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『海香の宿 波華楼』潮の香りと波の音が作り上げる、たゆたうひと時

日常を忘れて、心と頭を大自然に開放する。

常神半島の根元、塩坂越(しゃくし)地区にある『波華楼(なみはなろう)』。地区の中でも最南端に位置するため視界を遮るものがなく、遥か彼方まで続く水平線と豊かな緑が群を抜いた眺望を作り上げているお宿です。

ここでは、日常やデジタル機器のことは忘れてください。五感をフルに働かせて雄大な自然を感じ、過ぎていく時間にゆったり身を委ねる。それこそがここでの最高の過ごし方です。周辺には主要道路が通っていないため、聞こえてくるのは自然の音だけ。浜の上に建っているので、波が文字通りすぐそこまで来る臨場感もたまりません。

お部屋は限定6室。全室テラス付きのオーシャンビューになっており、到着後すぐに飲み物を手にテラスで寛ぐ人が多いというのも納得です。特に3階の角部屋は、正真正銘の特別室。2方向にテラスがあり、それぞれ違った雰囲気を独り占めすることができます。ロッキングチェアで吹き抜ける潮風を受けつつ、心と頭を空っぽにする心地よさを満喫しましょう。

もう一つ、ぜひご堪能いただきたいのが貸切露天風呂からの眺めです。まるで海と一体化したような錯覚を覚えるほどダイレクトに海を感じられる露天風呂は、明るいうちの入浴がおすすめ。天気の良い日は京都の丹後半島まで見渡すことができます。美しい景観とともにゆったりとしたひと時をお過ごしください。

若狭の海の恵み。美味しさを引き立てるのは大パノラマ。

『波華楼』が誇るのは、眺望だけではありません。こちらで提供されるお料理の数々にもまた五感を満たされます。

「料理は素材で決まると思っているので、本当に良いものを仕入れてお出ししています」とは、代表の下霜雄大さん。魚介類はなるべく生きたまま仕入れて自分で〆るというこだわりのもと、できるだけシンプルな調理法で、素材そのものを味わっていただくことを心掛けているそうです。

人気が高いのは夏の「炭火焼き懐石コース」。メインの焼き物をはじめ、刺身や揚げ物、蒸し物、酢の物など多様な味わいで若狭の海の幸をこれでもかと堪能できます。炭火でじっくり焼きあげられたサザエやアワビ、岩ガキなど自慢の魚介類は、味も香りも絶品。気候がいい季節には、海を臨むテラス席でぜひどうぞ。

冬場に用意されるのは海鮮・蟹・フグのコース。夏とは趣が異なり、荒れる若狭湾を眺めながら味わう食事も乙なものだと、こちらも好評です。

夕食の時間帯は、ちょうどサンセットタイム。刻一刻と深く暗く移り変わっていく空のグラデーションを眺めながらのテラスでのお食事はまた格別。季節ごとに変わる波の音や山々の彩りと併せてお楽しみください。

大自然しかない。だからこそ生まれる特別な時間がある。

この場所で生まれ育ち、一度県外に出たからこそ「やっぱりいい所だな」と再認識しているという下霜さん。「近くには自然しかないので部屋でゆっくり過ごしてもらうばかりなんですが、それが非日常になっていいかなと思うんです。今の人って慌ただしい毎日を送っている方が多いので、すべてを忘れてリラックスしてもらえれば」。

ここは、ゆったりと流れる時間そのものを楽しむお宿。大人にしか分からない、大人のための上質ステイ。どんなに言葉を尽くしても、一度来てみなければ分からない魅力に溢れた大人の隠れ家です。

季節の花と瑠璃色の光に癒される 『多田寺』

全国のファンを虜にしている美しい仏像たち。

天平勝宝元(749)年、勝行上人が開いた『石照山 多田寺』。眼病を患った孝謙天皇の勅願で創建されたと伝わっていることから、眼病平癒を願う参拝者が多く訪れる古刹です。

多田寺には貴重な仏像が数多く収蔵されているため、全国の仏像ファンが集うお寺としても有名です。こじんまりとした本堂に、ご本尊である薬師三尊(重文)をはじめ、十一面観音、四天王、十二神将など、奈良・平安時代の仏像が11体も収められているというから驚きです。

それら一体一体を間近で拝観しながら、作られた年代や表情、立ち姿、愛称、こちらに収蔵された由来など、ご住職によるガイドをお聞きしていると、どの像にもそれぞれに秘められた物語があることが実感でき、不思議なご縁に思わず感じ入ってしまいます。

内陣でのお参りの際は、この規模のお寺には珍しい厨子や須弥壇の意匠などにもご注目ください。意匠の理由も、小浜の歴史をひも解く一助となることでしょう。なお、グリーンシーズンは基本的に毎日ガイドしていただけますが、ご住職が不在の日もあるので、参拝日が決定している場合は予約して足を運んだ方が何倍も深く楽しめること間違いなしです。

北陸随一の艶やかな花のお寺を目指して。

多田寺は、近年北陸有数の“花のお寺”としても人気を集めています。特に春のシャクナゲは圧巻です。約500本ものシャクナゲが、山の斜面を白やピンクに染め上げる様子は必見。境内にある一周約30分の八十八ヶ所霊場巡りの参道両脇にも植えられており、その可憐な姿を愛でながら周遊するのも、ここでしかできない過ごし方です。

また、牡丹には特にこだわりがあるというご住職。70種類約200本は北陸でも類を見ない規模であり、その見事な咲き姿はシャクナゲと併せて堪能したいところです。他にもツツジが500本、サルスベリが20本、しだれ桜が30本など、“花のお寺”にふさわしいボリュームで我々を楽しませてくれます。

この膨大な数の花々は、すべてご住職の手植えによるもの。「本数は現在(2023年)の数であって、これからまだまだ増やして北陸随一を目指します。今は4月下旬~GW頃が一番の見頃ですが、数年後には参拝シーズンならいつでも楽しめるようにモミジやハギなどの植樹も進めているところですので、楽しみにお待ちください」とにっこり。

続けて、「現代はストレスを抱えている方が多くいらっしゃいます。ぜひ綺麗なお花で心を鎮めつつ、夏には瑠璃色の光を浴びながら健康をご祈願いただき、心身共に健やかにお過ごしいただければ」との気遣いも見せてくださいました。

小浜でしか出逢えない青い光をくぐって。

ご本尊の薬師三尊がある本堂に向かう手前に、7月下旬~8月末までの期間限定で“瑠璃光門”と呼ばれる門がお目見えします。独特なブルーの色合いが美しい風鈴が飾られた門をくぐり、涼やかな音色に出迎えられながら本堂へ向かいましょう。

「地元のガラス作家さんが小浜ならではの素材から生み出したこの青色を、お薬師様が人々を救うために発すると言われている瑠璃光に見立てました。お薬師様が放つ優しい瑠璃色の光を感じながら本堂へお進みください」と、ご住職の玉川泰圓さん。

たくさん並んでいる風鈴は、すべて異なる形に仕上げられています。舌(ぜつ)に使われている牡蠣の形も異なっているため、同じ音の風鈴は一つとして存在しないそう。それぞれが奏でる美しい音色のハーモニーを堪能しながら、お薬師様の待つ内陣へとお進みください。

境内には小浜の歴史に触れられる遺構もたくさんあります。歴史的な要衝地であった痕跡も辿りながら、ごゆっくりお参りください。

『御菓子処 伊勢屋』 100年の時をわたる名水で作る和スイーツ

葛ソムリエが手掛ける若狭の銘菓。

創業天保元(1830)年、約200年もの歴史を持つ「御菓子処 伊勢屋」は、夏の銘菓「くずまんじゅう」のお店としても有名です。シーズンには、味覚で楽しむ涼を求めて県内外を問わず多くの人々が訪れます。

6代目店主の上田浩人さんは、伝統和菓子職、優秀和菓子職にダブルで認定されている実力派。葛ソムリエの資格も有し、葛の歴史や製法、調理などの知識にも長けています。

そんな葛のプロが作るくずまんじゅうは、柔らかさの奥にある弾けるような食感が心地よい一品。あんこのほのかな甘さと、まるで水のようなのど越しが人気の秘密です。こちらのくずまんじゅうに使われているのは、日本三大葛のひとつである「熊川葛」。若狭の特産である熊川葛は、他の産地の葛に比べて弾力が強いため、この心地よい食感が生まれるのです。

さらに、伊勢屋のくずまんじゅうを特別なものにしているのが水です。“雲城水”と呼ばれている地下30mから湧き出る清らかな地下水は、滋賀県との県境にある百里ヶ岳を水源とし、100年の時をかけて濾過されながらこの地に流れ着くと言われています。その名水と葛だけで作られた生地は、まさに素材そのもの。余計なものが一切入っていないから、水の透明感とのど越しがそのまま生きた生地になっています。

「実はうちのくずまんじゅうにはレシピがないんですよ。他のお菓子にはあるんですけどね」と上田さん。口伝の製法をもとに、その日の気温や湿度などを見極めて仕上げていくのが伊勢屋流だと言い、「一番難しいのは練り方ですね。経験を重ねるしかありません」と笑います。

出来立てのくずまんじゅうが雲城水に浸っている様子は本当に涼しげで、これぞ夏!といった風情です。小浜散策の折には、ぜひお立ち寄りください。

葛と名水の魅力を、出来立てでもお土産でも。

一方で、賞味期限が非常に短いのも葛の特徴です。上田さんの「本当ならできてから1時間以内に食べていただきたい」という言葉も、その儚さをよく表しています。当然発送はできませんので、おすすめは出来立てをカフェスペースで味わうこと。夏場には雲城水で作られた天然氷のかき氷にトッピングすることも可能で、口当たりの柔らかい雲城水を幾重にも楽しめる贅沢な一品となっています。また「葛あんみつ」も登場しますので、お好みの甘味で暑さに疲れた体を癒しましょう。

しかしながら、「やっぱり名物の葛を使ったお菓子をお土産にしたい!」という方には、「雲城水菓子」がおすすめです。熊川葛と雲城水に加えて、福井県産のミディトマト「越のルビー」や若狭特産の梅、地酒などを用いて作られたスイーツは、葛を使いながらも日持ちするように作られていますので、お土産にもぴったり。安心してお買い求めいただけます。

老舗の本気と進化する技術が、伝統をブラッシュアップする。

伊勢屋で忘れてはいけないのが、冬の丁稚ようかん。夏のくずまんじゅうと双璧を成す看板スイーツです。伊勢屋の丁稚ようかんは白糖のみで仕上げるため、あっさりしているのが特徴。箱も小ぶりなので、お土産にちょうどいいサイズなのも嬉しいポイントです。

また和菓子ファンにぜひ食べてほしいのが、大福専門オンラインショップ「大福処 伊勢屋與兵衛」の「とろける生大福」。冷凍しているのに絹のように滑らかなままの大福ととろけるクリーム、それぞれの素材の味をしっかりと感じられる餡のバランスが何とも絶妙で、食べ進めるごとに広がる味わいと香りに驚かされっぱなしです。春はヨモギ・桜、夏は桃・レモン、秋はかぼちゃ・サツマイモ、冬は栗・キャラメルなど、季節限定を含む常時8種類が用意されていますので、ぜひ食べ比べをお楽しみください。

毎月一日には、限定あんこのお菓子が登場するという遊び心も。くずまんじゅうの季節には中のあんこが限定餡に、その他の季節には何かが特別バージョンに。「来月は何かな」と月が替わるのが待ち遠しくなります。伝統を守りながら革新も忘れない老舗は、ゆっくり流れる小浜時間を大切にしながら、お客さんの心と日常に寄り添う和菓子を作り続けていきます。

『海のオーベルジュ志積』が魅せる、漁村の暮らしとゆたかな自然

伝えたいのは、志積という漁村の風景・風土・文化。

小浜市の北東にある志積(しつみ)集落。目の前に広がる若狭湾の青色と、背後に広がる山々の豊かな緑がとてもきれいな漁村です。そんな志積の“暮らしそのもの”を楽しんでもらうための拠点が『海のオーベルジュ志積』です。

部屋の窓から見える、どこまでも続く水平線。波の音に包まれながら絶景を独り占めするのも良いですが、この場所の魅力はそれだけではありません。遮るものがない空と海を染め上げる夕焼けのグラデーション、凪がもたらす本物の静寂、暗闇に響くフクロウの鳴き声……。堪能すべきは、この地に暮らす人々の隣に当たり前にある風景です。

昼の野山にも夜の海にもぎっしり詰まっている「はじめまして!」な体験の連続に、五感は常にフル稼働に。モノクロだった知識が鮮やかな色を帯びた実感に変わっていく充足感に、心地よく満たされていくことでしょう。

その奥深さに魅了されたリピーターも増えており、関西・中京圏に加えて、近年伸びているのが県内嶺北地方からのゲストなのだとか。「旦那さんなどご家族にお子さんを預けて“今日は一人を満喫する日!”と来られる女性も多くいらっしゃいます」と、スタッフの岡本さん。志積ステイで感じる一つひとつが印象深く、心地よい体験であることの証です。

漁村が育んできた食文化に、粋な遊び心を効かせて。

こちらのオーナーは、現役の蛸漁師。つまり、四季折々どの魚介が最も美味しいのかはもちろん、その日何が獲れそうか、獲れた魚をどう〆るべきかに至るまで精通しているということです。

小浜の魚介といえば若狭フグや若狭カレイ、若狭グジ(甘鯛)などがよく知られていますが、こちらで味わえる魚介はそれだけではありません。

「例えば、高級魚のキジハタ(アコウ)。若狭に来てキジハタなんて思わないでしょう?実はここら辺で時々釣れるんですが、それは小浜の人も知らなかったりするんです。でもこの辺の漁師達はいただいてきたわけですから、それも漁村の食文化のひとつ。だからといって、家庭料理風のままお出ししては面白くないので、シェフがフレンチやイタリアンのエッセンスを加えて期待を超えたお料理にして提供しています」と岡本さん。そこに嶺南の地酒を合わせて、この若狭地域を丸ごと味わうことで旨味も感動も増幅させています。

志積の漁師だからこそお勧めする素材を、幾重にも磨き上げたディナー。それを、若狭湾を一望するレストランでゆっくりと味わうひと時には、言葉にはできない至福が詰まっています。ディナーのみでの予約も可能ですが、ここはやはりご宿泊を。時間に追われず余韻まで十二分にご堪能ください。

過ごし方に合わせたスペース選び。

「海のオーベルジュ志積」には、2パターンのお部屋が用意されています。

ひとつは民宿をリノベーションした「ROOM KYUBEE」。和室タイプのこちらは、民宿の雰囲気をそのまま生かした昭和レトロな空間になっており、ご家族や気の置けない友達と一緒にという方におすすめのお部屋です。

もうひとつは「HOUSE SEN」。soraとnamiの2部屋があり、どちらもメゾネットタイプの貸切スタイルです。近隣の家や植生が借景となり志積ステイの臨場感を楽しめるnamiは、ワーケーションにも対応。1階のリビングからの眺めは、日常で疲れた心と頭をリフレッシュしてくれることでしょう。

そして、女性の一人旅にうってつけなのがsora。絶妙にコンパクトなサイズのお部屋は、まさに大人の隠れ家。窓から見える桜の木は、季節にはそれは見事な花を見せてくれるのだそう。空や海の青とのコラボレーションを、ぜひとも特別な空間でお楽しみください。

ネイチャーガイドに聞く、真の志積の楽しみ方。

こちらに訪れた際に、ぜひ参加していただきたいのがワークショップ。実はネイチャーガイドでもある岡本さんが、志積の自然の面白さをディープに案内してくれます。
「実際に外に出て、志積の自然に触れることで得られる生きた知識をもとに製作を行うので、出来上がりも、家に帰ってからのお手入れも全く変わります。皆さん目を輝かせて楽しまれていますので、ぜひ!」とお勧めするワークショップは4種類。
苔玉作り、コケリウム作り、キーリング作り、ビーチクリーンがありますので、興味に合わせてお選びください。

知れば知るほど一泊では楽しみつくせない「海のオーベルジュ志積」で体験するのは、地元の人々が大切にしてきた日々の生活。静かでありながら濃密なステイを求めている人に、ぜひ訪れていただきたいオーベルジュです。

敦賀を照らす“光”のレストラン『la clarté KAGURA』

ハレの日にも、ケの日にも。

コースからカフェまで、スタイルに合わせた利用ができる欧風レストラン『la clarté KAGURA(ラクラルテ神楽)』。敦賀市民から「けいさん」の愛称で親しまれている氣比神宮の真正面にあり、日本三大鳥居にも数えられている「大鳥居」を臨みながらの食事が楽しめます。

こちらは、坂井市丸岡町竹田で人気の薪火料理レストラン「la clarté(ラ クラルテ)」のオーナーシェフ・松下ひかりさんが手掛けた2店舗目。一段高く造られているカウンター席と、それを囲むように配置されているテーブル席があり、訪れる時間や目的に応じた使い方ができるようにそれぞれのテーブルや椅子などの設えも変えています。

「厨房がよく見えるカウンター席は昼夜共にコースを楽しんでいただくスペースとして、少し離れたテーブル席はライトミールやカフェなど普段使いしていただくスペースとしてご用意しています」。

県外・国外からの観光客が多い立地柄から生まれる「やはりここならではの美味しい料理を楽しんでほしい」という思いに加えて「地元敦賀の人達にも寛いでいただける場になりたい」という心が詰まった、新スタイルのレストランです。

土地の息遣いを感じる味わいを、肩ひじ張らずに。

気になるお料理は“きちんと素材が分かる料理”になっており、嶺南産の野菜や魚介類を中心にしながらも、しっかりと満足感が得られるよう仕上げられています。「敦賀・嶺南にも魅力的な食材はたくさんあります。私はフードマイレージがゼロに近い方がいいと思っているので、そういう地のものを取り入れていけば自然と“ここでしか味わえない料理”になっていくかなと思っています」とにっこり。

「食べることは生きること、そして食べることでこの土地を守っていくこと」を体現するように、カウンター席用メニューは仕入れによって内容が変わるお任せコースのみとなっています。いずれも優しい中に地物の力強さが感じられる味わいですが、「10種の野菜の飲むサラダ」は特に舌に神経を集中させてみてください。ソテーによって凝縮された旨味が、野菜の持つ本来の力を思い出させてくれるスープとなっています。

またテーブル席用のアラカルトには、ステークアッシェや小麦粉不使用のカレーなど、コースに比べて気軽に楽しめるメニューが揃えられています。竹田のものと同じ製法で作られている自家製ソーセージを使ったホットドッグもありますので、気になる方はぜひお試しください。

味わうのが料理だけなんてもったいない。

こちらでコースを楽しむ際には、一皿目のガラスのお皿にもご注目を。実は、お店が入っているビルをリノベーションする際に出てきたガラスを溶かし、焼き直したアップサイクル品です。「捨ててしまうのは簡単だけど、ご縁があって私に回ってきたバトンなので繋ぎたいなと思ったんです」と話す松下さんの心が表れているのは、このお皿だけではありません。

なぜ入口でミシンが出迎えてくれるのか、年季の入ったピアノは何ものなのか…… ぜひお店に足を運んで、この空間が紡いできたストーリーに触れてみてください。それらのストーリーもまた、料理の味わいを深めてくれることでしょう。

フランス語で光、輝きを意味する「ラ クラルテ」。人や街を照らすような場所にしたいという思いから、神楽店のコンセプトは“光照らすレストラン”にしたとのこと。「いつかその光が広がって、敦賀全体をより明るく照らせたら」。敦賀に灯ったひとつの光は、明るい未来をも照らし始めています。

通販雑誌『ICHI』が発行されました

思わず「買いたくなる、食べたくなる、行きたくなる」
そんな福井の魅力満載の通販雑誌『ICHI』が発行されました。

『ICHI』は、戦国一の美女「お市の方」、「福井の美の市場」、「とっておき一番」、から「イチ=ICHI」と名付けられました。
福井の美をテーマにしたとっておきの上質な福井アイテムがたくさん紹介されています。

今回、コラボ企画として美めぐりふくいがおすすめするスポットを4ページにわたりご紹介させていただきました。

福井県内の宿泊施設、観光スポット、観光協会などに設置されていますので、ぜひお手にとってご覧ください。

PDFはこちら

海と山の真ん中で、ゆっくり過ごす贅沢『UMITOMA』

日本海の絶景に癒される、「暇(いとま)」のひととき。

四季折々に豊かな表情を見せる日本海。さえぎるもののない青い海、日本の夕陽百選に選ばれた夕焼けの水平線、波の花が舞う鉛色の冬の海…、越前海岸に面した『UMITOMA』はこだわりを尽くしたラグジュアリーな空間で、そんな日本海の絶景を独り占めできます。

一棟貸型の施設は『CYAN 思案』と『UKAN 海寛』のヴィラ2室、『KANKA緩暇』、『YOHAKU 余白』、『ORINAMI 織波』のキャンプホテル3室で構成。すべてオーシャンビューで、スタイリッシュで開放的なLDKや寝室、ジャグジーバスから、海と空のパノラマを眺められます。

「目の前に海があり、振り向けば山がある。他にはない立地で、豊かな自然を体感できます」と語るオーナーの髙木秀樹さん。季節や1日の時間で移りゆく景色の中で、ゆっくりと過ごす「暇(いとま)」のひとときは、大人にとって必要な癒やしとくつろぎを約束してくれます。

海辺のサウナ&ジャグジーで、非日常なバカンスを。

ヴィラで話題となっているのが、『CYAN 思案』の屋外デッキにあるプライベートサウナです。「自分がサウナ好きというのが、導入のきっかけ。まだサウナを経験していない人にもサウナの楽しみを広げていけたら」とほほ笑む髙木さん。

国産杉の樽型サウナはプライベートをしっかり確保しながら、山を背に海を望む最高のロケーション。山から吹く風や寄せては返す波音など、自然のエネルギーを五感で浴びて心も体も健やかに整っていくのが実感できます。

ヴィラの『CYAN 思案』と『UKAN 海寛』は、コネクティングルームとしても利用できます。伸びやかなLDKにはハイクラスなキッチンや家電が置かれ、仲間やファミリーはもちろん、企業のミーティングやスポーツ観戦など大人数で活用できます。また、リビングの延長となる大きなデッキのあるキャンプホテルは、女子会や子ども連れ、カップルなどに人気です。

目の前の砂浜でプライベートビーチ感覚で泳いだ後、サウナやジャグジーバスでリフレッシュし、冷房のきいた室内でくつろぎながら、大きな窓越しに海辺で遊ぶみんなを見守る。まるで海外でバカンスを過ごしているような、非日常でスペシャルな時間がここにあります。

自然、食、伝統など、福井の魅力をこの場所から発信。

旅の醍醐味ともいえる食事は、海を一望しながらBBQを楽しむグランピング。火起こし不要なガスバーベキューグリルで、越前海岸で獲れた旬の魚介類や若狭牛などを豪快に焼き上げるセミセルフ式です。

朝食は、消費量日本一を誇る福井の厚揚げや地物のもみわかめなど、こちらも地のものが充実。伝統工芸品の越前漆器や作家ものの越前焼に盛りつけていただきます。

インテリアや室礼にも、地元の作家や伝統工芸の技がこだわりの逸品が。クラゲ型のユニークなペンダントライトは、地域にあるガラス工房の作家が手掛けたもの。他にも、越前和紙の壁紙や、福井出身の世界的アーティスト長坂真譲の作品などが展示されています。

「地元の人は何もない所と言いますが、海も山も近い環境はここにしかない贅沢で価値あるもの」と髙木さん。地域の活性化を目指し「越前海岸盛り上げ隊」に参加し、まちづくりにも取り組んでいます。「私自身、福井出身で自然や海が好き。これから北陸新幹線開業もあり、『UMITOMA』を通して国内外の方に福井の魅力を発信したい」と展望を語りました。

丸岡城下でいただく本格炭火焼き魚 『炭火焼魚食堂 炭魚ほんだ』

うま味を閉じ込め、炭火でじっくり魚を焼き上げて。

もくもくと白い煙を上げ、パチパチッと音を立てる、串に刺された炭火焼きの魚たち。丸岡城下にある商店街に面した『炭火焼魚食堂 炭魚ほんだ』の店頭では、今日も旬の魚が炭火で焼かれ、食欲をそそるこうばしい香りが漂います。

「炭火の遠赤外線で燻し、余分な水分を落として、うま味を凝縮させた焼き魚の美味しさは格別です」と語る女将の本田悦子さん。美味しさの秘密は、炭火で焼く前の仕込みにあるのだそう。「炭火で焼く魚を前日から塩漬けし、うま味を閉じ込めるんです。塩分の濃度や漬け込む時間など、微妙な加減で焼き魚の味は変わってきます」と語ります。

炭火の焼きを担当するのは、本田さんのお母さん。魚の種類や大きさ、脂のノリ、その日の天候や季節にあわせ、長年焼き続けてきた技と経験で加減を変えるのだとか。「炭を起こし、魚をじっくり焼くのは手間も時間もかかるけど、昔からのうちのこだわりだから」とほほ笑みます。

昭和レトロな温もりある空間で、盛りだくさんの定食を。

明治時代に『料亭ほんだ』と魚屋を創業し、戦争や震災を乗り越え約110年の歴史を紡いできた『炭魚ほんだ』。昔の建物を改装した店内は、昭和レトロな雰囲気が漂う温もりある空間です。

営業は昼のみで、お品書きには自慢の炭火焼き魚がズラリ。季節の魚をはじめ、さば焼き定食、鯛の塩こうじ焼き定食、うなぎの蒲焼き定食から、新鮮なお刺身定食まで充実しています。魚はすべて、長年のつきあいがあり信頼のおける仕入れ先から厳選しているそう。焼き鯖を使った名物サバコロッケ、厚揚げの煮物、麻婆豆腐といったお総菜も人気です。

各テーブルに置かれたお客さまが感想を書くノートには、手書きのメッセージがぎっしり。「〝魚嫌いの子どもが、ここの焼き魚なら美味しく食べられました〟とか書いてあったりすると、嬉しいですよね。ご家庭で魚を美味しく焼くのは難しく、焼き魚を食べる機会も減っているので、本当に気軽に来てほしいです」と本田さんは語ります。

夜は活気ある居酒屋に。テイクアウト店やゲストハウスも。

『炭魚ほんだ』の空間は、夜になると居酒屋『本町バル』に様変わりします。18時開店で、炭火焼きの魚を中心としたメニューに、美味しいお酒を合わせることが。福井の地酒も豊富に揃っていて、和の魚料理とのペアリングを楽しむなど至福のひとときを過ごせます。

2022年には、お店の向かいに『お土産&テイクアウトほんだ』を開店。冷めても味の落ちない炭火焼き魚や名物サバコロッケなど、お店で人気の一品を自宅で味わうことができます。同年には『料亭ほんだ』の3階に、ゲストハウス『四方館』もオープン。大きな窓から丸岡城を一望することができ、春には『霞ヶ城』と呼ばれる桜に覆われた幻想的な城の姿を間近で堪能できます。

「お客さまは20代の若者や家族連れ、シニア層の方まで幅広く、地元の方はもちろん関東を中心とした旅行客の方も多いんですよ」と本田さん。ほっこりとした炭火焼きの煙と老若男女の笑い声に包まれた活気ある空間は、北陸新幹線延伸開業でさらに賑わいを増していきます。

日本のポンペイ『一乗谷朝倉氏遺跡』を訪ねる大人旅

歴史とロマン、自然を感じる巨大遺跡。

山に囲まれ、川が流れる、そんなのどかな山里にある『一乗谷朝倉氏遺跡』。
近年ではソフトバンクのテレビCMのロケ地として話題となったこちらは、戦国大名朝倉氏が5代103年間にわたる越前支配の拠点として築いた城下町跡です。

発掘調査が始まった1967年から半世紀以上、調査研究及び史跡整備が続けられています。
その歴史的価値を認められ、71年には一乗谷城を含む278haが国の特別史跡に、91年には諏訪館跡庭園、湯殿跡庭園、朝倉館跡庭園、南陽寺跡庭園の四庭園が特別名勝に、さらに2007年には遺跡出土品のうち、2343点が重要文化財に指定されました。

誰もが戦国時代へ タイムスリップ気分に。

全国で唯一、戦国時代の城下町跡がそっくりそのまま土砂や田畑の下に埋もれて残っていたことから、「日本のポンペイ」と呼ぶ人もいる巨大な遺跡。

豊臣秀吉が朝倉義景の菩提を弔うために寄進したものと伝えられる遺跡のシンボルであり、桜の名所としても知られる「唐門」をはじめ、一乗谷で最も古い庭園とされている「湯殿跡庭園」、かつての城下町がほぼ完全に再現されている「復原町並」など、見どころがいっぱいです。

自然✖️歴史✖️カラー。穴場映えスポットとしても話題。

こちらでは、桜の時期のライトアップや、夏の風物詩「越前朝倉戦国まつり・万灯夜」など、いろいろなイベントが開催されていますが、その中でも「戦国時代の町並の中でフォトジェニックな1枚が撮れる」と話題なのが、GW頃から11月にかけて開催されている「和傘スカイ」です。

自然に抱かれた復原町並内に、カラフルな和傘20本以上と、涼しげな音色の風鈴300個が展示され、知る人ぞ知るインスタ映えスポットとして、女性を中心に人気を集めています。(10月からは「布カーテン」として、秋空にカラフルな布がたなびく演出に)

都会ではなかなか味わえないスローな時間の中で、朝倉氏が栄えた時代に想いをめぐらせに、とっておきの旅の思い出の1枚を撮りに、ちょっと足を伸ばしてみませんか。

『Le Jardin』世界一のシェフが手掛ける、至高のフレンチ

シェフのひらめきとこだわりが詰まった、王道フレンチ。

福井市の閑静な住宅街に佇む、フランス料理店『Le Jardin』。料理長を務めるのは、2022年にパリで開かれた『ル・テタンジェ賞 国際シグネチャーキュイジーヌコンクール』で優勝を果たした堀内亮さんです。

若手フレンチシェフの登竜門で世界一に輝いた堀内シェフは、独自のひらめきと感性で素材の味とテクスチャーを巧みに組み合わせ、この瞬間にしか味わえない至高の王道フレンチに仕上げています。

東京のフレンチにいた時、良質な素材を求め福井に来たことがあるという堀内シェフ。地元の素材を活かした「六条大麦とイカの温かいサラダ 汐うに風味のエキューム」は福井産の六条大麦と汐うにを使い、イカのリゾットに汐うにを使った泡状ソースをのせた独創的な一皿。上質な素材が織りなすハーモニーは進化を続け、シーズンごとに多彩なメニューを生み出しています。

コースの最後を彩るデザートも格別です。そのこだわりは「デザートが美味しくないと、お客さまが良い気分で帰れない」と、自らパティシエの工藤隆浩さんを東京から福井に呼び寄せたほど。繊細かつパーフェクトなアミューズからデセールまで、本格的なフルコースを堪能できます。

世界一のシェフの味を、福井から北陸、北陸から世界へ。

堀内シェフはこれまで銀座『ロオジエ』や、マルコン氏がシェフを務めるフランスの3つ星レストラン『レジス・エ・ジャック・マルコン』など名だたる店で研鑽を重ねてきました。

「世界のトップシェフの料理を間近で見てきました。〝新しく考える〟ことをおもしろいと思うところで働いてきたからか、僕も同じことをするのは好きじゃない。あまり組み合わせたことのない食材を、〝これとこれはどうかな?〟など思い巡らすことが楽しいです」と笑顔を見せます。

そんな堀内シェフの唯一無二のフレンチを味わうために、全国から訪れるお客さまも多いそう。「北陸新幹線延伸開業もあり、これからチャンスが広がっていくのでは」と展望する堀内シェフ。

「福井から北陸、北陸から世界」をイメージし、越前焼の器や越前箪笥の指物の技を活かしたオリジナルのパン籠など、福井の伝統工芸品を取り入れ国内外へ魅力を発信しています。

「料理も、デザートも、サービスも、東京に負けないものをお出ししている自負があります。こんなすぐ近くに、東京ではありえない予算で世界一のシェフの料理を味わえるお店があることを、たくさんの方に知ってほしいですね」と、ディレクターの濵田さんは熱く語ります。

国境や世代を越え、広く長く愛され続ける名店として。

『Le Jardin』の前身は、福井初のフランス料理レストランとして地元で長年親しまれてきた老舗『ジャルダン』です。一度閉店後、新たに堀内シェフを招き、2022年に『Le Jardin』として再始動しました。「『ジャルダン』はフランス語で『庭園、菜園』のこと。フランス語の冠詞をつけ、本当の意味での『Jardin』にしていこうという想いがあります」と濵田さん。

リニューアルにあたって新しくナチュラリスティックガーデンを中庭に設け、そこで育てたハーブを料理に使うこともあるといいます。庭を眺め四季を感じるソファ席、壮麗な木製シャンデリアなど、優美でありながら温みのある心地いい空間に、人が集い、笑顔を交わします。

「レストランは、楽しむ場。始めは緊張感があるかもしれませんが、最後は『楽しかったね』、『美味しかったね』と笑って帰っていただけたら」と濵田さん。スタッフも本格的なサービスを提供しながらかた苦しさはなく、料理に合わせたワイン選びなどフランクに会話を楽しむことができます。また、特別な記念日には、スペシャルな唄のサプライズもあるのだそう。

今後、ランチ限定で子ども連れOKの『キッズウエルカム』を定期的に開催予定。「食育の意味もありますし、子どもがレストランで食事をする良い経験にもなれば」とほほ笑む堀内シェフ。国境を越えて、世代を越えて、『Le Jardin』のフレンチは広く長く愛され続けていきます。

右近家の足跡をたどり、美景に癒される『北前船主の館 右近家』

海沿いの集落・河野の穴場絶景スポット。

越前海岸の南端、京都への物資輸送の中心だった敦賀にも近く、敦賀湾のちょうど入口に位置する福井県南越前町の旧河野村は、かつては北前船の中継地として栄えた日本海屈指の船主集落でした。

なかでも全盛期には約30余隻を有した『右近家』は、現在、北前船歴史資料館となっている母屋をはじめ、ステンドグラスや暖炉など、映画のワンシーンに登場しそうな高台に建つ別荘『西洋館』などが残り、タイムスリップしたような気分で、当時の船主の栄華を垣間見ることができます。

また、西洋館や展望台から一望できる景色も最高で、知る人ぞ知る、フォトジェニックな美景スポットとしても話題を呼んでいます。

北前船主として隆盛を極めた『右近家』。

これほどの贅を尽くしたお屋敷や別荘を建てることができた『右近家』の歴史について、少し紐解いていきましょう。
江戸時代の中期頃から明治30年代にかけて、たくさんの荷物を積んだ船が荒れる日本海を果敢に往来していました。大阪~北海道(蝦夷地)を日本海廻りで航行し、各港で商い(売り買い)をしながら往復した回船「北前船(きたまえせん)」です。

北海道から大阪へと向かう「上がり荷」には、主にニシンや昆布などの北海道産物を。北海道に向かう「下り荷」には、砂糖や醤油、衣料品などの生活必需品を大阪や各寄港地で安く買い入れながら運び、莫大な富を生み出したと言われています。

特に日本海五大船主に数えられる名家『右近家』は、天明・寛政(江戸時代)の頃から北前船主として活躍し、最盛期には、代表的な持ち船である八幡丸をはじめ、30隻余りの船を所有していました。

その後も、大量輸送できる蒸気船をいち早く導入し、近代船主への脱皮に成功。
明治期には、海運の近代化をすすめるほかの北前船主たちとともに、海上保険事業にも進出し、現在の損保ジャパン日本興亜の前身である「日本海上保険株式会社」を創立しました。

北前船の歴史・文化を今につなぐ。

国道305号線沿いを車で走っているとひときわ目立つ『右近家』の邸宅は、天保時代の構えを基本に明治34年に建て替えられました。
上方風切妻造瓦葺2階建てで、内倉・浜倉を配し、材料は北前船が産地から運んだという豪勢な構えで、一つひとつの意匠が当時の最高峰とも言える技術が施されています。

館内では、『右近家』が所蔵していた貴重な資料が展示され、一般公開されています。
海への畏敬の念の表れである海側を表とした屋敷構えなど、河野地区ならではの生活風習や家の造り方も見ることができます。

お腹がすいたら、敷地内にある隠れ家レストラン『畝来(うら)』でおいしいランチ(要予約)を。

歴代の右近家当主と同じ目線で、日本海の美しい景色を楽しみたい方は、屋敷裏の高台に建つ別邸へ足を伸ばしてみましょう。

昭和10年、右近家の別荘として山の中腹に建てられた鉄筋2階建ての『西洋館』。スパニッシュ風をベースとした1階、丸太を外装材に用いたスイスのシャレー風の2階、帆船が描かれたステンドグラス、タイル貼りの床、モダンなインテリアなど、こだわりや美意識に満ちた空間は、見どころが尽きません。

そんな異国のリゾートを想わせる瀟洒な洋館で、窓の外に広がる日本海の大パノラマを眺めながら、‟心が満ちる時間“を過してみてはいかがでしょうか。

「地産知消」で、福井を〝知る〟喜びを味わう『レゾンス』

地産知消をコンセプトに、福井を感じる独創的な料理を。

「地産知消」をコンセプトとした、薪窯のあるオープンキッチンのレストラン『レゾンス』。オーナーシェフの吉川正裕さんと赤江和隆シェフのふたりは、それぞれが培ってきたフレンチのキャリアと技を活かし、福井の食文化を踏まえた独創的な料理を提供しています。

「地産知消とは、地元のことを〝知って〟食する=消費すること。今、地方のレストランはローカリズムをイマジネーションして表現することが求められますが、それを表層的なファッションで終わらせず、福井の食材や郷土の調理法などをお客さまがしっかり〝知って〟食べる喜びや美味しさを徹底したいと思っています」と語る吉川シェフ。

その想いは、料理からテーブルウェアまでしっかり息づいています。越前焼の作家の器や越前和紙の端材を重ねたランチョンマットをはじめ、ナプキンリングには生産量全国一位を誇る鯖江の眼鏡フレームを使用。さらに、メーカーごとに重さや刃紋、デザインが異なる越前打ち刃物産のテーブルナイフを5種類取り揃え、お客さまはその日の気分で自由に選ぶことができます。

組み合わせの妙と薪火の技でつくりあげる、特別な一皿。

ランチとディナーのコースは、それぞれ12品。メインの食材は福井にこだわり、従来のイメージを凌駕する調理法や組み合わせの妙で食材の特徴を引き出しています。

薪窯の遠赤外線でやわらかくローストした若狭牛に、地元で長年愛される地がらしのソースをあわせたり、九頭龍川に生息するアラレガコや鮎をジュレにしたタルトを、同じ九頭龍川で拾った石に盛りつけルーツを感じさせるなど、「ここに来ないと食べられない」特別な一皿を提供しています。

オープンキッチンで調理からサーブまで一貫してオペレーションを行う中、お客さまに食材の情報や調理法を伝えるのは吉川シェフが、薪窯を使った温かい料理とデザートは赤江シェフが主に担当。燃え上がる炎から安定した熾火までコースにそって火加減を調整するのは経験を要しますが、「調理の原点である火を操るところに、おもしろさを感じています」と語ります。

また、赤江シェフが手掛ける薬草酒を使ったデザートは、『レゾンス』のシグネチャーと言えるもの。これは吉川シェフの出身地・福井市東郷地区で、400年以上受け継がれる薬草酒を用いた一品です。

「東京や関西で勉強し、最前線のレベルやトレンドを知った中で、実は福井の食材のアドバンテージはすごいんじゃないかと客観視しています」と、吉川シェフは胸を張ります。

人と料理とのつながりを育み、福井の魅力を発信する。

福井出身の吉川シェフと関西出身の赤江シェフは、調理師学校時代の同級生。「お互いこの仕事が好きで、独立して長く続けていきたいと考えた時、2人体制でやることが最良だと思ったんです」と語る吉川シェフ。

その想いは、フランス語で「ゆとり、自然な」を意味する店名の『レゾンス』にも込められています。「片ひじはらず、ゆとりある自然な姿勢で、相手の感性をリスペクトし、お互いを尊重しあう集団でありたい」と、相棒と目を合わせほほ笑みます。

イベントへの出店や、商業施設や小学校での料理教室、次世代の料理家育成に貢献する勉強会、レストランの監修やプロデュースなどにも精力的に取り組むふたり。「いろんな関わりを増やすことで、普段接点のないお客さまと距離を詰める機会を設けたいと考えています」と語ります。

最近は、赤江シェフが手掛ける定番デザート・マカロンの店頭販売が話題となっているそう。「福井のそば、酒かす、完熟梅など、お菓子屋さんにはないフレーバーを意識した、料理人が作るスイーツ。母の日などのイベントにあわせて販売すると、いつも完売です」とニッコリ。地産の食材と向き合い、人と料理とのつながりを育みながら、福井の魅力を広く発信しています。

素材が綾なす口福のハーモニー『手作り菓子工房 ペルシュ』

フルーツらんまん。鮮やかスイーツ。

まるで雑貨屋さんのようなワクワク感が店内の至る所に散りばめられている『手作り菓子工房 ペルシュ』。洋菓子店の多い鯖江市にあって人気の高いケーキ屋さんです。オーナーシェフでパティシエの谷下昌則さんが目指すのは「3世代が楽しめる、おやつの延長線上にある洋菓子」です。

ペルシュのケーキの特徴は、何といっても華やかさ。イチゴやブドウ、マンゴー、ブルーベリーなど色鮮やかな果物がふんだんにあしらわれたケーキの数々は、見ているだけで心が躍ります。
華やかな見た目だけでなく、口に運んだ瞬間に広がる香りと味わいにも驚かされるはず。素材を幾重にも味わえるケーキは、子供から大人まで皆の頬をゆるめ、心を華やげてくれること間違いなしです。

一緒にテーブルを囲む人の顔を思い浮かべながら、それぞれにピッタリの一品を見つけたくなる、そんなケーキショップです。

心満たすスイーツを、目的とシーンに合わせて。

ショーケースに並ぶケーキは、常時20種類以上。谷下さんは「フルーツの季節感を大切にしているので、うちには通年でお出ししている“定番”がほとんどないんです」と笑います。時にはお客様の隣で一緒にショーケースを見ながら、その日の気候や気分に合いそうなものを選ぶお手伝いをしたり。それもペルシュのスタイルです。

また、「手土産にぴったり」と定評がある焼菓子も目移り必至。10種類以上のフレーバーが嬉しいスティックケーキをはじめ、クッキーやドーナツ、チョコレート、ジャムなど、すべて合わせると100種類以上が所狭しと並んでいます。

「店内でカフェタイムを楽しんでいただくことも出来ますが、やはり持ち帰られる方が多いので、店の外に出てもストーリーが続くことを念頭に置いて作っています」と谷下さん。自然と笑顔がこぼれるような華やかな一品が多いのは、誰かのひと時を彩るものだから。スイーツが果たす役割をどこまでも大切にしています。

大切に紡ぐ想いは、きっと伝わる。

製菓専門学校での講師も務めている谷下さん。そこで共有したいのは、「モノづくりとしての製菓の楽しさ」だと言います。「大変な仕事ではあるけど、笑顔を届けられる素敵な仕事だと伝えたいですね。自分たちのやっていることがどういう流れの中にあって、どこに繋がっていくのかまで伝えていくのが僕の責務だと思っています」。

そう話す谷下さんがこだわっているのは、大切に育てられた素材を使うこと。生産者の方々に会いに行って作業の手伝いをし、どれほど愛情を込めて育てているのかを自分の目で確かめながら、「農業や酪農などの一次産業に寄り添ったお菓子作り」に努めています。

素材を育んでくれる農家の方々の想いを受け止め、洋菓子を通して食べる人達につなげること。「生産者に寄り添い、3世代に愛される」を目指す谷下さんのケーキ作りは、まだまだ続いていきます。

産地で知って深めるめがね愛 『めがねミュージアム』

産地だからこそ揃う、多種多様な3,000本。

国産眼鏡の一大産地として知られる福井県鯖江市。1905年の産地誕生から分業制を特徴とし、OEMを中心に町全体で眼鏡を作ってきました。しかし時代の移り変わりに伴い、「今後は自分たちでニーズを把握し、新しいフレームの開発を進める産地を目指そう」と方針を転換。2010年に福井県眼鏡協会が運営するショップとして「めがねミュージアム」をオープンさせました。

シンプルながら洗練されたデザインのショールームには、県内約50社の最新モデル3,000本以上がずらり。各社が手掛けたオリジナルフレームをじっくり見比べられるだけでなく、納得いくまで試着することができるのはまさに産地ならではです。眼鏡製作技能士の資格を持つスタッフが常駐しているので、信頼できるプロに気軽に相談できるのも嬉しい限り。希望や悩みに合わせた最適な一本と巡り合いましょう。

眼鏡を知るから、選び方が変わる。

こちらには、めがねの歴史を知ることができる「めがね博物館」が併設されています。私達が現在使ってる眼鏡がどのような変遷を辿って今日のような形態になったのかを学べるほか、約100年前の生産現場風景の展示コーナーでは大正時代の眼鏡作りの工程や道具を間近で見ることも出来ます。

また、江戸時代~昭和にかけての眼鏡の形の変遷も紹介。俳優・大村崑氏のコレクションが展示された「有名人めがねコレクション」コーナーでは、見ただけで持ち主の顔が思い浮かぶ特徴ある眼鏡が展示されており、眼鏡がいかに顔の印象を決めているかを再確認できます。

おすすめは、こちらの博物館をめぐってからショップに向かう順路。楽しみながら眼鏡について学べるので、眼鏡との向き合い方・選び方が変わるかもしれません。単なるファッションアイテムとしてではなく、大切なパートナーとしての眼鏡に出合いたくなるはず。

自分の、自分による、自分のための眼鏡。

新しい眼鏡を探す時、特にこだわり派なら、自分で唯一無二のオリジナル眼鏡を作るという手もあります。こちらの「めがね手作り教室」では、約70種類ものデザインと約500種類もの素材から選んでフレームを作ることができます。実際に眼鏡職人として活躍していた方が講師として丁寧に指導してくれるので、安心してチャレンジできます。公式HPにて6日前までの完全予約制なので、気になる方はぜひご予約を。

世界や日本における眼鏡の歴史、産地の歩み、そして現代の産地フレーム。その全てに「見て、触れて、体験できる」のは、文字通りここだけ。約100年の歴史の中で、常に進化し続ける眼鏡をぜひ「めがねミュージアム」でたっぷりとご堪能ください。

自然のマイナスイオンと美景に癒される『刈込池』

春夏秋冬の木々の色に染まる水鏡。

打波川の上流の願教寺山(標高1,690m)のふもとには、ブナやミズナラなどの原生林に囲まれた幅ヶ平があり、その中に周囲400mの『刈込池』があります。その昔、泰澄大師が、白山に棲んでいた大蛇を、刈込池に閉じ込め(刈り込め)たという伝説から、名づけられたといわれています。白山連峰の1つである、「三ノ峰」を映す静謐な池で、県内随一の紅葉の名所としても知られています。

水面に映りこむ、モミジやカエデ、ブナなどの原生林の紅葉が映える光景は、まるで絵画のよう。紅葉の時期にピックアップされがちですが、あふれんばかりの緑が萌える、春や夏の刈込池も素晴らしく、湖面は風がない時には、周囲の鮮やかな木々や青く広がる空を映し込みます。こうした、季節ごとに異なった表情で、訪れた人の目を楽しませてくれます。

ため息が出るほどの、美しい風景。

越前大野の勝原(かどはら)地区から林道を約20km進み、終点にあたる『上小池駐車場』から片道約1時間のトレッキング。往復約2時間の山歩きなので、動きやすい服装・履きなれた靴で出かけるようにしましょう。駐車場から5分ぐらい歩くと分岐が現れ、刈込池まで1.3kmの「石段コース」と、刈込池まで2.4kmの「岩場コース」の2つに分かれます。石段コースは、急な階段等があるため、距離は長いけれど緩やかな道が続く岩場コースがおススメかもしれません。

森の中、野鳥のさえずりを聴き、草木の香りを運ぶ風を感じながら自分のペースでゆっくりと神秘の池を目指します。木々の間を抜けていくと、突然目の前に広がる幻想的な世界……。静かな水面に、くっきりともう1つの世界を浮かび上がらせる鏡のような風景は、息をのむ美しさです。

日常から離れ、深呼吸したくなる旅へ。

忙しい日々、なんでも便利に揃う今の時代。街の喧騒から、日常から少し離れ、携帯の電波もつながらないような秘境を目指して、ちいさな冒険の旅へ。大自然が生み出す絶景とじっくりと向き合い、「今」しか見ることのできない一瞬の風景を目に焼き付ける……そんな心洗われるような風景に、会いに出かけてみてはいかでしょうか。

また、『刈込池』の帰りには、車で20分程度、上小池勝原線の中間あたりにある奥越の秘湯『鳩ヶ湯温泉』(日帰り入浴 11:00-16:00)に寄り道して、お風呂に浸かりながら、山歩きの疲れを癒してくださいね。

もっと身近に“Made in さばえ”を楽しむ『鯖江駅眼鏡』

“めがねのまち”の気の置けないサポーター。

眼鏡フレームの国内生産シェア96%を誇る福井県鯖江市。その玄関口となるJR鯖江駅すぐ隣にあり、鯖江で作られたフレームのみを取り扱っている『鯖江駅眼鏡』。
産地ならではの高品質眼鏡をリーズナブルに購入できるとあって、全国から足を運ぶ眼鏡ファンもいるショップです。

『鯖江駅眼鏡』は、眼鏡修理を専門に行う会社「Repair(リペア)」が運営する眼鏡屋さん。ネジ締めや洗浄などのアフターケアはもちろん、レンズの交換や修理に至るまで、眼鏡に関することなら幅広く対応してくれます。

「他店で買われた眼鏡でも大丈夫です。状態によってはお預かりになることもありますが、簡単な内容でしたらこちらで即時対応します」とは、スタッフの加藤さん。心強いとはまさにこのことです。

観光案内所も併設しているため“めがねのまち さばえ”の情報も知ることができるので、鯖江にお越しの際はまず立ち寄りたいスポットです。

オンリーワンの手作りご当地土産。

『鯖江駅眼鏡』では、ワークショップも大人気。眼鏡フレームに使われている素材を使って、スマホスタンドやコースター、イヤーカフにもできるリングなど、様々なアイテムを何とワンコインから作ることができます。

加藤さんも「大体15~30分くらいで作れるものばかりなので、電車の乗り換え待ちにお寄りいただく方も多いです。1時間くらいの“どこかに行く程の時間はない”というような時に、お子さん連れでいらっしゃって親子で楽しんで帰られるケースもありますよ。予約不要ですので、ふらっとお立ち寄りください」とにっこり。

併設の観光案内所にはレッサーパンダをあしらったグッズや、鯖江出身の浄瑠璃作者・近松門左衛門をモデルとしたご当地キャラ“ちかもんくん”グッズ、伝統織り「石田縞」を使ったコースターやケースなど、鯖江ならではのアイテムがずらり。

『鯖江駅眼鏡』に並ぶストラップや眼鏡チェーン、ピアス、バングルなどの眼鏡モチーフの小物と併せて、鯖江ならではのお土産を探してみてはいかがでしょうか。

歴代門主も訪れたまちなかの庭園『陽願寺』

まるで絵画のような四季の移ろい。

令和2(2020)年に創建550周年を迎えた、越前市武生地区にある『陽願寺』。浄土真宗本願寺派(西本願寺)の流れを汲む蓮如上人ゆかりのお寺で、府中御堂とも呼ばれています。

陽願寺を訪れる参拝者のお目当ては、何といっても「御殿の間」から望む庭園。春から秋にかけて、刻一刻と移ろいゆく色合いは見ているだけで心が浄化されるようです。

芽吹きの力強さを秘めた新緑の春、深い緑にみなぎる生命力を感じる夏、そして鮮やかなコントラストが美しい紅葉の秋。武生地区のまちなかにありながらも心地よい静けさに満たされたこの一室で、それぞれの季節にしか見ることができない風雅な眺めを心ゆくまでご堪能ください。

本堂

粋を尽くした上質な建築。

陽願寺は室町時代の創建ですが、幕末の大火で伽藍が焼失しているため、現在残る建造物は幕末~近代にかけて再建されたものが中心となっています。そのため、お寺には珍しい近代建築の要素がそこかしこに見て取れることも特長です。

国登録有形文化財に指定されている9棟の中でも、特に興味深いのは「対面所」と「御殿の間」。伝統的な和風建築であるものの、意匠には近代的な要素を垣間見ることができます。それらの集大成となっているのが「洋館」。90年以上前に作られ、当時の最先端の技術とデザインを詰め込んだこの一室は、お寺だということを忘れてしまうモダンな空間となっています。

また、職人技の結集と言えるのが本堂。極楽浄土を表現しているという金箔の眩しさもさることながら、本堂を支える太い柱と一枚板の梁はまさに圧巻。古の宮大工たちの確かな仕事には、驚かされるばかりです。

事前予約にて、スタッフの方によるガイドを聞きながら拝観することができます。注目ポイントがわかるだけでなく、時折交じるトリビアに知識欲も満たされること間違いなし。ガイドは週末のみ、5名以上で3週間前までに要予約、オリジナルの和菓子付きです。こちらの和菓子にも、「そうなんだ!」が隠されています。ぜひ現地で確かめてみては。

550年の歴史を知る。五感で楽しむ。

その昔は国府が置かれ、交通や戦における要所となっていた武生地区。それを示すのが近隣に多く残るお寺なのですが、そこに庭園があるのは実は珍しいと当代住職の藤枝聖さんは言います。「お庭が作られた意味やどこを意識して見ると良いかなどを知ると、より楽しんでいただけると思います。庭園や建築の美に触れながら、ご自分の内面と向き合うひと時をお過ごしください」。

心を研ぎ澄ました帰りには、陽願寺オリジナルのクロモジ茶をお土産に。甘さの中に爽やかさを感じる香りはリラックス効果抜群。魔除けとしても使われる薬木が、心身を優しく整えてくれるようです。他にも仏教に由来を持つオリジナル菓子もありますので、参拝の記念にぜひどうぞ。

鳳凰が愛し、花々が見守り続ける『鳳聚山 羽賀寺』

鳳凰が導く縁起の良い寺院。

奈良時代の始め、霊亀2(716)年、仏教僧・行基により建立された「羽賀寺」には、不思議な由来が伝わっています。

ある時、この地に鳳凰が飛来し、羽を残して飛び去った。その羽を当時の天皇、元正天皇に献上したところ「鳳凰の出現は天下泰平の証である」と大変お喜びになり、僧・行基に寺の建立を命じられた。
無事完成した寺は「鳳凰が集まり羽を賀する(喜ぶ)寺」との意味を込めて「羽賀寺」と名付けられた。

そんな羽賀寺は、花が美しいお寺でもあります。ソメイヨシノや枝垂桜、ツツジ、月下美人、紅葉など、折々に見事な姿を見せてくれますが、中でも圧巻はアジサイ。白や青、ピンクや紫など色とりどりに咲く1,100株のもアジサイは必見です。美しい花の色に心を洗われながら、ゆっくりと本堂へお進みください。

エキゾチックな東洋の美。

こちらのご本尊は、国指定の重要文化財となっている十一面観音菩薩。寺の建立を命じた女帝、元正天皇をモデルとして行基が手掛けたと伝わっています。
昭和40年代まで秘仏であったためか、1,000年以上昔に作られたにも関わらず鮮やかな色彩を今に留めており、特に裾部の朱赤の発色には目を奪われます。

歴史的資料としても価値のあるこちらの像は、驚くことにいつでも至近距離で拝観可能。気品ある優しい表情は、日によって、また見る者によって変わると言われていますので、自分の心の内とも対峙しながらじっくりとご覧ください。

またご本尊の裏手に祀られている、平安時代作の薬師如来も忘れずに拝観を。薬師如来を囲むように壁三面にずらりと並ぶ観音菩薩の変化神・三十三神像は非常に神秘的です。「33もの姿に身を変えて現世に現れ、衆生を救う」と言われている慈悲の仏も、ぜひ目に留めてください。

変わりゆく時代の中で、変わらない意義を紡ぐ。

長い歴史の中、その時々の朝廷の帰依と援助を受けてきた羽賀寺。
住職の玉川正隆さんは、「小浜は、昔から奈良や京都へ続く海の玄関口として栄えた土地です。北前船が活躍した日本海交易の中で、大陸文化や様々な物資がこの地に集まり、物資と共に人や情報も都へ渡っていきました。羽賀寺は、そうした歴史を体現する寺でもあります。そんなところも感じてもらえれば」と優しく話します。

羽賀寺の上空には、鳳凰の姿に似た雲や彩雲がよく出現するのだとか。創建から1,300年の時を経てもなお鳳凰の加護を授かる古刹で、心にエネルギーをチャージしてみては。

体本来が持つ力を整える、自然食品&カフェ『からだあいかん』

自分に合ったサプリメントや自然食品が、きっと見つかる。

季節の変わり目や加齢による体調の変化、お肌の揺らぎ、花粉症やアレルギーなど、年を重ねるごとに美と健康に関する悩みは増えていきがちです。
鯖江市の『からだあいかん』は、そんな悩みに応えてくれる自然食品のお店。

ナチュラルで温かみのある店内には、薬やサプリメント、自然食品、コスメなど約3,000点の商品がズラリ。全国的に知られる自然食品『タマチャンショップ』のインショップや、自然食品を使ったメニューが楽しめるカフェも併設しています。

『からだあいかん』の名称は、『からだに愛と感謝』の頭文字をつなげたものです」と代表の木原峰範さん。もともと薬屋として開業し、勉強と経験を積む中で、2003年に自社商品を開発。2019年から、カフェを併設した現在のスタイルになったといいます。

「人間の体は食べたものでできています。お薬はあくまで症状をもとに戻すのを早くするための道具で、長く飲み続けると内蔵に影響することも。そもそも病気にならない体にしていくとか、未病の段階で正常に持っていくという考え方で、お客さまに喜んで使い続けていただける本当の商品にこだわっています」。

スタッフはサプリメント管理士やダイエットコーディネーターなど専門資格を持った美容・健康のプロフェッショナルなので、一人ひとりの悩みに合わせたアドバイスを受けることが。サプリメントや健康食品はお試めしや試飲ができ、自分に適したものを選ぶことができます。

ランチやスイーツを楽しみながら、食の大事さに気づくカフェ。

「人それぞれ遺伝的なものもありますが、一番大事なのは生活習慣。それは、毎日食べるものと大きな関わりがあります」と語る木原さん。併設のカフェはそんな食の大切さに気づくきっかけづくりのひとつとして、店内で販売している自然食品を使ったメニューを提供しています。

カフェの人気メニューは、パンケーキと砂糖を使わないスムージー。
ランチの『フレッシュお野菜とチキンのスペシャルパンケーキ』はハーブが彩るヘルシーなパンケーキと一緒に、新鮮な野菜をたっぷり味わえます。

オリジナル2層スムージー『グリーンスムージー』は、アボガドとバナナのとろりとした食感と、キウイの爽やかな味のコントラストが抜群。インドネシア産の果実ノニのジュースも配合されていて、健康と美肌づくりを頼もしくサポートしてくれます。

「カフェのお客さまは女性が中心ですが、食生活を改善したいという男性の方も来られています。週に何度も来られるリピーターの方もいらっしゃいます」と木原さん。SNSでの情報発信も行い、週末には市外や県外から来られるお客さまが多いそう。

「近頃は食べものの大事さをわかっている方も多く、子ども連れのお客さまもけっこういらっしゃいますね」とほほ笑みます。

亜熱帯の果物ノニの栄養素が、体を整え、正常な状態へ導いて。

多彩な品揃えの中で特に支持されているのが、『からだあいかん』オリジナルのノニ商品です。ジュースやハーバルティー、オールインワンクリームなど、ラインナップが充実しています。

「ノニは亜熱帯エリアの果物で、体本来が持つ力が正常に戻るよう導いてくれます。ブルーチーズのような匂いに薬効があり、インドネシアでは昔からお薬的な使われ方をしているんですよ」という木原さん。

有機ノニ果汁100%のオリジナルノニジュースは、防腐剤やpH調整剤を使わず、ビタミンやミネラル、母乳に多く含まれるカプリン酸といった中鎖脂肪酸など約140種の栄養素を保持しています。

他にも、オリジナル商品『つやもちこんにゃく米』は、米と一緒に炊くことでもちもちした食感に仕上がりながら、糖質を制限できると好評です。

「普通に何も気にせず食事をしているとどうしても脂質や糖質が多くなり、酵素やミネラル、たんぱく質が不足します。それを全部食事でとろうとしてもなかなか難しいし、年齢とともに吸収力も衰えていくので、そこで足りない分を補ってあげる感じですね」。

サプリメントや自然食品とのつきあい方について、そうアドバイスしてくれた木原さん。今の自分の食と習慣を見直すその先に、心から笑顔になれる美しく健やかな未来が待っているのかもしれません。

ゆるやかに流れる大人時間の心地よさ 『Pasta&Wine 1803』

シェフ兼ソムリエが送る、あわらの夜の彩り。

あわら温泉街の一角に、知る人ぞ知る隠れ家的ワインバーがあります。店名の由来はお店の番地からという「PastaWine 1803」は、シックにまとめられた店内が上質なひと時を演出してくれる、“大人のための”ダイニングワインバーです。

オーナーシェフは、地元をこよなく愛する関山耕人さん。関西の有名店でフレンチからイタリアン、和食まで修行を積んだ実力派です。ソムリエでもあり、店内に置かれたセラーには100種類以上もの厳選ワインが寝かせられています。ワインはグラスで味が変わることから、世界中から愛されているリーデルのグラスを使用。ここでは特別な時間を過ごしてほしいとの思いから、カトラリーは機能とデザインを兼ね備えたラギオールにするなど、細部にもこだわりが見えます。「ここで過ごす上質な時間をゆっくり楽しんでいただければ」と関山さん。居酒屋の多いあわらにあって、地元の方はもちろん観光で来られた方にも、これまでとは一味違うあわらの夜を楽しませてくれるスポットです。

確かな技術で、食材の真の魅力を引き立たせる。

コースでもアラカルトでも楽しめる料理は、いずれもワインとの相性を考え抜かれたものばかり。出来るだけ主役の食材がはっきり分かるよう仕上げられています。「やっぱり訪れた土地の物を食べたいじゃないですか。ここに来たら“あわらの味”を楽しんでいただきたい。そのため、農家さんや養豚・養鶏業者さん達と直接やり取りをし、味も鮮度も間違いない素材を使っているので、手を加えすぎないように気を付けています」と関山さん。

そんなフードの中でも人気が高いのは、店名にもなっているパスタ。福地鶏の温泉卵が乗った「温泉ナポリタン」を筆頭にそれぞれにファンがついており、常時20種類から選べます。
中でも一番人気は、艶が美しい生イカがたっぷりと乗り、大葉・柚子・シソの花が散らされた「イカ墨のスパゲッティ」。見た目にも美しく、一口ごとに変わる香りや食感が常に新鮮で、飽きることなく最後まで楽しめる一品です。関山さんおすすめのペアリングはスパークリングワイン。その相性の良さは、ぜひご自身の舌で確認を。

料理との相性はもちろん、お腹の膨れ具合を考慮したペアリングをお願いすることもできます。ご自分の好みも一緒に伝えて、より満足度の高いひと時をお過ごしください。

信頼関係の深化は、味わいの進化。

今後は、今以上に地元の生産者さん達に寄り添っていきたいと話す関山さん。「既にお付き合いいただいている生産者さんとはより深い関係を築いていきたいですし、エリアと幅を広げてもっと多くの方々とも知り合っていきたいですね。扱う食材の幅が広がれば料理の幅も広がって、お客様にももっと楽しんでいただけますから」

あわら市内にも福井県内にも、まだ知られていない面白い食材はたくさんあります。それが関山シェフの手にかかるとどんな一面を見せるのか、ワインとの相乗効果は…。目が離せない大人の秘密基地に、乞うご期待です。

海辺の小さなリゾートエリア『Echizen Log』

海と空が広がる〝なにもない〟最高に贅沢な場所。

海と空の雄大なパノラマが眼前に広がる『ECHIZEN LOG』。越前町の越前加賀海岸国定公園に位置し、ダイビング体験ができる『ダイビングセンターLOG』、宿泊&飲食ができる『えちぜん丸太屋』、海を眺めながらくつろげる『蕎麦Cafe Maruta屋』を展開しています。

「自分たちのビジョンは、まちの活性化。常に新しいことに挑戦して、全国に越前町の魅力を発信・紹介し、次の世代の子どもたちへつないでいこうという想いがあります」という三田村 咲さん。「ここは海と山の距離が近く、目の前のビーチは絶好のダイビングポイント。幼い頃から当たり前のようにあった風景だけど、県外に出て戻ってきた時、改めて〝こんないいところに住んでいたんだなぁ〟と感じたんです。知れば知るほど、なんでみんなもっとこの場所に来ないのか、もったいないなって思います」と笑顔を交えて語ります。

「地元の人は〝なにもない〟っていうけれど、〝なにもない〟ことがここの魅力」と咲さん。時間を忘れて海と空の風景をゆっくり眺める、それこそが最高の贅沢なのかもしれません。

目の前のダイビングポイントで、海中散歩を楽しむ。

越前加賀海岸国定公園は、日本屈指のダイビングスポットです。なかでも『ECHIZEN LOG』のすぐ前に広がるビーチは、高い透明度を誇るダイバーに人気のダイビングポイント。最大水深は23mあり、季節やエリアによってハマチやカンパチといった迫力ある回遊魚の群れから、愛らしいウミウシやタツノオトシゴまで、多種多彩な水中生物を見ることができます。

『ダイビングセンターLOG』では、ダイビングの初心者からベテランまで幅広く対応。インストラクターがレクチャーする初心者向け『体験ダイビング』、ガイド付の『ビーチダイニング』、ライセンスが取得できる『オープン・ウォーター・ダイバーコース』など、多彩なコースから自分にあったものを選択。幻想的な海中散策を、安心して楽しめます。

ダイビングの後は、テラスで仲間とBBQをしたり、『蕎麦Cafe Maruta屋』でお腹を満たしたり。玉川温泉から取り寄せている温泉露天風呂、屋内・外シャワー、更衣室などが自由に使えるのも、うれしいポイント。全4室の『えちぜん丸太屋』での宿泊も可能です。

海を眺めて、地元の素材にこだわった蕎麦&スイーツを。

エリア内にある『蕎麦Cafe Maruta屋』は、海沿いをドライブする途中で気軽に立ち寄れる〝海を感じるカフェ〟。蕎麦とカフェというちょっと異色な組み合わせには、「このあたりには蕎麦屋がなく、カフェと一緒に提供することで地元のお客さまや観光客、いろんな世代の方などに利用してもらえるように」という願いが込められています。

郷土料理のへしこを使った『あぶりへしこおろしそば』や、近所の豆腐屋さんの厚揚げを使った『清水豆腐屋さんの厚揚げそば』をはじめ、器も越前町の伝統工芸品である越前焼を使用。ランチセットやピザなど蕎麦以外のメニューも、地元の食材にこだわっています。カフェも、地の素材を活かしたオリジナルスイーツが充実。なかでも、近くの厨地区で作られた越前塩を用いた『越前塩ロール』は一番人気で、これをお目当てに県外からわざわざ訪れるリピーターもいるほどです。

「もっと地元の海の魅力を知ってもらいたい」という思いから、カフェのフロアでは常時ダイビングの映像を見ることが。四季折々で表情を変える日本海と、その奥に秘められた神秘的な美しさ。この機会にダイビングに挑戦して、新しい世界を広げてみては。

静寂に包まれ、悠久の時を肌で感じる『棡山 明通寺(ゆずりざん みょうつうじ)』

征夷大将軍の平和への願いが詰まった寺。

平安時代の勅撰国史書「続日本紀」にも登場する小浜市松永地区は、豊かな自然の中で長い歴史を紡いできた地域。多くの文化遺産にも恵まれているこの地区で、「福井県で唯一の国宝建造物」として地域の誇りとなっているのが「明通寺」です。国宝に指定されているのは、本堂と三重塔。他にも多くの重要文化財を有しています。

この明通寺を創建したのは、坂上田村麻呂。歴史の教科書でお馴染みの征夷大将軍ですが、敵味方の区別なく蝦夷征討による犠牲者の鎮魂のために、若狭にお寺を創建していたと知っている人は少ないのではないでしょうか。

山の麓に抱かれた国宝を目の当たりにしてもなお、「何故ここに建てたのだろう」と疑問は消えないかもしれません。そんな時はぜひ振り返って、里の景色に目を向けてみましょう。戦いに明け暮れた武将が、この場所に求めた平穏が垣間見えるはずです。

重要文化財が伝える、いつの時代も変わらぬ願い。

国宝である本堂に収められているのは、薬師如来、降三世明王、深沙大将の3尊。いずれも国の重要文化財です。ご本尊である薬師如来が左手に携えている薬壺には、8万4千もの病を治す薬が入っていると言われており、この薬壺を模した無病息災守りは明通寺の一番人気となっています。

また本堂内にある寄進札(きしんふだ)も、ぜひご覧ください。国の重要文化財に指定されているこちらには、いつの時代に、どこに住む誰が、何を願い、どれほどの寄進を行ったのかが記録されています。約400枚もの札が今に残っており、最古のもので何と延慶2(1309)年の銘が記されているというから驚きです。時代と共に移り変わる木札の形状や書式にも注目しながら、当時の世相の一端に触れてみてください。長年にわたって人々の心と生活に密着した祈祷寺であった証とも言えるでしょう。

五感を超えたその先に、もう一つの世界。

かつてお寺は人が集う代表的な場所でした。しかし時代の変化とともに、その在り方も随分と変わってきました。「本来、生活の延長線上にあったお寺ですが、今や非日常を体験する場所となりました。ここでは俗世を忘れ、心穏やかに自然のあるがままをご体感ください」と中嶌一心副住職。「現代は、味覚にしても嗅覚にしても聴覚にしても、過剰な刺激に晒されています。そういうものからちょっと離れて、五感を研ぎ澄まして心穏やかにお過ごしいただければ」。その言葉通り、ここではほんのひと時の静寂に身を委ねるだけでも心身が浄められていくのが分かります。

そして、より深くこの土地が持つ力や魅力の神髄に触れたいと感じた時には、明通寺より徒歩圏内に位置する宿「松永六感藤屋」をご利用ください。五感を整え、自分と向き合うこのプログラムに於いて、明通寺では「阿字観」と呼ばれる瞑想体験が出来ます。忘れていた、気付かなかった“何か”に触れるマインドフルネスなひと時をお過ごしください。

福井の自然を醸す純米吟醸、お殿さまが愛した『越の鷹』

蔵元自ら杜氏を務め、純米吟醸の酒造りを極める。

福井藩の菩提寺である大安禅寺の近くに酒蔵を構える伊藤酒造。幕末頃から酒造りをはじめ、明治27 (1894) 年に伊藤酒造合資会社を設立。今は蔵元の伊藤さんが自ら杜氏を務め、代々伝わる『越の鷹』の名を冠した純米吟醸などを造っています。

「江戸時代、この辺りによく鷹狩りに来ていた福井藩のお殿さまが、うちに立ち寄り日本酒を誉めたといわれてます」と、銘柄の由来を語る伊藤さん。東京農業大学農学部醸造学科を卒業後、別の仕事に就きましたが、杜氏が他界したことをきっかけに実家の酒蔵を継ぐことに。大学で学んだ醸造学を頼りに酒造りを始めるも、「実際は、教科書通りにいかないことばかり。頑張っていたけど、今の自分から見ると『なにしてんねん!』てレベルです」と苦笑いします。

転機になったのは、ある福井の蔵元にかけられた言葉でした。「そのバイタリティがあれば、いい日本酒ができる」と激励され一念発起。別の蔵元の杜氏や食品加工研究所の先生と出会い、実践の中で学びを深めます。ひたむきに「一番好き」な純米吟醸を造り続ける中、福井県の新酒研究会で入賞。広く認められるようになりました。

福井の酒米と酵母で醸す、和食によく合う上品な辛口。

伊藤さんが目指すのは、福井の自然から生まれる酒米と酵母を使った酒造り。不要なものは入れず、米の香りと旨味を存分に引き出した純米吟醸などを醸しています。

酒造りに使う酒米は、「県産の『五百万石』と、福井で生まれた『越の雫』は外せない」と熱く語る伊藤さん。近年は、福井で開発された新品種『さかほまれ』も加わったといいます。日本酒の香りや味わいを決める酵母も、福井生まれにこだわりが。県が独自に開発した『FK-501(福井酵母)』や『うららの酵母』を使い、辛口でありながらまろやかな旨味に仕上げています。

「日本酒造りで、酒米はボディ、酵母は顔となるもの。例えば、五百万石を使った『越の鷹』の辛口純米吟醸は、上品な大和撫子。スタイリッシュで、シャイな感じです」と伊藤さん。「すっきり辛口系で、ちょっといい香りがして慎み深い。最高の食中酒と思っていただければ」。その言葉通り、燗でも冷でも、どんな和食にもすっと寄り添い、美味しさを引き立てます。

地酒がつなぐ人の輪、大安禅寺に門前町の賑わいを。

今では県内外で多くのファンを獲得している『越の鷹』。伊藤さんの気さくな人柄も相まって、インスタなどSNSを通じて交流が深まり、お客さまを酒蔵に招いて一番搾りの地酒やおそばをふるまう『新酒の会』を開くまでになりました。

「お客さまの飲んだ感想をストレートに聞けるのがいいですね。僕は杜氏としてまだまだ成長できると思っているので、ぜひ毎年飲んでいただき、味わいを確認してもらえたら」と真摯に語ります。

さらに、伊藤さんは「北陸新幹線延伸開業に向けて、七瀬川が流れる大安禅寺地区にお客さまを呼びたい」と、近隣の仲間と『ナナセカイ』を結成。酒蔵見学やカフェイベント、写経や粘土板アートのワークショップなどを行っています。「大安禅寺の大改修が10年後に完成するとき、門前町を復活させたいとみんなで言っているんです」。風土に根づき、人をつなぎ、笑顔が生まれる。遠い昔から受け継がれてきた、美味しい日本酒が生み出す風景がここにあります。

フレッシュな果実と手作りスイーツ 農園カフェ『うちのぶどう』

完熟した果物が持つ、想像を超える力強さ。

『うちのぶどう』は、越前市にある“農家がやっているおやつ屋さん”。店名にもなっているブドウをはじめ、イチゴやブルーベリー、トマト、お米などを栽培し、それらを使った体に優しいおやつを提供しています。

果物類はスイーツに加工したものが多いですが、もちろん収穫後そのまま店頭に並ぶこともあり、そんな時は飛ぶように売れてしまうと言います。「うちでは流通に乗せる必要がなく、完熟を収穫してそのまま店頭に並べるので甘さが桁違いなんです」とその美味しさの秘密を語ってくれた店長の宮本采知さん。
手間暇をかけて大切に育まれた実りだからこそ、そのまま食べてもスイーツになっても、私達の心に真っ直ぐ届く力強さを秘めているのです。

果実をそのまま味わってるようなスイーツ&ドリンク。

こちらではおはぎやパンナコッタ、クッキー、グラノーラ、ジャムなど、多様なスイーツを手掛けていますが、メインは何といってもシフォンケーキ。ほのかな甘さのふわふわ生地に果実のフレーバーが相まって、どんどん食べ進められてしまいます。
「冬〜春はイチゴ、夏はスイカにメロン、秋はブドウに梨や栗など、各季節の果物を使って年間通して20種類以上を手掛けています」というから驚きです。ショーケースには常時約10種類が並んでいますので、ぜひお気に入りを探してみてください。

また、ドリンクもご一緒にどうぞ。おすすめはやはり季節の果実をふんだんに使ったスムージーです。特に通年で楽しめるイチゴスムージーは要チェック。1杯に約10個分のイチゴを使うという贅沢仕様で、果肉もしっかり感じられるのに後味すっきり。シフォンとの相性も抜群です。併設されたカフェスペース、特に晴れた日のテラスは特等席ですので、ぜひセットでカフェタイムをご満喫ください。

大切な人と笑顔で過ごしてほしいから。

『うちのぶどう』が目指すのは“日ごろのおやつ”。「お子さんにとっては親御さんの手作りが一番安心だし思い出にも残ると思いますが、どうしても今の時代は皆さん忙しくてなかなか難しいですよね。だから私達が代わりに“日頃の手作りに近いおやつ”を作るので、その分の時間をお子さんと一緒に笑顔で過ごしていただければ」と宮本さん。

その延長線上に生まれたのが、1歳児でも食べられるシフォンケーキです。「砂糖も極力少なくし、“お子さんと親御さんが一緒に食べられる美味しいもの”を目指しました。食べるってすごく大切なことなので、親子で一緒に楽しめるものをと日々試行錯誤しています」。
体に優しいというところで、食物アレルギー(軽~中度)の方向けシフォンケーキもできるとのことですので、気になる方は一度ご相談ください。
時には、農園で作られた野菜を使ったスイーツやジャムが並ぶこともあるという『うちのぶどう』。もぎたてのフレッシュな自然の恵みと優しい味わいで、心満たされるひと時を。