になった小田原さんは「この美味しいピッツァを自分も焼けるようになりたい!」と強く思うようになったのだそうです。

小田原シェフの情熱が実を結び、「ナポリピッツァ協会」認定店に。

「本当のピッツァは、ナポリに行かないとわからない」と、一念発起。1997 年、ついに憧れの地・イタリアナポリへ、ピッツァ修業に出発。当時500軒以上のピッツェリアがあったナポリでも美味しいと評判の名店『オ・カラマーロ』、『アッドゥ・ガイヨーラ』の2軒に毎年通い、6年に渡り一流のピッツァイオーロ(ピッツァ職人)のもとで腕を磨きました。

「ピッツァの知識がない初心者の私にとって、毎日がとても刺激的でした。その道のプロであるマエストロたちの調理技術、焼きあがったピッツァの味は驚きの連続。そして何よりも彼らのピッツァに対する熱い想いに感動しましたね。彼らに認められるだけの技術と味を習得するため、必死に勉強を重ねました」と、当時を振り返る小田原シェフ。

帰国後すぐに店でも窯をつくり、現地の味を再現しようと生地づくりから焼き加減など、試行錯誤する日々。イタリア産の石臼で挽いた小麦粉を独自にブレンドし、塩はイタリアのシチリア島の塩を、ソースのトマトはカンパーニャ州のトマトを使用。モッツァレラチーズは岡山県の「吉田牧場」より、水牛のチーズだけはナポリから仕入れているというこだわりよう。そのあくなき探求心、ピッツァへの情熱が認められ、2002年、ナポリ本拠の「真のナポリピッツァ協会」の認定店に選ばれました。

お目当ては断然、ピッツァイオーロ自慢の「マルゲリータ」。

ここ『バードランド』に訪れるお客さんの多くがオーダーするのが、名物の「マルゲリータ」。窯焼きならではの外側はサクッ、モッチリとした食感。「生地そのものを味わう」ことに重きを置いた、小田原シェフが焼き上げるナポリピッツァは、その生地の旨みや香り、食感は格別で、食べ応えも十分。ピッツァ用のナイフとフォークで食べる、イタリア式の食べ方もなんだか新鮮で、現地のピッツェリアにいるような気分に。

「ピッツァは、すべて手作業なんです。生地をのばすのも、焼くのも全部手作業で、職人の感覚によるもの。生地の材料も、水・小麦粉・塩・イーストのみ。それを手でのばし、薪窯で焼く。材料も、工程も、シンプルだからこそ、職人の腕が試される。どれが外れてもナポリピッツァではなくなるんです。アナログだけれど、それが面白くってね」。

店内では、定番の「マルゲリータ」や「ポルチーニ茸」だけでなく、カニシーズンだけの「グランキオ(せいこがにのピッツァ)」など、福井の旬の食材を贅沢に使用した季節限定のプレミアムなピッツァも登場するそう。ほかにも、甘エビなど三国でとれた新鮮な魚介をはじめ、肉や野菜など、窯でじっくりとグリルした薪窯料理もワインが進むと評判です。

ゆるりと時を刻む、木の温もりあふれる大人の食空間で、大切な人とたのしく“美味しい時間”をシェアしてみたり、窯の側に立つ小田原シェフの流れるような手仕事を見ながら、遠く離れたイタリア、ナポリに思いを馳せる時間を過ごしてみては。

原料、製法、味わい。手間暇が生み出す“本物”の醤油『室次醤油』

作り手の人柄が、味に表れる。

天正 元(1573)年創業、450年の歴史を数える『室次醬油』は、現存する日本最古の醤油蔵元。15代目となる白崎裕嗣さんは、「当蔵では福井県産の『里のほほえみ(丸大豆)』『ふくこむぎ』『海のシルクロード(天然塩)』、白山水系の地下水だけを使い、もろみを1年かけて発酵させ、天然醸造醤油を作っています。素材と天然醸造にこだわっているから、雑味の無い美味しい醤油ができるのです」と自信を覗かせます。

こちらで作られている醤油には、なんと300種類以上の栄養・旨味成分が詰まっているのだとか。それほどの成分がひしめき合っているからこそ、味・旨味・香り・コクが複雑に絡み合いつつもまろやかで後味の良い仕上がりになっているのです。「その天然醸造だからこそ起きることなんですが、当蔵の醤油はロット毎に少しずつ味が違います。仕込んだ時期や状態によって味に差が出るのは、自然にお任せしている以上避けられませんね」と白崎さんは笑います。その時々の味わいの差を楽しむこともまた、自然が生み出す本来の味をいただくということなのです。

初めて海を渡った醤油と、坂本龍馬も味わった醤油。

幕末に日本で初めて海を渡った醤油は室次の『菊醤油』だと伝えられており、世界で「ソイソース」として親しまれたといいます。この菊醤油のレシピで醸造したものが復刻版「幕末のソイソース」です。過度な主張をし過ぎず丸みのある口当たりは、様々な食材との相性も抜群です。

また福井の莨屋(たばこや)旅館を定宿としていた坂本龍馬も「幾久志やうゆ」を味わっていたと伝えられています。こちらの復刻版が醤油「龍馬」。由利公正と日本の将来について語りながら、上機嫌に「おまんらー、室次の醤油、うまくて驚いたがよー」と述べたという味わい、ぜひお試しください。

他にもノンアルコール魚醤「福むらさき」、減塩「旨醤」、甘めの「元禄」、こいくち「しにせ」など多彩なラインナップが取り揃えられていますので、お好みや用途に合わせて、自分好みの一本を見つけてください。

時代が求めるものは変わる。でも本質は変わらない。

室次では次世代の調味料も開発しています。フレンチやイタリアンのシェフから要望を受けて、まず手掛けたのは『黄金ソルト』。減塩醤油を粉末にしたもので、続く『醤油パウダー』は丸大豆醤油を粉末にしたものです。どちらもごく少量で天然醸造醤油の香りと甘味、鯖の豊かな旨味が感じられるので、ほんのひと振りで味わいを深めることができると同時に、料理の東西を問わずに使えるのが嬉しい一品です。
「パウダー状にすることで凝縮されて旨味が5倍に、塩分摂取量は液体の100分の1以下となり超減塩を実現することができたんですよ」と胸を張る一方で、「速醸醤油が流通するようになって、本物の醤油の味を知る人が減ってしまった」とも。天然醸造で添加物類を一切使っていないため、旨味成分が強すぎて「味が濃い」と言われてしまうこともあるという室次の醤油。旨味成分アミノ酸の塊である醤油本来の味を伝えるため、15代目の奮闘はまだまだ続きます。

峻烈な味わいと深い余韻を生み出す、誇りある手仕事『天たつ』

日本最古の「雲丹商」、ここにあり。

文化元(1804)年、越前藩主松平家より藩の御用商を命ぜられ創業した『天たつ』。3代目・天野五兵衛が、当時の越前福井藩主・松平治好公から命じられた「戦時中に日持ちする貯蔵食」の開発で『汐うに』の製法を考案したことが現在の原点となっています。その深い味わいは日本三大珍味の一つに数えられるほどで、今なお桐箱入りを用意するなど、「大切な方への贈り物としても使っていただきたい」という真摯な想いを『汐うに』作りに込めています。

「ただただ喜んでいただける美味しい雲丹を創り続けることが、我々のアイデンティティだと考えています」と話すのは、11代目店主の天野準一さん。その昔、藩主の命を受け、喜んでほしい一心で不朽の名作を作りあげた心を今なお忘れず、食した人の笑顔に繋がる丁寧な逸品を作り続けています。

雲丹を知り尽くしているからこそ引き出せる、真の美味しさ。

『天たつ』の代名詞といえば、やはり『汐うに(越前雲丹)』です。口に入れた瞬間に感じる鮮烈な潮の香りと旨味が凝縮した濃厚な味わいは、一度食べたら決して忘れられません。「実はこれを100g作るのに100個以上のバフンウニが必要なんです」と11代目。
バフンウニは成長しても2~3cm程の大きさにしかならないため大量に必要となりますが、漁期は夏の1カ月間のみ。まさに貴重な海の恵みをいただくわけです。

「実は汐うにの作り方は200年前と何も変わっていません。しかし、浜や作り手によって味が全く異なります。私達『天たつ』でも作っていますが、さらに県内の漁家さん約20軒からも仕入れています。それぞれの熟成具合を見極め、1~3年、低温で寝かせた物をブレンドすることで相乗的に最高の状態を作り出すのですが、これは長年の経験と実績から編み出した方法です。熟成によって旨味が増すことは、独自に依頼した研究機関で科学的に実証されました。私達は“過去最高に美味しい汐うに”が提供できていると自負しています」。

そんな過去最高の味わいが堪能できるのは、汐うにだけではありません。戦前に贅沢品として禁止になった「干うに」は、甘味と磯の香りが凝縮し、生雲丹よりも雲丹らしさを強く感じられる傑作品といえます。また汐うにを乾燥させてパウダー状にした「粉うに」は、ご飯のお供としてはもちろん、刺身などにかけても絶品です。思い思いの楽しみ方で、至福のひと時をお過ごしください。

雲丹の奥深さは計り知れない。

「創業から200年以上が経ちましたが、これからも汐うにを大切に作り続けていくことは変わりません。しかし時代が変わり、求められるものは変わっていきます。だからこそ、雲丹の知られざる魅力を発掘・発信していくことを続けますし、その時代の人々が求める形で提案していきます」と天野さん。それが「雲丹あわせ」シリーズです。汐うにで作った濃厚なソースを、あわびやカニ、甘エビ、若狭牛のローストビーフなどと合わせた贅沢な一品は、汐うにの奥深さと可能性を存分に感じさせてくれます。

また汐うにグラタンや炊き込みご飯の素、アヒージョなど、手軽な調理でレストランのような味わいが楽しめる商品も開発。こちらを入口に、汐うにに辿り着く人もいることでしょう。
「時代ごとに最も美味しい雲丹の味を追求する」。各界の著名人はもとより、日本を代表する料理人達にも愛されている味わいには、いつの時も老舗だからこその「守り」と「挑戦」が感じられます。

福井の老舗味噌屋がお届けする”みそのテーマパーク“『米五 みそ楽』

代々受け継がれている、ふるさと福井の味。

美容や健康志向の高まりのなか、注目を集めている発酵食品。その代表格が、日本人にもなじみ深い「お味噌」。大豆、米、塩とシンプルな材料でつくられている味噌は、地域によって味わいもさまざま。大豆の味がしっかりと感じられる「辛口」、米がたくさん入っていてまろやかな風味が特徴の「甘口」があり、基本的に東日本は「辛口」、西日本は「甘口」という傾向があります。福井県は、京都に近いことから白みその影響を受けたこと、有数の米どころでもあるので、米こうじがたっぷり使われたやや甘めの味噌がスタンダード。ほんのり甘く、香味豊かでコクと深みのある旨みは、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に愛されてきました。

そんな福井の「ふるさとの味」を支え続けているのが、老舗味噌製造会社の『米五』。美しい自然が残る、福井の地で育った選りすぐりの米と、北海道産など厳選した国産大豆、塩を使い、素材のうまみを最大限に引き出した、昔ながらの味噌づくり。1831年に味噌づくりをはじめて以来、味噌一筋。昭和45年には曹洞宗大本山永平寺の味噌蔵をあずかり、御用達店として味噌づくりを続けてきました。

長年蔵にすみつく菌が、唯一無二の味を生み出す。

老舗の味噌製造会社では、「蔵ぐせ」と言われる、目には見えなくても蔵の床や壁、柱にも長年生き抜いてきた蔵付きの酵母菌がいて、それが味の決め手になると言われています。創業から長い間、同じ土地、同じ場所で味噌をつくり続けて育てられた『米五』だけの酵母の働きが、蔵独特の風味を生み出しています。「当社は職人が手間ひまをかける昔ながらの製法にこだわっています。蔵独自の酵母菌の特性を生かした、唯一無二の味わいがお楽しみいただけますよ」とは、『米五 みそ楽』の正玄さん。

こちらでは、味噌をもっと身近に感じてもらえるよう、味噌づくりの工場見学を実施しています。蔵の中に棲みついている目に見えない酵母、発酵の匂い。説明を受けながら昔ながらの味噌づくりを五感で感じることができ、訪れた観光客に喜ばれています。また、好きな味噌×具材を自由に組み合わせて、お湯を注ぐだけの“映えるおみそ汁”をつくる「みそだま体験」も、「見た目も可愛い自分だけのお土産がつくれる」と女性に大好評!

オシャレな味噌のコンセプトショップへ。

2018年に誕生した複合型施設『米五 みそ楽』は、味噌を通じて「買う」「食べる」「見て学ぶ」「体験する」を発信。訪れた人に、味噌の魅力を伝えています。1階のショップには、大豆の1.5倍の米こうじを使用した人気No.1の「馬鹿ばやし」や、大本山永平寺の味噌蔵の味を再現した「蔵」など、種類豊富な味噌を200gから量り売りで購入でき、知識と経験豊富なみそソムリエが、あなたの好みに応じた味噌をセレクトしてくれます。ほかにも、福井名物「はまなみそ」(10月~3月の期間限定)や種類豊富な「おかず味噌」、「甘酒ドレッシング」、「塩こうじ」、「味噌麦酒」など、さまざまなアイテムが並んでいて、一つひとつ眺めているだけでも心浮き立ちます。

また、2階にあるカフェ『みそカフェmisola』では、「みそに、恋する」をコンセプトに、『米五』の味噌や発酵食品を積極的に取り入れた、週替わりのランチやオリジナル味噌カレーなどが味わえます。味噌の可能性を広げるアイディア満載のメニューは、どれも真似したくなるものばかり。

大人の社会科見学「みそ蔵工場見学」で、『米五』の味噌の歴史や美味しさの秘密にふれ、体験教室で自分だけのみそだまを手づくりした後は、カフェで心もカラダも喜ぶ発酵食品たっぷりの美味しいランチをいただく。最後に、1階のショップで自分好みの味噌や発酵食品、お菓子などお土産選び…。福井の老舗味噌店がお届けする「みそのテーマパーク」をゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか?

お茶にも“ご当地ならでは”の愉しみを 『丸松茶舗』

お茶の香りと笑顔が花開く。

創業90年を数える『丸松茶舗』は、温かい笑顔の吉村さんご夫妻が迎えてくれるお茶屋さん。ご主人は、「うちの主軸となっているのは豆入り番茶ですね。全国的に見ても、ある季節だけ番茶に豆を入れるという地方はありますが、福井のように通年というのは珍しいんです。なので“福井の味”として推しています」とにっこり。

厳選したほうじ茶に、昔ながらの製法でじっくり炒りあげた福井県産の大豆をブレンドした豆入り番茶・ほうじ仕上げは、大豆と茶葉のダブルの芳ばしさがたまらない一品。太陽をいっぱいに浴びた番茶はミネラルたっぷりながらスッキリした飲み口で、旨味成分アミノ酸をたっぷり含んだ大豆と好相性です。心と体に沁み入る甘く優しい味わいは、まるで二人のお人柄を表しているようです。

せっかく福井で作るのだから、“福井らしさ”をプラス。

全国有名産地の茶葉をベースに、福井らしさをプラスしたお茶を提供している『丸松茶舗』。中でも福井らしさが存分に感じられるのが、「コシヒカリ玄米茶」「越前そば茶」「越前麦茶」です。

「コシヒカリ玄米茶」には、福井県産のコシヒカリを使用。煎られた質の高い県産米が豊かな芳ばしさを生み出し、鼻腔をくすぐります。「越前そば茶」では貴重な福井産そばをブレンド。後味スッキリで飲みやすい仕上がりを実現しました。また、「越前麦茶」は県内産六条大麦を100%使用。美しい黄金色と深い香りがたまりません。

他にもお茶界の人気猫「みたらしちゃん」がパッケージになったティーバッグやお茶缶などもあり、見ているだけでワクワクすること間違いなし。迷う楽しさも一緒に味わってみてください。

お茶にも多様な楽しみを。

こちらのオリジナル商品で、密かに人気が高いのが「こんぶ茶」シリーズです。「うめがねこんぶ茶」「にゃんこんぶ茶」と銘打たれた小さなパッケージには、お茶の素となる顆粒と乾燥昆布が入っており、熱湯を注ぐと3分程で眼鏡や猫の形の昆布が出現するというユニークなお茶です。近年SNSが発端となり、人気に火が付きました。乾燥昆布が戻るのを待つ間のワクワク感は、他のお茶ではちょっと味わえません。福井への旅の記念に、街中散策の思い出に、ぜひお試しください。

お茶について尋ねれば優しい笑顔で応えてくれるだけでなく、「あとね……」と豆知識を教えてくれることもある吉村さんご夫妻。お茶についてはもちろんお茶との相性についても相談に乗ってくれるお店は、いつでも私達を温かく迎えてくれます。

手間をかけるから生まれる美味しさがある 『國嶋清平商店』

戦国の世から続く、老舗の味。

永正17(1520)年創業、500余年の歴史を持つ味噌と麹の店『國嶋清平商店』。18代目の中林久慈さんは、「朝倉家の家臣だった國嶋家が、朝倉氏滅亡後に商人として福井城下に店を構えたことが起源です。そこから味噌や醤油の製造を始めました」と話します。幕末の頃には大きな醤油蔵を抱え、両替商も兼ねていたため、福井藩士・橋本左内や儒学者・梅田雲浜なども頻繁に訪れていたそうです。「昔は名字帯刀を許された商人だったとのことで、使用人を抱えて広範囲に配達に行っていた時代もあったようです。醤油も製造していた頃は市内中にうちの樽があったものだから、最後は回収しきれなかったと聞いています」というほど、市民の生活に溶け込んだ存在でした。

昭和20(1945)年の福井大空襲、同23(1948)年の福井大地震で店がすべて消失すると、規模を縮小させて味噌と麹などに特化。大切にその味を守り続けてきました。「現在、麹は味噌用と甘酒用等の加工品用に作っています。生麹なので消費期限は1週間程になりますが、ご自身で漬物や味噌を作る文化が根強い福井では冬場にご利用になる方が多いですね」とのこと。手間が美味しさを生むことを知っている人は、麹のおいしさにもこだわるのです。

福井の麹は、福井の食材によく馴染む。

発酵食の原点ともいえる「麹」。その製造過程はシンプルながらも繊細です。「原料は福井県産の米と塩、麹菌のみです。米を蒸してから、麹菌を入れ発酵させて板状にし麹室で約2日~2日半寝かせます。一番気を付けるのはやはり温度管理ですね。暑すぎても寒すぎてもダメ。もう麹を作り始めて長くなりますが、36度前後の良い状態になった時に仕事を始めてくれるのが今でも不思議でたまりません。ちゃんと“自分の温度”を知ってるんですね」と中林さんは笑います。

そうして丁寧に作られた麹は、甘味が強めで食材の味を良く引き出すと、今でも地元の人々をはじめとして根強い人気があります。やはり福井で作られた麹は、福井の食材の旨味を引き出すのです。

麹は古くて新しい。だから魅力を知ってほしい。

麹は日本古来からある素晴らしい食材ですが、その素晴らしさが見直されたのは近年になってからです。麹は身近なもの、もっと活用してほしいとの思いで中林さんは店舗の2階を思い切って改装。奥さんの紀子さんが「麹を使ったうまいもん教室」を始めました。「漬物や味噌作り教室をはじめとして、かぶら寿司、大根とニシンの麹漬け、味噌シフォンケーキなど、ジャンルを問わず色んなお料理をご紹介してきました。時々、公民館などで小学生向けの出張教室を行うこともありますよ」と紀子さん。今は依頼を受けて行っているとのことですので、気になる方は一度ご相談ください。

「少し前に塩麹ブームがありましたが、一過性のもので終わるのは寂しいこと。昔からあるのには理由があるのだから、確立した食文化になるように働きかけていきたいですね」と中林さん。その素晴らしさを後世に伝えていくため、今日も麹の声に耳を傾けます。

女性職人が漉く、しなやかで美しい和紙『RYOZO – 栁瀨良三製紙所』

現代の暮らしにとけ込む和紙を、全国、そして世界へ。

福井県越前市にある旧今立エリアは、約1500年の歴史を受け継ぐ、越前和紙の里です。全国の和紙の産地の中でも、品質・種類・量ともに1位を誇り、日本三大和紙に数えられています。今も多くの製紙所がある今立地区、紙漉きの神さまをまつる岡太・大瀧神社の参道に工房を構え、手漉き和紙の製造を行なっている『栁瀨良三製紙所』。光りが透けるほど薄くて柔らかな手ざわりの「薄紙楮紙(うすがみこうぞし)」をメインに、ニーズに合わせてさまざまな紙を漉いています。

作業場で和紙をつくり続けているのは、伝統工芸士、三代目・柳瀬京子さんやご主人の靖博さん、女性の職人さんたち。「私が就職活動をしていた時期は、バブル全盛期で仕事も選べた時代でした。自分にはOLは向いているとは思えず、ものづくりする仕事の方が性に合っている気がしました。実家が紙漉きの工房だったので、‟やってみたい!“と親に言ってみたら、‟やってみろ”と。18歳でこの世界に飛び込みました。やりだしたら、楽しくって。このまま家業を継ぎ、手漉き和紙職人の道を極めることにしました」と京子さん。

学生たちとの交流で復活した、「金型落水紙」。

こちらの紙は、薄いだけではなく、丈夫でやぶれにくいという特徴も兼ね備えており、障子紙や襖紙、包装紙、お菓子のパッケージなど、さまざまな用途で使用されています。なかでも、『栁瀨良三製紙所』の京子さんにしか漉けない特別な和紙があります。

光と影が織り成す、まるでレースのような文様が美しい「金型落水紙(かながたらくすいし)」です。この和紙は、漉き上がった乾く前の生地に金型をかぶせ、シャワー状の水滴をかけて模様を写しとるという独特の技法で生まれます。昔はよく製造されていましたが、手間やお金がかかることから、手がける製紙所が徐々に減っていきました。こちらの工房でも、祖父の良三さんが使っていた古い金型が倉庫に置いてあったくらいで、業務用としては40年以上やっていなかったそう。

それがなぜ、現代へとよみがえったのか。それは、7年前に遡ります。東京の『昭和女子大学』のプロダクトデザインコースの学生が、和紙の現場で10日間寝泊りしながら、新しい商品をつくるという初めての取り組みが行なわれました。滞在する学生たちにいろんな紙を見てもらいながら、プロジェクトを進めていくうち、「この和紙自体が商品なのでは?」という話になり、倉庫で眠っていたこの金型をもう1度使ってみることに。

紙漉き職人とお客様をつなぐ、交流拠点に。

製紙所には、ガレージを改装して誕生した直営店『RYOZO』も併設。さまざまなアイテムを直接、見て、ふれて、購入することができます。店内には、さまざまな表情の「金型落水紙」がディスプレイ。窓ガラスにはったり、リビングに飾ってインテリアとして楽しんだり、さまざまな和紙のある暮らしの魅力を発信しています。また、香川県丸亀市のうちわ職人とのコラボレーションで生まれた、金型落水紙を使ったオリジナルうちわ「落水団扇」はじめ、『五十嵐製紙』や『やなせ和紙』、『石川製紙』といった近隣の工房の紙、地元の作家さんによる和紙アイテムなども取り扱っています。

ショップと工房はつながっているので、希望者には職人の作業風景を間近で見ることができる工房見学や、紙漉きの体験も。「見学に来られたお客様に‟すごい!“と言っていただけると、とてもうれしく、自信にもつながります。お客様との交流が職人たちの励みになっているんですよ」と靖博さん。「当工房には、紙漉きインストラクターもいるので、ゆくゆくは滞在型で体験できる場所をつくって和紙ファンを開拓していきたいですね。これからも伝統を守りながら、現代のライフスタイルにとけこんでいけるような和紙づくりを続けていきます。」